第121話 case 4-神業入り②
神業入りしたと思っていたテンショウは生きていて、ソウホンザンに祀られているテンショウサマが姉だった。
何も知らない信者たちは姉のミイラ化した遺体をテンショウサマだと思い込み、崇め、手を合わせ拝んでいる。
大阪に戻ると、これまで全く興味がなかった“世界の始まり神教”について央吾は調べ出した。
“世界の始まり神教”と言う宗教団体が設立されたのは10数年前。
跡取りのいない神社を買取り、設立された。
宗教法人と認められれば、献金への税金は免除される。
言わば税金対策としての宗教法人化が始まりのようだ。
ただ、それだけではなく闇に紛れ裏で取り引きされた金を個人献金や企業献金として受け取り、マネーロンダリングの様な事もやっている。
暗い組織とも深く付き合いがある様だ。
もちろん、信者からの献金はそのまま収入となるため、どんどん増やしていく必要があった。
テンショウサマと言う教祖を作り出し、崇めさせる。
「信じれば救われる、信じた者しか救われない」
「ゴンギョウをすれば幸せになれる、ゴンギョウをすれば心身が綺麗になる」
「立派な掛け軸を買いましょう、貴重な壺を玄関に置きましょう、テンショウサマを家へ迎えましょう」
「献金すれば救われる、金額は多い方が良い」
どの宗教団体でも言っている定型分である。
どこにでもある宗教団体。
どこにでもある教え。
傍から見れば、いたって普通である。
信者集めに優秀な人材を幹部とし、多額の報酬を払う事で、競って幹部になろうとする環境を作り、設立から数年で一気に信者を増やしていった。
央吾の母親も幹部になるために、躍起になっていたのだろう。
おそらく、執拗な勧誘…、献金の強要…、そんな事もしていたのだろう。
そして、姉の神業入り…
姉が居なくなったあの日…央吾たちとは別の入り口へ母親と歩いていっためぐみ。
西中島らが待つ部屋に連れて行かれると、ジュースに混ぜた睡眠薬を飲まされ、めぐみは眠らされた。
目覚めると真っ暗な部屋の中。当然泣き喚くめぐみだが、誰も助けには来ない。
定期的に鈴が鳴る。紐を引っ張り助けを求めるめぐみだが、何の返答も無い。
ある時、暗闇の中、液体の入った入れ物を見つける。
お腹が空いていためぐみはすぐに飲むが、それは漆…、綺麗にミイラ化するための漆である。
こんなもの飲めない…そう思ったが、空腹には勝てずその漆を少しずつ飲む事になる。
が、数日が過ぎ…、数週間が過ぎ…、死に絶える。
数ヶ月後ミイラ化しためぐみの遺体を掘り出し本堂へ祀る。
そう、テンショウサマの代わりに神業し御神体となったのが、姉のめぐみである。
そして、本物のテンショウはと言うと、めぐみと言う隠れ蓑にしっかり隠れ、豪遊していた。




