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人間体験  作者: hi07


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117/147

第116話 case 4-央吾の行方

高梨央吾がいない。

その事に最初に気付いたのは、央吾を迎えに来た施設の担当者。

何度インターホンを鳴らしても出て来ない。

玄関の鍵はかけられておらず、玄関からも何度も声をかけた。

しかし、返事はなく人の気配すらない。


ここ数日の経緯を知っているその担当者は自殺の可能性も考え、恐る恐る家中の部屋を見て回ったが央吾の姿はどこにも無い。

直ぐに警察と学校に連絡を入れたが行方が分からない。


当然、野球部やユージローたちにも情報が入り心当たりがある場所を探したが、央吾どころか目撃情報すら無い。


警察も捜索を開始したものの、何の情報も無いままにただ闇雲に探すしかなかった。

自殺の可能性が濃厚であるが、遺体が見つかったという情報も無い。飛び降りや飛び込みならすぐに情報が入るはず。


この辺りは田舎で山も近い。

央吾の自転車は家に置いてあった事から、徒歩圏内での山を重点的に捜索が開始された。


しかし、何も見つからないまま数日が過ぎ、数週間が経った頃には捜索員に割り振られる人数も激減した。

そして何の手がかりも無いまま数ヶ月が経つと、警察は署内や交番などへのポスターの掲示によって情報提供を待つ事にした。

実質の捜索打ち切りである。


死亡した確率が高いと判断したのだろう。




更に数ヶ月が経過、、、、



「オーゴ、どこ行ったんだろぉな」

「さぁな…、…、…」


野球部1年軍団、もとい2年軍団は練習を終え、いつもの様にコンビニでだべっていた。


「…、…、生きてるよなっ?」

「ったりめぇだろっ、変なこと言うんじゃねぇよ」


ナオトの空気を読めない言葉に、コタニが声を荒げた。

友人たちの中で央吾と最後の言葉を交わしたのはコタニだった。


「もうこの辺にはいねぇのかもな」


スグルがカロリーメイトをかじりながら言う。


「じゃあ、どこにいんだよ?」

「ん〜、大阪とか?」

「何で、大阪なんだよ?」

「ん〜、勘?」

「なんだそれっ」

「スグルの勘は結構当たるからな」

「そう言やぁ、佐々木さんと大阪で住みたいとか何とか言ってたよな」

「ハハ、言ってた、言ってた」

「俺たちぐらいには行き先、言っとけよなぁ」

「だよなぁ、挨拶もしねぇでよ」

「あぁ、水臭ぇよな」

「何?その水、臭ぇの?」

「ナオトはやっぱ、バカだな」

「何だとっ、どう言う意味だよっ」

「いや、そのまんまだろっ」


またいつものナオトとアキラの喧嘩が始まった。

この2人の喧嘩は呆れるほどくだらないが、重い空気が軽くなり、少し和やかになる。

2人はそれを分かっていて喧嘩している様な気もする。


「また喧嘩してんのか?」


女子と2人で歩くユージローが声をかけて来た。


「何だよユージロー、彼女出来たのかよ?」

「ん?あぁ、そうだ。彼女の西田アキさんだ」


「?…、西田…アキ…って、オーゴに告っ「バカッ!!余計な事言うんじゃねぇよっ」


スグルがナオトの言葉をかき消しながら頭を叩いた。


「痛ってぇなぁ〜、何すんだよスグル」


ナオトはやっぱりデリカシーが無い。


「ん?アキさんが何だ?」

「いや、何でもねぇよ。お似合いだわ」


スグルが、すかさずフォローした。


野球部仲間やユージローら友人たちも、央吾の心配をしながらも徐々に普段の生活へと戻っていった。

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