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第7章ー50  グレンの決意

前回の続きです。ここまで読んでいただいてありがとうございます。


グレンの言葉に、部屋に一瞬の沈黙が流れた。

だが、その沈黙を破るように再びグレンが続ける。


「今、ギルド職員を兼務しているが……ハンターに専念したい」


その顔は、これまでにないほど真剣だった。


エーリヒは表情を変えないまま、静かに問いかける。


「そうか。よければ理由を聞かせてくれないか」


グレンは一瞬だけ視線を落とし、すぐに顔を上げる。


「難しい理由はねぇ。ただ――今より強くなりてぇと思ったからだ」


そう言って、わずかに笑った。


その言葉を聞いたエーリヒの表情が緩む。


「そうか」


小さく頷き、破顔する。


「ハンターとして……いや、戦士として強くなりたいのは当たり前だ」


そして、はっきりと告げた。




「わかった。了承しよう」


一拍置いて、穏やかに続ける。


「で、その“そう思った理由”を、よければ聞かせてくれないか」


グレンは短く息を吐く。


「世の中には、俺より凄い奴がたくさんいた」


視線はどこか遠くを見ていた。


「そいつらに追いつきたい。ただ、それだけだ」


その言葉の裏にあるものを、エーリヒは感じ取っていた。


グレンの脳裏に浮かんでいたのは――


αチームの面々。

その中でも、冷静に戦場を支配するバルカの頭脳。


そして――


好敵手、ジョッシュの姿だった。


追いつきたい。

越えたい。


その想いが、グレンの中で確かな形になっていた。




グレンの決意を聞き、エーリヒが静かに問いかける。


「そうか。それで、どうするんだ?」


一拍置いて続ける。


「どこかのクランに入るのか?あのグレンがハンターに専念するとなれば、引く手数多だろう」


グレンは小さく息を吐いた。


「いや――つるむ奴は()()()()()()()


その言葉に、エーリヒは何も言わず、ただ次の言葉を待った。

まるで答えを知っているかのように。


グレンは迷いなく口を開いた。


「ロゼッタの所だ」


短い一言。だが、はっきりとした意思が込められていた。


エーリヒは驚きもせず、理由も問わなかった。


代わりに、ゆっくりと頷く。


「……そうだと思った」


穏やかな声だった。


「あの娘がこの街に来て、お前が面倒を見始めてからだな」


わずかに笑みを浮かべる。


「お前が生き生きし始めたのは。ベテランの中でも、“破壊者(クラッシャー)グレンが帰ってきた”と話題になっていた」


その言葉に、グレンは苦笑した。


「あいつと出会ってから、色んな事が一気に起こった」


遠くを見るような目になる。


「たった数か月で、何年分もの経験をした気がする」


そして、静かに続けた。


「何より――」


わずかに口元を上げる。


「俺より遥かにすげぇ奴に出会った」


その言葉には、悔しさではなく――

確かな高揚と、追いかける者の覚悟が込められていた。




エーリヒは腕を組み、グレンを見据えた。


「立場としてはどうする?」


一拍置いて続ける。


「お前がクランを立ち上げて、ロゼッタ達を加えるのか?」


グレンは首を横に振った。


「いや――あいつのチームに入らせてもらう」


迷いのない声だった。


「あいつの側にいれば強くなれそうな気がする。何より退屈しねぇ」


わずかに笑う。


「ハンターの先輩として、エレナと一緒にあいつを守り立てていく」


その言葉に、エーリヒは静かに息を吐いた。


「……お前程の者に、そこまで言わせるとはな」


グレンは肩をすくめる。


「実際の所、俺にもよくわからねぇんだ」


少しだけ遠くを見る。


「ただ、あいつといると何かが起こる。良くも悪くもな。それがたまらなく楽しい」


苦笑が混じる。


「それにな――」


言葉を続ける。


「あの一匹狼のエレナが、ロゼッタのチームに入ったときは驚いたさ」


思い出すように、わずかに目を細める。


「しかも俺やギルドに対して “あの娘に無茶を押しつけたら許さない” って啖呵をきった」


小さく笑う。


「あいつのあんな顔、見たことなかった」


さらに続ける。


「あとはな、旧軍事基地で眠っていて、操られていたアマルダも救われて、ロゼッタに剣を捧げた」


「それに――あんたも知ってるだろ?」


視線が鋭くなる。


「αチーム。あの四人組がロゼッタに心を許してる」


ゆっくりと首を振る。


「全く、不思議な奴だよ」


そして、少しだけ声の調子が変わる。


「俺自身強くなりたいと思ったのは事実だ」


だが、それだけではない。


「だが同時にな……見たいんだよ」


真っ直ぐに言った。


「あいつの行く末をな」


一瞬の静寂。


グレンは最後に、確信めいた声で告げた。


「ハンターとしての直感だが――あいつはでかくなるぜ。とてつもなくな」




グレンの言葉を聞いて、エーリヒはゆっくりと頷いた。


「わかった。お前がついてくれれば安心だ」


そう言ってから、少しだけ表情を引き締める。


「あの娘はな――トンネルの件で旧文明の管理ロボットから、

契約に際して名前を入れるように要請された娘だ」


グレンの眉がわずかに動く。


「……それがどういう意味か、わかるな」


エーリヒは静かに続ける。


「それは彼女が、旧文明に対してのアクセス手段を得たに等しい」


その重みは、言葉以上だった。


「ギルドとしても、あの娘は貴重な存在だ。実績も、もう無視できない段階に来ている」


そこまで言ってから、ふっと力を抜く。


「だがな――」


苦笑が浮かぶ。


「あの娘は、いい意味でも悪い意味でも規格外だ」


机に軽く指を打ちながら続ける。


「望んでいなくても、大事件に遭遇している」


「しかも大きな実績程、表に出せないものばかりだ」


肩をすくめる。


「本人はまったく気にしていないが……本来なら、とっくにCランクになっていてもおかしくない」


一息つく。


「ただ、()()()()()が足りなさ過ぎるだけだ」


グレンも思わず苦笑した。


エーリヒはそのまま視線を向ける。


「だからお前が、()()()()()()()()()を教えてやってくれ」


グレンは少しだけ考え、そして肩をすくめる。


「できるだけやってはみるが……」


口元に笑みが浮かぶ。


「あいつの場合、大事件が向こうから来るからな。保証はできねぇぞ」


その言葉に、エーリヒも吹き出す。


「……確かにそうだな」


二人の笑い声が重なる。


静かだった部屋に、久しぶりに柔らかな空気が広がった。




続く

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