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人間体験  作者: hi07


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132/168

第131話 case 5-診断結果

ここはイギリスのとある病院。

スティーヴンとジェーンが椅子に肩を並べ静かに座っていた。診断結果が出るのを待っているのだ。


「大丈夫よ、きっと。勉強し過ぎで疲れてたのよ」

「…、…、…」


ジェーンは軽いトーンで声をかけるが、スティーヴンは神妙な面持ちだ。



昨日の出来事、、、


スティーヴンとジェーンが付き合い出して数ヶ月。

天才の花が開き出したスティーヴンは勉強が楽しくて仕方なかった。


アーサーと共に図書館に引き篭もるスティーヴン。

あまりの運動不足っぷりを見兼ね久々に体でも動かそうと、ジェーンがスケートデートにスティーヴンを誘い出した。


運動はまるっきりダメかと思いきや、これがなかなかの運動神経。


「久々のスケート、気持ちいいなぁ」


何をしている時もスティーヴンは楽しそうだ。

軽く身をこなし混雑したスケートリンクを縦横無尽に滑っている。


「10年振りってウソでしょ!?何でそんなに滑れるのよぉ〜」


勉強ではなかなか勝てないジェーン。スケートは教える側に回れると思っていた。


「これも数学と物理学だよ。自分の体重からブレードと氷との摩擦を計算して、重心移動する距離を割り出せば良いんだよ」


「…、…、え…?、ウ…ウソでしょ?」


ジェーンは驚きのあまり交互に動かしていた足が止まり、両手を膝についた。

スティーヴンに向かって加速していた無邪気さが、感嘆に変化し減速していた。


「そんな計算を…、一歩一歩?」


「ハハハ、ウソだよっ、ウソ!さすがにそれは無いよぉアハハ」


スティーヴンは飾り気がなく子供の様に笑う。

そんな笑顔を見せられると、ジェーンは怒ることはできなかった。


「スティーヴン、あなたなら有り得ると思った私がバカだったわハハ」


ジェーンはそう言いながら両手を大きく広げたまま、スティーヴンの方へ滑って行った。


スティーヴンはしっかりとジェーンを抱き止めると、そのままクルックルッと2回転した。


「「ワァーーー、アハハッ、ハハハッ」」


2人は幸せだった。まるで自分たちを中心に地球が自転している様に感じた。


手を繋いで滑っていると、スティーヴンが珍しく尻もちをついた。ジェーンもその手に引っ張られ同時に尻もちをついた。


「アハハ、ハッハッハッ」


転んでも楽しそうなジェーン。

それに対して不穏な表情のスティーヴン。


「どうしたの?一回転んだぐらいで気分下げないでよハハ」


ジェーンは立ち上がり手を差し出した。


「ごめんごめん、急に足に力が入らなくなって」


それ以降スティーヴンはスケートリンクで立ち上がる事はできなかった…。


「足が…足が変なんだ…」


リンク上では立ち上がれなかったものの、陸に上がれば何とか歩く事はできた。


「あした、病院にでも行ってみる?」


「そ、そうだね…急に動き過ぎたかな…ハハ」


「そうよっ、はしゃぎ過ぎたのよ」



そして、翌日ジェーンはスティーヴンに付き添い病院へ…




医者から告げられた診断結果は…




「筋萎縮性側索硬化症。ALSと呼ばれる病気です」


医者は深刻そうな表情だ。


「えっと…どんな病気ですか?」


聞き慣れない病名にジェーンは直ぐに聞き返した。


「体の筋肉が痩せていき少しずつ動かなくなっていく病気です…」


「筋肉が…?」


…、…、…、


…、…、…、


…、…、…、


「はい…、徐々に動かなくなります…。非常に言い難いですが…、…、…、余命2年です」

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