第19話 case 3-チケット②
サディからの手紙に幸福を共有しあっているアビゲイルとエヴァであったが…
実はこの手紙、シャーロットが内容を考え、サディに書かせたものであった…。
しかし、アビゲイルとエヴァは気づいていない…。
無論、金賞もウソである。
「そうかぁ〜、サディももう7歳かぁ〜」
「金賞!凄いわぁ〜、たくさん頑張ったのね」
2人は乗船チケットよりも、孫の活躍に喜んでいた。
「ジアナも仕事が大変そうだか、サディに言われたら今度叱らんとなぁ〜ハハハハハ」
「そうねぇ、シャーロットさんは理解がある人だから良いけど、他の人なら離婚されてますよ。それにサディが可哀想だわ」
「仕事もほどほどにせんとなぁハハハ」
「そうよぉ、ジアナったら本当にぃ、仕事も大事ですが家族はもっと大切にしないと」
「その通りだな。そうだコーヒーでも飲もうか、少し落ち着こう」
「そうしましょう、美味しいケーキがあるんでしたねぇ」
イライラした気持ちを忘れようと、2人は今朝買って来たケーキを食べながらコーヒーを飲み、サディの写真を眺めていた。
するとリビングで寝ていたボスが何かに反応し、玄関先へ向かい出した。
コンコン!
誰かが扉をノックした。
「私だ、ジョージだ」
「ヴォス!」
ボスはいつも美味しい物をくれるジョージにもとても懐いていた。
「おぉ、ジョージか、どうしたんだい?」
「こないだはどうもありがとう、エヴァのクリーム煮は最高だったよハハハハ」
「いえいえ、お口に合ってよかったわ〜」
「それで、どうしたんだい?そんなに大きな荷物を持って」
「親父がさぁ、これをアビゲイルにって」
「会長が?何を?」
ジョージが荷物に掛けていた布を取り、アビゲイルの目の前にかざした。
それは金色の額縁に入れられた、1枚の大きな絵画であった。
「こっ…これはっ…、、祭りの後…」
「まあ、これがあなたがよく言ってた
ミレーの?」
「あっ…あぁ、、、これを私に?」
「そうだよ、随分前の話だが、親父に話した事があるだろ?若い頃のエヴァに似てるから、この絵が好きだって」
「あら、、、まあ、、、」
エヴァは顔が赤くなっている。
「親父からの退職祝いだそうだ」
「本当か?本当にこれを私に?、、、、、、、夢のようだ、、、、」
アビゲイルは嬉しさのあまり絵画から目を離せず、固まっていた。
「おいアビゲイル、どこに飾る?このまま持って行くよ」
「あ…あぁ、そうだな、どこにしようか、、」
アビゲイルはリビングをぐるぐると見渡すと、
「そこの壁にかけてくれ、そこならテーブルからでもソファからでも見られる位置だ、すぐに釘を打つから待ってくれ」
絵画を飾り終えると、3人で[祭りの後]を眺めていた。
「私に似てますか?」
「あぁ、この横顔、若い頃にそっくりだよ」
「そう言われると、確かに似ているな」
「ジョージさんまで、、本当ですか?」
エヴァは嬉しくも恥ずかしくもあり、両手で赤くなった頬を押さえていた。
「会長にはまたお礼を言いに行くよ。伝えておいてくれ」
「あぁ、伝えておくよ、いつでも来てくれ」
「ジョージさん、コーヒーでもどうですか?」
「こないだからご馳走様してもらってばかりだなぁ、でも頂きますハハハ」
「遠慮する仲でもないだろハハハハ」
3人はテーブルに着き、会話を弾ませていた。
アビゲイルはずっと絵画を見ながら会話に参加していた。
ふと、ジョージがテーブルの上に置かれたチケットに気づいた。
「おっ、どこかに行くのか?」
「そうだった、忘れてた。息子からの退職祝いでね。何やら乗船チケットと言ってたが」
3人でチケットを確認すると、
「おいっ!このチケット!」
ジョージが最初に気づき、驚きのあまり目を見開いていた。
「タイタニックだよっ!タイタニックの乗船チケットだよっ!しかも、一等客室っっっっ」
ジアナから送られて来たのは、当時大きな話題になっていた世界最大級の豪華客船であるタイタニックへの乗船チケットであった。




