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10.リオ様の正体

「リオ!」

見知った顔を見つけて俺はサッとリオに近づき声をかけた。


「カイト!」

「えっ、リオだよな? え? その耳と尻尾は本物?」


 いつものフードをかぶっていないリオは獣耳と尻尾をフサフサと揺らしている。


「あははっ、最初の質問がそれとはさすがカイト。この耳と尻尾はもちろん本物だ」

「触っても?」


「存分に触っていいぞ」

「失礼しまーす。すっごいモフモフ!」

「毎日ブラッシングしているからな」


 嬉しそうに笑うリオ。そんなリオと俺を微笑ましく眺めている周囲に気付かないまま、俺は思う存分リオの獣耳を堪能した。


「これは決まりね」

「あぁ、非常に喜ばしい」


「でもきちんと本人が言わなきゃダメよ」

「あぁ、こういうのはきちんと本人が伝えなくては」


 上座に座っている二人がニコニコしながらリオを見ている。


「ジルベール伯爵のご子息のカイト様、遅くなりましたがご挨拶致します。私はリオ・フリンネル。フリンネル王国の第二王子です」


「………………リオが王子様?」

それだけでも俺の頭はパンク寸前なのに、リオは更に畳みかけてくる。


「カイト、初めてあの食堂で出会った日からずっと好きです。愛しています。俺と結婚して下さいっ」

「け、結婚!?」

思ってもいなかった衝撃的な言葉にホールに響き渡るくらいの大きな声が出てしまう。


「付き合ってもいない相手と結婚するのはちょっと……」

「ではお付き合いから始めてもらえないでしょうか」

「……………………」


 どう答えるのが正解かわからず父親を見れば、ニコニコと笑っているだけで何もアドバイスをくれるつもりがわないことがわかった。


「俺、男なんだけど……」

「俺も男だ」


「子供産めないんけど……」

「兄上には既に子供が三人いる。俺には王位継承権はないし、カイトと二人で仲良く暮らせれば他には何もいらない」


「…………でも」

「美味しい手料理を食べてもらえるように勉強もしている。まずはその料理を食べてもらえないだろうか」


 言いよどむ俺に、部屋に用意されている料理の方にリオが手を引いて連れて行く。


「特にこれが自信作だ」

大皿から小皿に取り分けられた料理はホカホカと湯気が出ていて美味しそうに見える。


「温かいうちに食べて欲しい」

「ありがとう」


 いつも自分が言っていることをリオに言われて素直に料理を口に運んだ。


「うまっ! なぁ、これって」

「気付いた? カイトが美味しいって言ってる親方のところで料理を教えてもらったんだ」


「やっぱり親方の味だ。いつの間にそんなこと……」

「ふふふっ。カイトを驚かせたかったんだ。で、俺と付き合ってくれる? 今俺と付き合うと親方のレシピを何でも作れる優秀な彼氏ができるのだが」


 おどけたように言うリオの手が微かに震えているのに気づいて、その手を取って俺もおどけたように笑って答える。


「最高だな! まずはお試しでお付き合いお願いします」

「喜んで!」


 当然王族にそんなことを言うのは不敬極まりないことなのだが、この場にいる誰もが何も言わずに微笑ましく俺たちを見ている。

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