弱肉強食
なんでこんなしょっちゅう変更するかというと、基本的に仮の状態で投稿しちゃうせっかちな性格だからです。
「ここが…いいかな」
木々の隙間から暖かい日の光が差し込む森の中、小さな水たまりのある場所に一匹。立ち止まる。
「うっし…」
地面に転がり、においを誤魔化す。
「ゲルミナーレ」
腹の方から翠緑に輝く幾何学模様の図面が浮かび上がる。
寝っ転がった場所から青々とした長い草が伸び、私の身体を覆い尽くした。
魔力はあまり増えなかったが、どうやら私は植物魔法が得意なようで、1番素早く発動できる。
まぁ『大自然の寵愛』という才能スキルのおかげというのがほとんどだろうが。私の基礎植物魔法に関しては破詠級という域まで達しているらしい。他はからきしだったが。
長い草の中じっと、じっと一匹で待つ。
それからしばらくして――
「………来た」
小さな水たまりに緋色の小鳥が数羽、水浴びに来た。
「今度こそ…!」
自身の尾尖に先程と同じように蒼く輝く魔法陣がが形成される。
『永遠なる静寂をここに』
「コンゲラーテ」
小声でそう唱えた。
すると今度は小さな水たまりが一瞬で凍りつく。
何匹かは視線に気がついて逃げ出したが、気づくのが遅れたうち2匹は足を凍らされてその場から動くことができなくなった。
「ようやく…」
草の中から飛び出し、2匹に近づく。
「ごめんな…これも生きるためなんだ…」
口をゆっくりと口を開け、温かい力と共に黄金色に包まれた顎が小鳥の頭をとらえる。
喉が千切れんばかりのか細い悲鳴が辺りに響き渡るが虚しく。
少し抵抗があった口の中のものが突然ぼろ雑巾のように生温かい液体を吐き出し、潰れる。
生きているものの生命を奪うことに未だに抵抗感がある。
もう一匹にも取り掛かろうとしていた所、後ろから声が聞こえた。
「あぁ~いい調子よ!魔法のねらいも定まってきたわね!」
母さんだ。口に加えていた大きなネズミを下ろしてそう言った。
「尻尾をホース…って言ってもわからないよね。まぁ分断された水いっぱいの管状の蔓の切り口をすぼめたら水が勢いよく出るみたいに、魔力の勢いを強くする事で、魔力がまわりに散らばらないようにしたんだ」
「へえぇ〜そんなやり方があるのね。ニオイ消しも、姿隠しも、『氣』の使い方もバッチしね!ただし…」
突然前脚をふり、私のすぐ側の地面にいたナニカを叩き潰した。
「せっかくのエモノを見逃しちゃうのはよくないわね〜一度捉えたら死ぬまで離すようなヘマしちゃダメよ?もぉ~」
血と紅い羽根で汚れた肉球を見せつけてそう言う。
「ヒエッ…」
どうやら逃げ出そうとしたもう一匹を仕留めたらしい。しかし、原型はとどめておらず、潰れたトマトのようにぐしゃぐしゃだった。
食べれるところ残ってるのかな?
「ごめん母さん…腹ペコだからもう食べていい?」
もうムリ限界。
「いいわよ!ゆっくり食べてね!」
自分で捕まえた小鳥を食べる。
私は後で吐き出すのが面倒なので、器用に羽根を抜き取って肉の部分だけを食べている。
なぜこうなったかというと、早く魔法を上達させる方法を聞いたところ、
『死にものぐるいでやるしかないわ!ということで、私は一切手伝わないから自分ひとりで魔法を使ってご飯を手に入れてね!』
ということになったのだ。
本来、弱った獲物にトドメを刺させるのが猫の狩りにおいてのはじめの一歩なのだが、この母猫は我流で全てを進めてきたので、そんな方法はつゆ知らず。私は狩りの『カ』の字も知らない状態からスタートすることになったのだった。
「やっぱりあなたは天才よ!自分の弱点を補うための対策なんて、頭で理解してもそうすぐ簡単にできるものじゃないわ!さすが私の息子ね!」
「あ………」
最後のひと言に私は何とも言えない表情を浮かべた。
「?どうしたの?」
「うん、そうだね。ありがとう」
しかし、すぐに元の顔に戻してそう答える。
そう…だな。そうだもんな。
彼女から見たらそう見えて当然なのだ。
私が転生者という事しか伝えていないのでそれも当然なのだろうが。
この話を、いつ言うべきなのか…
私には切り出す勇気もない。
まだ何も知らない今はこうやって笑って接してくれているが、果たして彼女は…母さんは許してくれるのだろうか…
「あぁ〜!やっぱウワキリネズミはコッテリした脂と肉付きが良くて美味しいわーっ!」
骨ごとバリバリ食べてる…
「……ふふ」
気にしてもしょうがないか
「ふふふ………」
目が合った母さんも釣られて笑う。
「「あははははっっっ!」」
2匹とも大きく、楽しげに笑う。
こうして、ちょっと不思議な親子の1日はつつがなく平和に過ぎ去っていく―――
―――はずだった。
基本的に動物は基礎魔法以外は使えない。(理解できないから)
しかし、魔物や知能の高い一部の動物は基礎魔法以外の魔法も行使することができる。
あくまでも基礎なので、複合や研究の過程で作り出された新魔法も含めるとキリがない。
面白いと思っていただけたら幸いです




