第17話 case 3-息子たちからの電話
ボストンのミラー家では着々と準備が進められていた。
それぞれの家族が泊まれるように、部屋を片付け、掃除をした。もちろん、トイレもピカピカである。
「エヴァ、今日の昼食は外食にしようか。そのついでに買い物に行こう」
「それじゃあ、駅の近くにパスタ屋さんが最近できたんですよ、そこにしましょうか」
2人はいつもの様に腕を組み、ゆっくりとしたペースで出かけて行った。
2人が家に帰って来るまでに、何度も何度もカミラとジアナから電話がかかってきていたが、2人が気付くはずもない。
帰宅は数時間後である。
「ヴォス、ヴォス」
ボスに出迎えられ、大きな買い物袋をいっぱいにした2人が帰宅した。
「ボス、おやつだ」
アビゲイルがジャーキーを1つ器に入れた。
「美味しいかい?ボス」
「ヴォス!ヴォス、ヴォスヴォスヴォス」
いつも食事中には答えないボスが答えた。
2人は少し違和感を覚えたが、あまり気に留め
なかった。
「さぁて、皆んなが帰って来る前に準備を始めようか」
「そうですね、新鮮で美味しそうなサーモンが沢山ありましたからね」
「ヴォスヴォスヴォス」
ボスは何かを訴えている様子だったので、アビゲイルはもう1つジャーキーをあげた。
食事が仕上がり、サーモンのクリーム煮やピザにハンバーグ、ポテトのサラダがテーブルの上に所狭しと並べられていた。
「少し作り過ぎてしまいましたかねぇ?」
「いやいや、孫達も大きくなったんだ、たくさん食べるよ。もう着く頃かな」
ジリリリリリリリリン… ジリリリリリリリリン
電話の音が部屋中に鳴り響き、アビゲイルが電話を取った。
「おぉ、ジアナかっ、あぁ…、、そうか…、、それは仕方ないな…、ん?そうかそうか、それは楽しみだな、分かったよ、それじゃあな」
電話を切ったアビゲイルは肩を落とした。
「何の電話だったんですか?」
ジリリリリリリリリン… ジリリリリリリリリン
立て続けに電話が鳴り響いた。
アビゲイルはエヴァに答える間もなく次の電話に出た。
「あぁカミラか、…それはいかんな…あぁ、そうだなお大事に…ゆっくり休むように伝えてくれ、あぁジアナから聞いたよ、ありがとう。うん、それじゃあ、またな…」
電話を切ったアビゲイルの表情はとても暗く、置いた受話器からしばらくの間手を離せなかった。




