第101話 case 4-カロリーメイト
絶頂の最中からの、佐々木による追い討ちモンブランにより央吾の意識は空高く舞い上がっていた。
「い…、…、…」
そして、央吾はまた何か喋り出しそうだ。
「い?」
「次は何だっ??」
「ハッハッハッ、もう無理っ、もう無理っ、腹痛ぇよ」
「いよいよ、壊れたかハハハハハ」
…、
…、
…、
「1兆倍モンブラン」
「「「ダハッハッハッ、ダハハハハッッッ」」」
「はい、壊れましたぁ〜」
「1兆倍って小学生かよっ」
「ハッハッハッ、腹痛ぇ、腹ちぎれるわっハハハ」
「遂に天に召されたな、ハハハハハ」
「おいっ、誰か仙豆。仙豆持って来いっハハハ」
「戻ってこいっ、戻ってこいっ、オーゴ〜」
この日一番の大爆笑が巻き起こった。
佐々木も腹を抱え、目に涙を浮かべながら、笑い声が音にならない程笑っている。
「ハハハ現実に戻って来い。仙豆を食えっ!」
スグルが食べていたカロリーメイトを央吾の口へと押し込んだ。
パッと目を開く央吾。
「わっ!何これっ、マズッ!」
「いや、不味くねぇだろっ!」
1兆倍モンブランからの普通カロリーメイトに落差があり過ぎたが、我に返り味わう央吾。
「カロリーメイトかっ、美味っ」
「だろ?栄養バランス満点だぞ、これまで散々お世話になってんぞ」
「大塚製薬さん、さーせん!」
央吾は急に立ち上がると、振り返り謝った。
「律儀かっ、ってかどこ向いて謝ってんだよ」
「だって徳島ってあっちだろ?」
「徳島はあっちだよ」
即、佐々木は90度違う方向を指差しながら言った。
「バカだなぁ、オーゴはぁ」
「うっせぇなぁ、ちょっと間違えただけだろ」
ナオトに馬鹿と言われると異様に腹が立つ。
「おっ、いつも通りのオーゴだ」
「さすがスグル」
「危なかったなぁ、オーゴ、ハハハハハ」
「もう少しで天国に昇って行くとこだったぞ」
「ハッハッハッ、スグルは命の恩人だな」
「カロリーメイト様々だな、ハハハ」
「?…、…、…、?…」
やはり、佐々木の“あ〜ん”攻撃以降、カロリーメイトを口にするまでの間の記憶が無い様だ。
“あ〜ん”以降の説明をスグルから聞いた央吾は顔をムックの様に真っ赤にし信じられない様子だ。
「うそでしょ?」
佐々木に確認する央吾。
「ううん、全部ほんとぉ。スグル君の説明の通りでぇす、ハハハ」
「マジ!?」
「マジ、マジ。あぁ〜面白かったぁ」
「1兆倍って…、…、俺、小学生かよ…」
「アハハハハハ、スグル君と同じ事言ってるぅ」
思い出し笑いする佐々木に釣られて、央吾以外の野球部軍団もまた笑い出した。
「1兆倍モンブランは良かったなぁハッハッハ」
「オーゴ顔真っ赤だぞ」
「ガチャピンからムックになってるよっ、ダッハッハッハッ」
「一人ポンキッキーズかよっ」
「もういいだろっ、佐々木さん帰ろ帰ろ」
「アハハハハハ、うん、帰ろう帰ろう」
央吾の天にも昇る絶頂の時は過ぎ、それぞれが家路についた。




