第48話:いただきますの理! 終わらない宴! 慈愛の始祖と・オールスター中華ビュッフェ!
まいど! Q47の正解は「② 数字やプライドを全部捨てて『身体一つ』になり、温かい飯を笑い合って食べること」だったねぇ!
過労死寸前だった社畜神の閻魔の野郎も、割烹着を着せられて手作りのアツアツたこ焼きをハフハフ食ったら、ボロボロ泣いて改心しちまったさね。溜め込んだ数字や金なんて、あの世には持っていけないんだよ。身体一つで美味い飯を囲むことこそが、本当の天国(幸せ)なんだからね!
さて、第1話から始まったわーしらの『転生国物語』も、とうとう今回で感動のグランドフィナーレ(第48話)だよ!
冷たいポイント制も、格差も、争いも全部おしまいさ! 全宇宙と地球を一つに繋いで、みんなで笑い合って食べる「終わらない宴」の始まり始まり〜!
【♪ 全不条理調和のグランドフィナーレ(幾千の楽器と全人類の歓声が重なり合い、世界中の「いただきます」が包み込む、圧倒的感謝と感動のオーケストラ) ♪】
「さあて、世界中のはらぺこ達! 最後の最後まで、おばちゃんの特盛りのまかないを残さず平らげなさいなッ!」
ピキィィィィィィィン……ッ!
バキバキバキバキッッ!!
全宇宙のシステムを司る最重要聖域『天極核心神殿』。
更生した閻魔が、鼻歌交じりにたこ焼きの舟皿を洗っていたその時。突如として神殿全体が激しい地震に見舞われ、朱塗りの大柱が次々とへし折れた。
無数のクリスタルモニターが赤黒い警告色に染まり、空間そのものが引き裂かれるように歪む。
『 警告。第72区画(地球・魔界)のシステム管理者「閻魔」の反逆、および未登録の概念干渉を確認 』
『 これより、システムの不要なバグを排除。全宇宙の基本法を強制初期化します 』
無機質で冷酷な機械音声と共に、神殿の天井を突き破って降臨したのは、冷たい青白い光を放つ巨大な幾何学模様の集合体だった。
それこそが、閻魔を何万年も胃痛で苦しませてきた絶対的な支配者であり、全宇宙のポイントと因果律を管理する最高位の存在――『天極統括神』であった。
「ひぃぃぃっ!? と、統括神様ッ!?」
泡だらけの手でスポンジを落とし、閻魔が情けない悲鳴を上げて腰から砕け、床にへたり込む。
統括神の放つ絶対零度のプレッシャーは、神殿に居合わせたサトルやアレン、セリアたち転生組の息の根すらも止めかけるほどだった。
『 愚かな。無駄な感情など、効率の良い宇宙運営には不必要。ポイントによる競争と格付けこそが絶対の真理。貴様らのようなバグは、跡形もなく消去してやろう 』
世界が真っ白な光に飲み込まれ、地球も魔界もすべてが「無」に帰そうとした絶体絶命の瞬間。
ドンッッッ!! と、神殿の中心に巨大な中華鍋が叩きつけられた。
「……あのさぁ。さっきから天井ぶち抜いて上から目線でピーチクパーチク、うるさいんだよッ!!」
燃え盛るプロパンガスの青い炎の前に仁王立ちしていたのは、背中に太陽のような黄金の後光(光輪)を眩しく背負い、純白の割烹着をビシッと結んだ【慈愛の始祖】だった。
彼女は右手で巨大な金属製のお玉を握りしめ、巨大な光の塊である統括神をキッと睨みつけた。
「あんたが閻魔をいじめてた、ブラック企業のワンマン社長かい!? 数字だの効率だの偉そうなこと言ってるけどねぇ、あんたのその冷え切った身体、要するに『何万年も美味い飯を食ってなくて、お腹が空きすぎてヒステリーを起こしてる』だけじゃないか!」
『 な……下等なエラーデータが、この私に向かって何だと……!? 』
「御託はいいから、これを食いなッ! わーしと、最高の仲間たちで作り上げた『歴史』の集大成さね!!」
ジュワァァァァァァァァァァッッッ!!!
