第112話 case 4-曇る表情
葬儀場を後にし一度学校に行ったが、体調が優れない央吾は保健室のベットで横になっていた。
(佐々木さんちも神教だったんだな…、まさか母親がいるとは…、ビックリしたな…、こんな偶然あるんだな…、…、…、まあ…あるか…、…、…いや…ないか…、どっちでもいい…)
佐々木の葬儀で母親が居た事に驚いた央吾だが、あまり気に留めていなかった。
そんな事よりも佐々木との思い出が頭を巡る。
目を瞑ると、そこにはあの佐々木が笑っている。
(試合見に来てくれるって言ってたのに…、佐々木さんの前でヒット打ちたかった…浴衣着て花火大会…、楽しみにしてたのに…、…、…、無理心中って何だよ…、何で子供を道連れにすんだよ…、ふざけんなっ…、ちくしょう…、クソッ、クソッ、クソッ…、…)
心は崩壊し始めていた…。胸が痛い…、腹が痛い…、頭が痛い…、目まいも治らない…。
いくら目を瞑っても眠れない…。
突然の嘔吐…
だが食欲も無く、水分ぐらいしか口にしていない央吾の胃は空っぽで何も出てこない。
濃密な胃液だけが、央吾の口の中を汚す。
保健室の大西先生が背中をさすってくれるが、気分が良くなる気配すらない。
今日も帰宅する事にした。
迎えを呼ぶように言われたが、「分かりました」とだけ答え、一人でフラフラしながら家まで歩いた。
家に着いたが、母親はまだ帰っていない様子。
水を一杯だけ飲むと、嘔吐に備えビニール袋を持ち自分の部屋に上がった。
チロに今日の出来事を話している内に、気付けば夕方になっていた。
座ったまま寝ていたのかも…。
それすらも分からない程、意識は朦朧としていた。
リビングに降りると母親がいた。
「今日も早退したんでしょ?体調どうなの?」
「…、目まいもするし、気分悪ぃ…」
…、
「おかゆでも作ろうか?」
少し間を置き、面倒臭そうに母親が聞いて来た。
「…、いや、いらない。ポカリある?」
「多分、そう言うと思って、さっき買って来たわよ」
央吾はテーブルの上に置いてあったレジ袋からポカリを取り出し飲んでいると、
「今日、佐々木さんとこの葬儀来てたのね。娘さんと知り合い?」
(そう言えば、俺が泣き崩れてるの見てたか?まあ、いっか、考えるのも面倒臭ぇ)
「…、…、ん、あぁ。同じ学校だしな」
「そう」
(何だよ、そのそっけない返事…まあ詳しく話すつもりもねぇけど)
「テレビ着けてくれる?」
央吾は返事もせずリモコンの電源ボタンを押すと、そのままトイレへと向かった。
トイレから戻って来た央吾がリビングの扉を開けると、目の前のテレビに釘付けになっている母親。酷く深刻そうな表情だ。
央吾も気になりテレビを見ると、ニュースだった。
一瞬にして、央吾の顔が曇る…。
(…、は?…、…、…、…、は?…、…、は?)
佐々木の母親が殺人容疑で逮捕された…




