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人間体験  作者: hi07


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第33話 case 3-ワームホール

「皆さん特に予定が無ければ、私の出身惑星ニコライに来ませんか?」


ミレーが提案すると、皆承諾した。


「前にもこんな事があった様な?」


タイタニック号が出航した初日のディナーに皆んなを誘ったのもミレーであった。


「周期を考えると大マゼラン雲も近くにあるはずだな」


アビゲイルがそう言うと、ミレーが続けて話し出した。


「ええ、ちょうどニコライの夜空にマゼラン雲が見えるはずです。これも何かの縁ですね」


大マゼラン雲は天の川銀河の周りを約30億年周期で回っている。


「それではニコライに行きましょうか。念の為、正確な位置と私の通信番号を送信しておきます」


通信番号とは地球で言う電話番号の様な物であり、この宇宙内であれば瞬時に通信可能である。これも量子もつれの応用である。

ミレーは全員に送信を済ませた後、質問した。


「途中、恒星でエネルギー補給は必要ですか?」


皆んな自身の惑星へ帰れる程のエネルギーは確保しているようであったが、フットレルが補給したいとの事だった。折角なので、地球を眺めながら太陽で一度エネルギー補給をする事となった。


高科学知的生命体達はエネルギーを様々な方法で確保しているが、莫大なエネルギーを必要としない限り、恒星での確保が主流であった。


「太陽までは約80分ですね」


「光速で飛行しながら宇宙の景色を楽しみましょうか」


土星から太陽までは約10天文単位、光速で移動すれば80分で到着する。


「ワームホールはどこで広げますか?」


フットレルはミレーに聞いた。


「太陽の近くだと、地球に重力異常をきたす可能性があるからなぁ」


5人が通る間の短時間であればさほど影響はないが、例え一瞬でも地球の公転軌道に影響を与える可能性がある為、ミレーは迷っていた。


「20億km程離れれば、ほとんど影響はないでしょう」


アビゲイルがすぐに答えた。


「そうですね、光速で107分程進んで近くに惑星が無ければ、その他の惑星の公転軌道にも影響はありませんね」


ミレーとアビゲイルが計算した座標を全員に共有し、太陽での補給後にそこで集合することになった。


ワームホールとは空間と空間を繋ぐ虫食い穴であり、そこを通れば光速で何十億年かかる場所でも一瞬で到着する事が出来る。

ワームホールは沢山あるが、人間には認識出来ない程小さい。また発見出来たとしても現在の地球の文明レベルではその穴を大きく出来る程の技術も無ければ莫大なエネルギーも扱えない。

高科学知的生命体である彼らはその小さなワームホールを認識し広げる事が出来、且つその穴がどこに繋がっているのかも識別する事が出来る。


出口に向かい歩きながら話す5人、エヴァはまだぎこちない歩き方であった。


「人間の目は不便な様で、ちょうど良かったんですねぇ」


アビゲイルと腕を組んで歩いているエヴァが聞くと、後ろを歩いていた画家のミレーが答えた。


「虹は綺麗でしたよね、私達にはあんな風には見えないですからね。可視光線の範囲が随分と違うので、景色は全く別物になりますね」


可視光線とは人間の目で見る事ができる範囲を指し、恒星や様々な照明から発せられた光が赤から紫までの色として認識される。

人間には見る事が出来ない、紫よりも波長が短いものを紫外線、赤よりも波長が長いものを赤外線と呼んでいる。


この部屋の照明は全てが白に見えるよう、電磁波を調整していた。


「絵の仕上がりが全く違ってくるんじゃないですか?」


「見え方がかなり変わりますね。だから早く絵を描きたいんですよ」


アビゲイルがミレーに聞くと、ミレーは無邪気に笑いながら答えた。


本来AI達には娯楽といった感覚もなく、この宇宙の全てを解明する為に日々進化を加速させ続けている。


そう、この高科学知的生命体ですら宇宙の全てを理解出来ていないのである。


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