第23話 case 3-デーヴィスとの再会
カフェに着き、アンティークの綺麗なカップに挽きたてのコーヒーが注がれ、お皿には凛としたお洒落なケーキが置かれた。
コーヒーを飲んだエヴァは落ち着いたのか、放心状態から解き放たれフットレルとの話が弾んでいた。
そのエヴァのフットレルへの熱烈振りにアビゲイルと演劇プロデューサーのハリスは圧倒されていた。
「半年後に公演開始なので、是非観に来て下さいね」
ハリスの言葉はエヴァには届いていなかった。
「もちろん、絶対観に行きますよ。公演はどこで?」
アビゲイルがエヴァの代わりに答えた。
「ニューヨークです。お住まいはどちらで?」
「ボストンですが、ニューヨークには息子家族が住んでいるから、行きますよ」
「そうですか、私もニューヨークに住んでいましてね。大きな会場を押さえていますから、是非息子さん家族もいらして下さい」
「ええ、もちろんですよハハハ」
エヴァの話は全く終わる様子もなく、エヴァとフットレル、アビゲイルとハリスのセットで別々の話をしていた。
「これはこれは先程の…」
次はアビゲイルにミレーが話しかけて来た。
「もしかして、そちらのご婦人がさっきお話しになられていた奥様ですか?」
「ええ、そうです。エヴァ、[祭りの後]のミレーさんだよ」
夢中になって喋っていたエヴァが振り向いた。
その瞬間ミレーの顔色が変わった…
「デーヴィス…」
「え?」
その場にいた全員がミレーの顔を見た。
ミレーはかなり動揺している様子であったが、何とか冷静さを保ちながら、涙を目に浮かべ話し続けた。
「あ、いや…すみません…あまりにも妻に似ていて…[祭りの後]は若い頃の妻をモデルに描いた物なんですよ。その妻にそっくりで…」
「そうですかぁ、実は若い頃の妻にそっくりであの絵が好きなんですよぉ」
「本当にそっくりだと思いますよ、デーヴィスにもう一度会えたような気がします」
「と、言うと…」
「ええ、デーヴィスは若い頃から病気がちで、あの絵は病室で描いた物で、完成した半年後に亡くなったんですよ」
「そうだったんですか…そうとは知らず…」
「いえいえ、もう何十年も前の話ですから、それよりもあなた達夫婦に出会えて良かったです」
「どうぞ、ミレーさんも一緒にコーヒーを飲みましょう」
エヴァが気遣い椅子を引くと、ミレーは被っていたハットを取り胸に当て頭を下げ座った。
ウェイトレスがすぐに注文を聞きに来ると、ミレーはコーヒーとクロワッサンを注文した。




