我が魂の記録をここに
生涯魔法から魂刻魔法に変更しました。だってソッチのほうがカッコいいんだもん。
「へぁっ?!えっ?!ふえっ?!」
変な声が出た。
(なんで猫に?!いや嬉しいけど、えっ?!もしかしてここ異世界?!)
「どうしたの?そんなに慌てて」
恐らく母親であろう猫が優しく話しかけてくる。
「ああ!目が見えるようになったのね!あなたは初めてドラゴンを見るもの。驚くのも当たり前だわ!」
「ちっ違うんだ!母?さん!」
「なんで疑問形なの〜?私が母さんよ〜」
「今っ!起こったことを話しても信じてくれないだろうけど、私!前世の記憶があるんだ!」
「………?」
「本当に信じてくれなくても問題はないんだろうけどっ!私っ!元々人間だったんだ!別の世界の!」
「………本当に?」
「う、うん!」
「そう。なら信じるわ」
「エッ!」
「可愛い息子の言う事を嘘だと思う親がいるもんですかっ!まぁ産まれて間もない子がいきなりそんな事を喋ったら信じない方がおかしいでしょ。前世〜とか、別世界〜とか。まだ何も教えてないもの」
先程と同じく優しい声でそう言ってくれた。
「信じてくれてありがとう…」
ほっと息をつく。
「あ、ちなみに名前って…?」
「ないわ!私達は子供に名前をつける習慣なんてないわ!」
「そうなの?」
「よーし!じゃああなたにこれからこの世界の事について教えていくわ!」
「えっ!私まだ産まれて7日…」
「なーに善は急げよ!」
「その言葉ってこっちの世界にもあるんだ…」
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「まず最初に、聞きたいことってある?」
ぺたりと4足になって座った母さんがそう言う。
「うーん…魔法ってあるの?」
「あるわよ!この世に産まれた全ての生き物が使えるわ!」
「じゃぁ魔力も…?!」
「あるわ!あなたもアタシもみーんなもってるの!」
「本当に?!見せて見せて!」
「いいわよ〜!」
近くの大樹に顔を向ける。
「ペネトラーテ・スティーリア!」
そう唱えると、いくつもの大きな氷柱が、木の上に出現した。
そしてとてつもない速度で落下。
メキメキと音を立てて―――
「………」
下にあった大樹が縦に裂けた。
「母さん……絶対張り切って大技使ったでしょ?」
「いえ、そんな事ないわよ?魔力消費もほんのちょっぴりだし…」
「じゃあそれより強いのってあるの?」
「あ、あるわよ!私が使えないだけで…!しかも、魔力を込めたのもほんのちょっとだけよ!もっと込めればその分…!」
「自白したね。母さん」
常識を学ぼうとしたはずなのに、母さんが非常識な気がする…。
「あ、あのね、私達ミミルクネコはね、植物魔法と水魔法の扱いに長けているのよ。だからこうなっただけ…なのよ?」
「あっそうなの。よかったー。てっきり母さんが非常識なのかと思ったよ」
「問題:生後7日の息子にイジられた私の気持ちを答えよ」
「もっとちゃんと常識を学べばよかった」
「くっ…正解っ…!こっのー!」
立派な体格をもった母さんがペロペロと私の身体を舐める。いきなりのグルーミング。最高だ。
「そうそう。水魔法って言ってたじゃん?他には何があるの?」
「えっとね。炎魔法、水魔法、地魔法、風魔法、雷魔法、闇魔法、聖魔法、植物魔法、金属魔法、精霊魔法、付与魔法、治癒魔法、強化魔法…このあたりが基本の魔法かしら」
「基本…って事はまだあるの?」
「うーんと…後は魂刻魔法ってのがあってね」
「魂刻魔法?」
「生涯で極めたものの集大成として形になるものなの。イメージとしては魔力を使う固有スキルかしら!沢山魔法を練習しなくちゃいけないし、1度決まればその魔法を変える事ができなくなる上に消費魔力も高い、一緒に基本魔法の消費魔力も何倍にも膨れ上がるのよ。生後7日の子猫が手を出すものではありまっせーん」
「なーる…」
「じゃあ他に知りたいことはある?」
「今言った固有スキルっていうのは、特殊能力みたいなものなの?」
「そうよ!みーんなその固有スキルと『才能』スキルを持ってるわ!」
「どういうものなの?!」
「この世に生まれる生き物の肉体と魂にそれぞれ刻みつけられたものよ!その生物本来の『才能』スキルと、魂に刻みつけられた固有スキルっていう違いよ!固有スキルはほとんど他の生物と被る事はないわ!」
「転生者だけど私にもあるかなぁ…」
「どこかで聞いた話だけれど、テンセイシャって定期的に現れるみたいで、みんな他とは別格の能力を持ってるらしいわ!」
「そうなんだ!あれ?なんでそんな事知ってるの?」
「これもミミルクネコの才能のひとつ!獣語とは別に、ヒト族達の言葉がわかるの!声帯の問題で話せはしないけど…ヒト族達の言葉を詳しく理解できるからペットとして優秀なの!この才能のせいで、昔はよく捕獲されそうになったわ。でも今は保護法のお陰で安心して暮らせ…ないわね。偶に密売されるし」
「…え?」
「でも!厳しく規制されてるから本当に稀よ!私達をペットとして申請するにも、きちんと私達の意思が反映されるの!」
「不安だなぁ…」
「もー!大丈夫よ!私と一緒にいればなんともないから!」
それから色々と教えてもらった。
なんでそれを最初に言わなかったのかがわかんない事も、別に知らなくても良い事もいろいろと。
そして最後に―――
「それじゃ!あなたの固有スキルを見てみましょう!」
「どうやるの?」
「簡単よ!『我が生魂の記録をここに。ナルハムトール』って言えばいいの!」
「えーっと『我が魂の記録をここに。ナルハムトール』!」
すると目の前に四角い翠緑色のディスプレイが空中、子猫の私からしたら高い位置に出現する。
「これって他の生物から見えたりするの?」
「見えないわ!右上に開示モードがあるからそれを押せばいいのよ!」
「この子猫の手で?」
「自力で頑張って…!ママ応援してるわ!」
「大げさだなぁ…」
前脚を使って押そうとする。
スカッ…
届かない。
スカスカッ!
届かない!↑
「可愛いわぁ~頑張って!」
今まで猫をかわいがっていた側だったのに今は完全に逆の立場だ。
猫ちゃん達…ストレス溜まっただろうな…こんな事毎日されて…
いつもじっとしてモフられてくれてありがとう…!
今度はしっかりと押すことが出来た。
「ママにちょっくら見せちょくりー♪」
私より先に見たよこの猫母。
「9つの…生命?なにこれ?」
その言葉を聞いて私もすぐに見る。
翠緑色のディスプレイに白く太い字でこう書かれていた。
固有スキル:『9つの生命(8)』
あと別にミミルクネコは普段から2足歩行なわけではないです。
この世界の魔法で大変なのが発音です。試しに自分で言って舌噛みました。




