第31話 入門試験第一の試練
晴れている。天候に恵まれたのは良いがまだ少し肌寒い。さて、今日は入門試験を受けにここ、格闘道場にやってきたのだ。
昨日も見た和風の立派な平屋。私は高揚感で空を飛べそうな気がした。まあ、装備効果で飛べるんですけどね。えぇ。あの例の足装備の空中移動で。
私は5センチ浮いている。さて、また、手入れの行き届いたドアをカラコロと開け、師範を呼んだ。
「お邪魔します。昨日来た、ユリです。友達も連れてきましたが、よろしいでしょうか?」
私は言った。緊張で胸が張り裂けそうだよ。
なんて乙女な事を思えるわけもなく。おっしゃ、やったるで、ベイベーって気分だ。
「よろしい。早速試験をしてもいいのだが、強さとはなんなのか。何のために強くなりたいかを聞こうか。あと名前もな」
師範が言う。とても良い声だ。
「私はミルトニア=ドンダーケ。ドンダーケの姫です。私はいつか、民を守れる立派な姫になりたくて、戦力にはなれそうですが、こころの強さを持ちたいから来ました」
ミルトニアが言った。自信に満ちている。
「ユリと似たような理由じゃな。ココロの修練の場としてはとても良いじゃろう」
師範が言った。
「俺は、クロス=ヴァーティカルホリゾンタルだ。魔王を倒すためにあらゆる手段で勝てるようになるために来ました」
クロスは少し、強さを鼻にかけてそうだが。まぁ。叩きのめされると良いわ。
「ほう。魔王を倒してどうする?そのあとはどうする気だ?」
師範が言った。
「そうですね。なんか適当になんとかなるんじゃないでしょうか?」
クロスが言った。ふざけてんじゃないわよ。なんとかなる、なんてことはないの。わかるでしょ?
「そうか。で、なぜ魔王を倒すのですか?」
師範が言った。
「民を守るためです。魔王は悪の根源だから」
クロス。本当にそれで良いの?どうせ遊びたいんでしょ?最近ココロが黒いわ。漂白魔法かけなきゃ。
「皆民を守りたいんだな」
老人が言った。
「俺は、ユリを守るためだ。あ、俺はロックだ。ロック=クライミングマウンテン。よろしくお願いします」
ロックが言った。照れて頬でお湯が沸かせそうだった。ほっぺが凄く熱い。
「で、クロスさん。魔王は悪の根源だからと言っていたが、本当に全ての魔王が悪いのでしょうか?貴方は称号に踊らされるきらいがある気がする。どうじゃ?」
師範が言った。
「確かに私は勇者という肩書が大好きです。しかし、魔王は人間の敵です」
クロスが言った。
「なら、例を出そう。もし、そこにおるミルトニア姫が魔王だったらどうする?」
師範が言った。
「問答無用です。すぐに倒します」
クロスが言った。
「なら、ユリやロック辺りだとどうだ?」
師範が言った。
「やはり倒すと思います。魔王だから」
クロスが言った。
「違うじゃろ?あんたは殺さないよ。だって、長い間関わって来たんじゃ無いのかい?おそらく最後の最後で無理って思うよ」
師範が言った。
「まあ、ユリは無理かも。どう頑張っても。戦力の差で」
クロスが言った。
「では、もう一つ例を出そう。思いっきり好みの美少女が魔王でお主に惚れてたらどうする」
師範が言った。
「お持ち帰り一択です」
クロスは言った。
「持って帰るんかい。美少女だったら持って帰るんかい」
全員がツッコんだ。まぁ。そりゃそうだよなぁ。私もそうするし。百合じゃないけどね。ユリだけど。




