↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人間体験  作者: hi07


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
153/183

第152話 case 5-ジョナサン・ジョーンズと言う男

ジョナサンは音楽が好きだった。

小さい頃から、歌をうたい家族に披露していた。

皆んな喜んでくれる。特に祖父母はよく褒めてくれた。


12歳の誕生日に父がギターを買ってくれた。

本当はアコースティックギターが欲しかったが、父が買って来たのはエレキギター。


それでも嬉しかった。

テレビ越しでしか見たことがなかったギター。

思っていたよりも4倍…いや5倍は重かった。

重い分、本物感を実感できた。その日は本当に抱きながら寝た。

もっと角張っているのかと、もっと弦は細いのかと。ちょっとギザギザした感触は、それだけでなぜか少し大人になった様な気がした。



翌年の誕生日…父と母を同時に亡くした。

ドラッグ中毒の男が運転する猛スピードの車が対向車線を暴走。両親の乗っている車と正面衝突。


車が半分になる程の衝撃を受け大破。

両親は即死…しかし、ドラッグ中毒の男は奇跡的に無傷。

そんな理不尽をジョナサンは12歳の時に背負い込んだ。


後部座席にあったのは、両親からの誕生日プレゼントと一通の手紙。


「ハッピーバースデー!君の才能に愛を込めて。生まれて来てくれてありがとう!」


いつも言葉数の少ない両親らしい、短い手紙。

単純な言葉には全てが込められている様だった。ジョナサンには両親の大きな愛を感じられた。


誕生日ケーキを食べながら受け取るはずだったプレゼント。

それは真っ白のギターだった…。


悲しかった…。突然の出来事に理解が追いつかず、葬式では涙は出なかった。


数日後、学校での休み時間、急に涙が溢れ出す。

理解していなかっただけで、心は疲弊していた…限界を迎え涙となって溢れ出た。


それでも寂しくはなかった。


優しい祖父母、気さくな友人もたくさんいた。


両親の形見となった白いギター。

練習に練習を重ね、高校の学園祭では友人たちとバンドを組み、洒落っ洒落のスーツを身にまとい当時大流行していたビートルズを演奏。

学校中は沸きに沸いた。ジョナサンたちが沸きに沸かせた。

学校中のエネルギー全てを浴びた気がした。背筋の鳥肌がおさまらない。


「おいっ、おいおいおいっ!俺たち売れちゃうって!!」

「だなぁ!!」

「「「アハハ、ハッハッハッ!!」」」


演奏を終えたジョナサンたちは、控え室に戻り興奮を抑えきれない。


モテた。

メンバー全員がモテた。


そして、勘違いした…


大学生となったバンドメンバー。おっかけのファンもいた。順風満帆に思えた。

何となく「その内デビューするんだろう」ぐらいに思ってた。


プロの世界は当然そんなに甘くない。


バンドメンバーは一人、また一人と脱退。

最終的にはジョナサン一人となった。


ソロ活動をしつつ、バイト、そして時々来る作曲依頼。

食べていけない程ではないが、喜べる程ではない…。


この日も教会でいつもの様に祈るジョナサン。


ある女性が見に入る。


ブラウンの髪は肩の上で綺麗に内側へカールし、淡く甘いオレンジの雰囲気に包まれた女性。


しかしその女性は、あの日のジョナサンの様に疲弊している様子だ。

しかも自分では気付いていない…直感的にそう感じた。


思わず声を掛けてしまった。


はっきり言って、ジョナサンは男前だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。