第124話 case 4-テンショウ
(何やねん、この運転手。愛想悪いわぁ。まあどうでもええけど、寝よ)
タクシーに乗り込むと、すぐにテンショウは眠りについた。
ふと目を覚まし、窓から外を見ると、もう家の近くだった。
(もう着くなぁ。それにしても、この運転手えらい若いなぁ。まあどうでもええけど)
ルームミラーで運転手の顔を見ていた。
「お客さん、到着しました」
運転手はルームミラー越しにテンショウと目が合うと、すぐに逸らした。
(分かっとるわっ、何やねんこいつ、ほんま愛想悪いわぁ。何見とんねん。まあどうでもええけど)
「クッソ眠たいわぁ〜…」
タクシーを降り、気怠そうに歩き出したテンショウ。
(ヤクザとの付き合いは面倒いわぁ…、まあ儲けてしゃあないけどハハハ)
ふと正面玄関のガラス大扉に目をやると、後方にバットを振りかぶったさっきの運転手…。
咄嗟に振り向くテンショウだったが、1発目をモロにくらった…続け様に2発目。
そこからは意識は無い…。
その後、死亡。
チチチチチ…チチチチチ…シューン
"個体No.At31295 人間体験終了"
音声案内の様なものが流れる。
「痛っ!!」
テンショウは真っ白な部屋で飛び起きた。
「誰やねんっ!!」
額を押さえながら振り向いたが誰もいない。
その時、全ての記憶が蘇った。
「フハハハハハハッ!ハァッハッハッハッ!ハッハッハッ!そうやった、そうやった、ハッハッハッ、笑いが止まらんわっ、ハッハッハッ」
テンショウは手を叩きながら大笑いしている。
"At31295 は出口へ進んで下さい"
再び音声案内の様なものが流れる。
「やかましいわっ!分かってるっちゅうねん」
天井を見上げながら音声案内に向かって怒っている。
「そういや、あいつ誰やねん!あの運転手っ、また腹立ってきたっ」
痛みが無いはずの右目を押さえながら出口に向かって歩き出した。
「何で殺されなあかんねん、ほんま腹立つわぁ」
イライラしているのか、かなりの早足である。
「もう10年ぐらい生きたかったわぁ、、、、、ジジイにはなりたなかったからまあええけど。それにしても金余らせ過ぎたかハハハ、、、まあええか、女遊びも散々やったしなハハハ、ヤクザ相手も飽き飽きしてたとこや」
「ハッハッハッ、ほんでも我ながらおもろい事してたなぁ。テンショウサマってハッハッハッ、誰やねんっ、ちゅう話しやでハハハ。ようあんなもんを信じてたなぁ、アホな信者ばっかりやぁハッハッハッ」
人間の時の癖が取れず、ポケットに手を突っ込むような格好で歩きながら、大きな声で独り言を喋っている。
「ほなぁ、これからもぉ、神様ごっこでもして遊ぼかぁ〜ハッハッハッ」
「テンショウ、改め 天照。アマテラスとして神様にでもなったろかぁハハハハハハ」




