13 武器を求めて おまけ
――少しだけ時を遡る。
ドルフたちをトロッコで送り出したその後、バングリエはひとり鉱山内に佇んでいた。
「さて、小生もそろそろ帰るといたしましょう」
すると、何も無い岩壁に突如として大穴が空いた。ただの穴ではない、どこまでも続く暗闇のような、はたまた地獄へと続く入口のような穴が。
「バングル~」
そんな穴からひとりの少女が顔を出す。喪服のように真っ黒い服を着た、独特な雰囲気の少女だった。
少女は狂気にも似た笑顔で親し気にバングリエを呼ぶ。
「おやポーピアス、迎えに来てくれたのですか。貴女の作る門には助けられますね」
バングリエは少女の姿を確認し、いつも通り表情を変えないまま言葉を交わした。ポーピアスと呼ばれた少女もまた、笑顔を崩さないまま楽しそうに動き回っている。
「ウヒヒー、ピアスちゃんはスゴいでしょー。バングルはどう? おシゴトどうだった?」
そう聞かれ、バングリエは少しだけ首をかしげた。
「……そうですね。鉱山の機能を失わせてみようと力を分け与えた新生物を試作したのですが、中途半端に独自の主義主張を持ってしまい想定通りには動きませんでした」
するとこのタイミングで近くにあったスイーツが土塊へと変化した。
「……新生物の力も失われたようですね。小生としては面白いものが観察できましたが、作戦としては失敗でしょうか」
「ウヒヒー、シッパイ? ピアスちゃんとオナじ! シッパイナカマー!」
「そうですね。さて、ここにはもう用も興味もありません」
「サクセンはもうイイのー?」
「小生は芸術家、また次の輝きを求めるのみです。あのお方もご了承してくださるでしょう」
それを聞いてポーピアスは笑いながら首をかしげる。
「ホントかなー? ピアスちゃんオコられたよー?」
「怒られたのは理解していたのですね。……大丈夫ですよ。我らリディプシス、道程は違えども目的地は同じなのですから」
二人の姿が闇の中へと消えていく。
穴が閉じ、そこにはただ静寂だけが残った。
***
場所は変わり、どこかの劇場にて。
「バングリエはどうした」
転移門からステージ上へと姿を現したポーピアスに、観客席に座る魔術師風の女がそう言った。
「ウヒヒー、バングルはねえ、ゲージュツをサガすんだって!」
「……で、どこへ行ったのだ?」
「ワカんないー!」
女の表情があからさまに曇った。
「あやつには武器のインフラ調査を命じていたはずだが、何をやっていた?」
「ウヒヒー、んとねー、ケーキ!」
女は思った、ポーピアスから情報を聞き出すのは不可能かもしれないと。
「……私がおかしいのか?」
誰に宛てたものでもない呟きだったが、ポーピアスはすでに興味を失いその姿が無い。
静かな劇場の中で、ちょっとだけ自信が揺らいだ。




