18 再生と降臨 おまけ
――どこかの時間、どこかの場所。
劇場のステージの上、スポットライトに照らされたテアクレスが両手を上げたまま仰向けに寝そべっている。
「ウヒヒー、ねえテアちゃんナニやってるのー?」
そのすぐ横でポーピアスが笑いながらテアクレスをつついた。しかしテアクレスは動じない。
「悲しいかな、勘違いですよポーピアス。なぜなら私はここにいないからです」
「ウヒッ⁉ ソウなの?」
「そうなのです。決して戦っている途中で貴女の開けた落とし穴に落ち、このステージ上に倒れているなんて事はないのです」
あくまで態度を崩さないテアクレス。
すると、劇場内の照明が動き、観客席の最前列の一席が照らし出された。
「ほう? そうなのかテアクレス」
そこに座る魔術師風の女が口を開くとテアクレスの表情が一変する。
「か、カルルランダ様……⁉ いえ、これはその……」
「あっ、カルルサマー!」
魔術師風の女・カルルランダが手で合図を送る。それに合わせポーピアスが舞台袖へと消えると、そこには震えるテアクレスだけが残された。
「気にするな、そこにいないのならそのまま私の独り言でも聞いて行け。さて……、とある配下に秘宝の奪取を命じておいたはずだが、どういうわけか軍を巻き込んだ騒動が起こっているようだ」
カルルランダが言葉を紡ぐたび、テアクレスはどんどん青ざめていった。
「ハヒュッ……ふええ……」
「そいつはわざわざリディプシスと名乗ったそうじゃないか。あまつさえ灼星の杖が手に入るまでは手を出すなという命令まで無視してな。フフフ、さて、そんなお調子者はどいつなのだろうな?」
青ざめるテアクレスとは対照的に、カルルランダの語気が強くなっていく。
しかしテアクレスもこのまま黙っているわけではなかった。
「むむむ、無視はしてないです、ちゃんと急所は外して……。そ、そうです! スピネラスですよ! 神のくせに私の呼びかけに答えなかったんですよ? こんな格好までしてる私がバカみたいで泣けちゃいますって!」
「その格好は教会に身を潜めるためだと言っていたが?」
「ぐうっ……⁉」
が、残念ながら話を逸らせる作戦は失敗した。
「うええ……、このように泣きじゃくっておりますので何卒ご勘弁を……」
寝転がっていた姿勢が土下座に変わった。
それを見たカルルランダはため息をつく。
「サフィーアとのやり取りを見て確信した、今のスピネラスは当てにはなるまい。それに、もしかすると奴は……。どのみち秘宝を集める方が重要だ」
「え、ええもう、それはもう!」
「それも失敗しただろうが!」
「はひぃ!」
テアクレスは再び寝転がり、今度はうつ伏せで動かなくなった。
「……まったく。貴様らウェル・イスファンクはまだ試運転の段階である事を忘れるな。もちろん、生み出された理由もな。せっかく手に入れた人格を失いたくはあるまい」
カルルランダはゆっくりと立ち上がり、劇場の出口へと歩く。
「今はまだ力を蓄えるのだ。やつらを葬り去る、その日まで……!」




