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人間体験  作者: hi07


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103/130

第102話 case 4-沈黙の佐々木

野球部軍団とは別れ、佐々木の家へ向かう2人。


「全く記憶にないわぁ、そんなにヤバかった?」

「アハハ、ほんとに記憶無いんだね。めちゃくちゃ面白かったよ」

「何だよぉ、佐々木さんまでぇ」


央吾は恥ずかしそうに、少し拗ねた表情。


「ハハハ、ごめんごめん。でもそんなに美味しかった?」

「めちゃくちゃ美味しかったよっ、そこだけはちゃんと覚えてる。なんか体もポカポカしてきて癒された感じ」

「お風呂に入った感じ?」

「そうそう、日光をしっかり浴びた干したての布団にくるまった感じ」

「それはそれは癒されてますねぇ」

「はい、かなり癒されました。何せ1兆倍だからねぇ」

「アハハハハハ」


佐々木の笑い声、楽しそうな顔、その全てが央吾にとって癒しであった。

佐々木と手を繋いで歩いているだけで、一緒にいるだけで央吾の心は暖かくなり、毎秒修復されて行く。


…、…、…、


…、…、…、


…、…、…、


しばしの沈黙…。


トンッと佐々木の左肩に力強くも穏やかな衝撃。

トンッと央吾の右肩にも可愛い緩い衝撃。


肩ぶつけ合いモールス信号が始まった。


それが数分間続く。幸せな数分間だ。


普通ならコンビニから佐々木の家まで10分程度だが、2人はいつも20分以上をかけ歩いている。


誰にも邪魔されない2人だけの時間。

家、学校、勉強、部活で疲れ切った体を癒す。

お互いがお互いのオアシスであり、安らぎの場であった。


「央吾君ってさ、大学とかどうするの?」

「いやぁ〜、全然ちゃんと考えてないわぁ。佐々木さんは?」

「私もぉ〜、でも都会に住みたいなぁ、って漠然と思ってますハハ」

「俺もっ俺もっ、大阪とか京都とか」

「いいよねぇ〜、一人暮らし憧れるよねぇ」

「佐々木さんと家が近くなら、いいなぁ」

「…、…、…、」


沈黙の佐々木…。


「あれ…?近過ぎたら…、…嫌?…だった?…」


頬を赤くし、恥ずかしそうな表情…


「違う、違う。一緒にね、…、…、住めたら、いいなぁ、とか思っちゃってましたハハ」

「それが一番良いです!!ハハハ…、…、でも、お父さんが許してくれないよねぇ…、…」


…、…、


また、沈黙…。


…、…、


佐々木が自称だっふんだ顔をした。


「ハハハ、ハッハッハッ、またしゃくれてるっ」


さすがに一緒に住む事は出来ないが、大学生になって、お互い一人暮らし。そんな未来が楽しみで仕方なかった。


お互いに、だっふんだ顔をやり合い、笑いながら歩を進めた。



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