第100話 case 4-追い討ちモンブラン
この日、央吾は佐々木の“あ〜ん”により『20倍プリン』を手に入れた。
「20倍プリンだぁ…」
央吾は無意識に感情が口から溢れ出た。
「何だよそれっ、界王拳的な?」
「アハハハハハ、オーゴ20倍界王拳は体が壊れるぞっ」
「ヤバッ、オーゴの奴、喋った事に気付いてねぇよ」
「オーゴ、何だよその顔」
「どうした?眠たくなったか?ハハハハハ」
「またガチャピンみたいな顔になってるぞ」
「ほんとだ、目がまん丸なのに垂れ下がってるわハハハ」
「アッハッハッ、目が虚ろになってんぞぉ〜、
大丈夫かぁ〜?」
いつもなら速攻でツッコミを入れる央吾だが、今はそんなガヤも聞こえない程、至福の時間を味わっている様である。
そんな至福の絶頂にいる央吾に更なる追い討ちをかける佐々木。
「はい、モンブランも、あ〜ん」
プリンを食べ終えた佐々木は立て続けにモンブランを央吾の口元へ運んでいる。
央吾は意識があるのか無いのか…
ただ表情は非常に幸せそうだ。淡いオレンジとピンクの優しいモヤに包まれている様にすら見える。
次々に口の中へ運ばれるモンブランを只々受け入れていた。
「はい、終わりぃ〜。あとの半分は私のでぇす」
佐々木は一仕事を終え、満足気にモンブランを食べ出した。
…、
…、
「出るぞ、出るぞ。20倍モンブラン」
ナオトが煽り出す。
全員が央吾に注目していた。
が、央吾はまだ放心状態の様だ。口をリスの様にモグモグし、至福のモンブランを味わっている。
…、
…、
…、
「に、…、…、…、」
央吾が何か喋り出しそうだ。
「に?」
更に注目を浴びる。全員が“20倍モンブラン”を期待し、固唾を呑み待っている。
…、
…、
「40倍モンブラン」
「「「ダッハッハッハッ」」」
「に、って何だったんだよっ」
「言い換えたよ、言い換えたよ、こいつっ」
「さらに倍っ!!」
「クイズダービーかよっ」
「やめとけオーゴ、それ以上は体がもたねぇ」
「ハッハッハッハッ、ダッハッハッハッ」
残りの半分を食べていた佐々木だが、央吾の反応に楽しくなったのか、笑いながら最後の一口を央吾の口へと運んだ。
「ダッハッハッハッ、佐々木さん、それはヤバい!オーゴの体が壊れるっ」
央吾にはもう何も聞こえていない…
目は極限まで垂れ下がり、ほぼ開いていない。
…、モグモグ…、
モグ…、…、
…、…、モグ…、
…、…、…、…、
「モグモグ…、…」
「「「ダッハッハッハッ、ダッハッハッ」」」
「モグモグって言ったよっ」
「ハッハッハッ、効果音だぞそれはっ」
「これ、確実に天に昇ってんな」
「もう口に何も入ってねぇだろっ、ハハハハハ」
「い…、…、…」
満面の笑みで目は瞑っている。
央吾がまた何か喋り出しそうだ。




