第7章ー45 突然の帰還
前回の続きです。ここまで読んでいただいてありがとうございます。
ロゼッタ達が建物を見て、各自様々な想いを抱いている時、ロゼッタ達の背後から声がかかった。
「話には聞いたけど、凄い事になってるじゃない!」
その声に振り返ると、そこには1人の女性が立っていた。
女性にしては大柄で、作業服を着込み、腰には工具袋を巻いている。
赤茶色の髪を無造作にまとめ、年齢はラベートより少し上に見えた。
どこかセリカに似た雰囲気を持っている。
女性はそのままセリカとラベートに歩み寄ると、笑いながら肩を叩いた。
「久々ねぇ、元気にしてた?」
そのままロベルトの方へ向かい、自然な流れで談笑を始める。
突然の出来事に戸惑いながら、ロゼッタがセリカに小声で尋ねた。
「セリカ、あの人セリカに似てるような感じだけど……お姉さんか何か?」
その言葉にセリカとラベートが顔を見合わせ、苦笑を浮かべる。
「あの人、私のお母さん」
その一言に、その場の空気が一瞬止まった。
「お母様!?」
ロゼッタが思わず声を上げる。
他のメンバーも同様に驚きを隠せない。見た目はどう見ても二十代後半にしか見えない。
だが、雰囲気は確かにセリカと重なっていた。
これまでセリカと行動を共にしてきた中で、母親の話題は一度も出なかった。
皆、何か事情があるのだろうと察し、あえて触れてこなかっただけに、
その登場はあまりにも突然だった。
困惑するロゼッタ達に、ラベートが少しだけ補足する。
「母さんも技術者でね。企業連合に属してる企業に勤めてるんだ。年に何回かこうして帰ってくる」
セリカも続ける。
「別に仲が悪いとかじゃないからね、その……」
歯切れ悪く言いながら視線を逸らす。
その視線の先では——
ロベルトと女性が、まるで久しぶりの再会を喜ぶように抱き合っていた。
ロベルトと再会を交わした後。
「広い所に引っ越したって聞いたけど、まさかここまでとはねぇ」
セリカの母親は、そう呟きながら、整備場をぐるりと見渡した。
いくつものガレージ、広さと活気、行き交う人々と機械の音。その全てを確かめるように目を細める。
ロベルトが一歩前に出て、ロゼッタの方へ視線を向けた。
「彼女が、ここの管理を任せてくれたロゼッタさんだ」
ライラが軽く頷き、柔らかな笑みを浮かべる。
「初めまして。セリカがお世話になってます。セリカの母のライラです」
突然の挨拶に、ロゼッタは一瞬言葉を詰まらせたが、慌てて姿勢を正す。
「ロ、ロゼッタです。初めまして……セリカには、こちらこそお世話になってます」
少ししどろもどろになりながらも、なんとか言葉を返す。
挨拶が一段落すると、ラベートが腕を組みながら首をかしげた。
「母さん、いつもと帰ってくる時期が違うけど……どうしたの?」
その問いに、ライラは少しだけ照れくさそうに頬をかいた。
「父さんがね、広い所に引っ越したから手伝って欲しいって連絡がきたの。
だから――会社辞めて帰ってきたのよ」
その一言に、セリカとラベートが同時に目を見開く。
「えっ……辞めたって……」
「……」
驚きの声が重なる。
ロベルトはそんな二人を横目に見ながら、静かに口を開いた。
「規模も大きくなってきたからな。手が足りなくなってきたんだ」
「それにな……」
そして、ライラの方へ視線を向ける。
「何より母さんの得意分野も、ようやく生かせるようになった」
ロベルトの言葉を聞いて、ライラは笑みを深めた。
それを聞いたグレンが、ロベルトに視線を向けた。
「親父さん、ライラさんの得意分野ってなんです?」
その問いに、ライラが軽く肩をすくめて答える。
「一応、車両関係だね。武装も開発してたよ」
何気ない口調だったが、その内容にラベートが補足するように口を開いた。
「母さんは、車両製造大手のアイランド重工で開発主任をしてたんですよ」
その言葉に、グレンとエレナが同時に声を漏らす。
「へぇー……」
感心の色がはっきりと滲んでいた。
リンも目を丸くする。
「その会社、聞いたことある……」
するとエレナが腕を組みながら頷く。
「戦車を含めた車両分野じゃトップクラスの会社よ。そこの開発主任って……相当すごいわね」
周囲の反応に、ライラは少しだけ苦笑を浮かべた。
「まぁ、開発主任って言っても何人もいるしね。
よく言えば堅実、悪く言えば……大量生産向けの、面白みのない車両ばかりよ」
そう言って、どこか遠くを見るような目をする。
「どこかで辞めようとは思ってたのよ。そんな時に父さんから連絡が来てね」
ライラはゆっくりと敷地内を見回した。
整備場、ガレージ、行き交う人々、積み上げられた資材
――かつての職場とはまるで違う、自由で雑多な空気。
「 “お前の好きな車を作ってくれ” って言われてさ。来てみたら……びっくりしたわ」
そして、小さく笑う。
「ここなら、本当に作りたいものが作れる」
その笑顔には、これから始まる何かへの期待がはっきりと宿っていた。
ライラがロベルトの方を見て、どこか楽しそうに口を開いた。
「そういえば聞いたわよ!作った車が、あのホワイトファングに売れたって!」
その言葉に、ロベルトは少し照れくさそうに頭をかいた。
「まぁ……軽車両だけどな」
苦笑混じりの返答だったが、ライラはすぐに首を横に振る。
「軽車両でいいと思うわ」
きっぱりと言い切ると、そのまま言葉を続ける。
「戦車みたいな大型車両はね、どうしても信頼性が最優先になるの。だから大手が強い。
でも軽車両は違う。汎用性が高いし、価格も抑えられる。
現場で数が必要になるのは、むしろこっちよ」
周囲の面々も、その理屈に納得するように頷いていた。
ライラはさらに続ける。
「それにね——戦車って、結局 “主砲を撃つための車両” なのよ」
その一言に、グレンが小さく笑う。
「まぁ、言い方は乱暴だが間違っちゃいねぇな」
ライラも軽く笑いながら頷いた。
「主砲が主役で、車体はそれを成立させるためのもの。
だから構造も設計も制約だらけ。拡張性もほとんどないし……正直、作ってて面白くないのよ」
そう言って肩をすくめる。
「その点、軽車両や中型車両は自由度が高い。何を積むかも、どう使うかも、設計次第。
だから——作りがいがあるの」
最後に少しだけ苦笑を浮かべるが、その目ははっきりと輝いていた。
続く
某戦車が活躍するRPGでも、実は戦車以外の車両が好きだったりします。
1作目のバンなどは、塗装によっては救急車になり、そこに特殊兵装をガン積めして運用してましたね。
人々を救う救急車に武装させるというぶっ飛んだ設定が好きでしたね。あと2作目の野バスも好きですね。4作目の出前用バイクは笑いました。3作目の神輿に関しては…ノーコメントです。
今後はそういった戦車以外の乗り物を魔改造して武装させて登場させれたらと思います。
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