第107話 case 4-別れ③
佐々木が亡くなった…
そんなセリフを今ユージローが真剣な眼差しで言った。
「…?、…、…、…、?、、、、、」
全く状況を掴めない央吾。
「…、…は?…、…何だよそれ…、…、…何の冗談だよ…、…」
平静を装う央吾だが声は震え視線も定まらない。
「今言った通りだ…、…、ミオさんが…、…、…亡くなった…、…、…」
ユージローも受け止められていない表情だが…、もう一度央吾に伝えた。
「な、何言ってんだよっ!訳分かんねぇこと言ってんじゃねぇぞっ!」
央吾はユージローの胸ぐらを掴みながら睨みつけた。
ユージローは何も言わずに真っ直ぐに央吾の目を見ている。
「ほ、本当だと…、思う…。ぉ、俺も…担任から…、そぉ聞ぃた…、…」
タケシは視線を落としながら、尻すぼみにたどたどしく喋った。
(分かってる…ユージローはこんな冗談を言うやつじゃない…分かってる…分かってる…)
央吾はユージローの胸ぐらを掴んだまま、荒い呼吸を少しずつ押し殺す様に…ゆっくりとタケシに視線を動かした。
うつむいたままのタケシ…、当然…嘘を言っている様には見えなかった…
央吾の呼吸がまた徐々に荒くなってくる…と、同時にユージローの胸ぐらを掴んでいた手の力が抜けていった…
目の焦点が合わない央吾…
「ひ、っじ、じ…事、故か…?」
うまく喋れない…
「分からない…、俺たちも亡くなったとしか聞かされてない」
ユージローは瞬きもせず、真剣な眼差しだ。
(2人は嘘を言ってない…多分、…いや、言ってない…と思う、…、…、でも…、…、どういうことだ…、…?、…、…、…)
“亡くなった”その単語の意味は分かる…ただ央吾には全く理解出来なかった…
…、…、…、
…、…、…、
…、…、…、
…、…、…、
思考が停止した…
いや、央吾の心が考える事を拒否した。
チロの死さえもまだ受け止めきれていない状態なのに…、…、佐々木の…死。
脳をかき混ぜられ、心に熱湯をかけられ、それら全てが行き場の無い感情とグチャグチャに混ざり合い…頭と心がどうになりそうだ。
今にも感情の全てが皮膚を突き破り、出て行きそうだった。
…、
…、
…、ぉぃ
…、ォーゴ
…、ぉいっ
「おいっ、オーゴ、大丈夫か?顔色悪ぃぞ」
タケシが呼んでいた。さっきから何度も声をかけていたが、央吾には聞こえていなかった様だ。
…、…、…、
タケシの声に少し反応はしたものの、無言の央吾。呼吸が不規則で荒い…
…、…、…、
「悪ぃ…、…お前たちの、事…、…信じてねぇ訳じゃ、、ねぇけど…、…、やっぱり…、…、…信じらんねぇわ」
央吾はそう言うと振り返り歩き出した。




