第130話 case 5-ナンパ
アーサーはスティーヴンに特殊相対性理論を教授した。サンドウィッチを食べ、コーヒーを飲み終える頃にはスティーヴンの頭の中にしっかりと仕舞い込まれた。
本来なら数時間…若しくはそれ以上の時間をかけてなんとか理解できるかどうか…それ程の難易度の物だが。
「アーサー、君の説明は上手いよっ、凄い!教師に向いてるかもなハハハ。いや、その無愛想な感じでは教師は無理かハハハ。やっぱり学者だな」
当初はスティーヴンがアーサーに数学を教えてもらう立場であった。
高レベルな数学をどんどん吸収するスティーヴンにはアーサーも驚きを隠せなかった。
スティーヴンは超天才型自由奔放発想男。そこにアーサーという冷静沈着数学数式男が搭載された事でスティーヴン・ホーキングという天才の蕾がすくすくと花開いていった。
と、まあ2人の出会いはこんな感じであった。
そして、パーティーが催されているオリバー家に話は戻る。
「なんで左手でサンドウィッチを持つんですか?」
ジェーンは誰しもが思う疑問をぶつけた。
「右手でペンを持っているからだ」
アーサーは素っ気なく即回答した。
「え?」
ジェーンは全く意味が分からず、スティーヴンに説明を求める様に顔を向けた。
「分かんないよねぇ、アーサーは勉強教えるのは上手いけど、こう言う普通の会話は必要最小限過ぎるんだよねぇ」
「ん?そうか?」
アーサーは不満気な表情だ。
「ジェーンいいかい?アーサーは寝る間も、食事する間も惜しんで勉強してたんだ。右手には必ずペンを持っている…だからサンドウィッチは必然と左手になるって事なんだ」
「な、なるほどぉ…。説明ありがとうございますハハ…」
そんなに勉強しているのかと、少し引いたジェーン。
するとそこにオリバーとマリアが戻って来た。
「おいおい、秀才2人がナンパとはな、ハハハ」
オリバーはスティーヴンとアーサーが女性と話しているのを見て、普段よりもテンションを上げ話しかけて来た。
横にはがっちりとオリバーの腕を掴んだマリアの姿。ジェーンに向けてピースサインを送っている。
「ナンパはしてない」
アーサーは冷静に返答する。
「まあナンパをしたつもりは無かったが、こうやって同じテーブルで話をしているんだ、結果的にはナンパと一緒だろハハハ」
スティーヴンはいつも楽しそうだ。
「オリバー、もしかして彼女できたのか?」
オリバーにピタッとくっついているマリアを見ながらスティーヴンは聞いた。
「あぁ、そう言う事だ。されはそうと、バーベキューの準備ができたから呼びに来たんだ」
「そうかそうか、じゃあ、ジェーン。この後も一緒にバーベキューを楽しまないか?これは正式なナンパだ、ハハハハハ」
「ええ、もちろん」
ジェーンはにっこりと笑うとスティーヴンから差し出された手を取った。
その後、2人はすぐに付き合い出す事になる。