マリアンが巨大な中華鍋に投入したのは、これまで出会ってきた全ての絆と食材だった。
0点の丸虫時代にすり潰した苦い葉っぱ、魔王軍を唸らせた極厚のチャーシュー、海鮮かた焼きそばの黄金の餡、そして閻魔を救った昆布と鰹の極上出汁。
神崎の包丁捌き、シマちゃんの機転、五色商会の調味料――それらすべての「想い」が、お玉の超高速回転によって一つの銀河のように混ざり合い、黄金色に輝く『万物調和の超特大黄金チャーハン』へと姿を変えた。
「さあ! アツアツのうちに口を開けな、この分からず屋のポンコツデカブツが!!」
ズドォォォォォォンッ!!
マリアンが全身の魔力と人情を込めて鍋を振るうと、黄金のチャーハンが龍のような形を成し、天極統括神の光の中心部へとダイレクトに叩き込まれた。
『 ぐ、がぁぁぁっ!? こ、これは……なんだ、この熱量はッ!? 処理不能……エラー、エラー……ッ! 』
統括神の冷たい青白い光が激しく明滅し、バグを起こしたように震え始める。
しかし次の瞬間、光の明滅はピタリと止まり、青白い冷光が、まるで夕焼けのような温かい黄金色の輝きへと変色していった。
『 ……あ……あたたかい。米の一粒一粒に深い出汁が染み込み、様々な具材の旨味が完全に調和して……噛み締めるほどに、暴力的なまでの歓喜が溢れ……心が、満たされていく……』
『 私は……ずっと、この温もりを……探して…… 』
ポロリ、と。
全宇宙の頂点に立つ最高神から、温かい一粒の光の涙がこぼれ落ちた。
その瞬間、天極核心神殿の空間を満たしていた冷酷な「徳ポイント」や「ステータス数値」、「格付け階級」の数字たちが、まばゆい黄金の湯気に包まれて、一瞬にしてひとつ残らず粉々に弾け飛んだ。
『 告。全宇宙共通システムプロトコル:『ポイント管理制度』の完全消滅を確認。
――これより、世界の基本法を【いただきますの理】へと恒久上書きいたします 』
画面に躍り出たのは、無機質な数値ではない。
「いただきます」「ごちそうさま」「美味しかったよ」「ありがとう」という、何億、何十億もの温かい感謝の言葉の光の粒子だった。
「ふぅ……! 大女将、洗いたての清潔なお皿とレンゲ、10万セットの準備が完了しましたよ!」
汗を拭いながら、晴れやかな笑顔で大量の白い磁器の皿を運んできたのは、赤い花柄のエプロンを着けた閻魔だった。かつて胃痛にのたうち回り、冷酷に世界を格付けしていた面影はどこにもない。
マリアンはお玉を肩に担ぎ、ニカッと豪快に笑った。
「ヒヒッ、上出来さね、閻魔くん! 統括神の旦那も、もうお腹いっぱいみたいだねぇ! さあ、世界で一番デカい宴会の開幕さね! 神崎さん! シマちゃん! 腕を振るいな!」
「「御意ッッ!!!」」
「五色商会は食材の手配を、ペンジ、ミノは、特大コンロと回転テーブルをガンガン準備しな!」
「「「承知ッッ!!!」」」
ドババババババッッッ!!!
広大な無限連結国家群のWELCOMEサイン広場に据え付けられたのは、見上げるほど巨大な『万物調和の超特大回転テーブル』だった。
そこに次々と運ばれてくるのは、これまでの冒険と絆の証である、伝説の「オールスター中華料理」の数々!
パリッと芳醇に焼き上がった『黄金の北京ダック』、フワフワの卵に黄金の餡がなだれ打つ『極旨天津飯』、八角と黒酢の香りが暴れる『特大マンガ肉風・黒酢角煮』、海の幸が溢れる『パチパチおこげの海鮮あんかけ』。
さらには、逆転勝訴の『黄金フカヒレ姿煮スープ』、全種族がハフハフ突っつく『百種族連結・中華もんじゃ焼き』、そして灰色の絶望を溶かした『希望の木須肉』に、香ばしい『特製海鮮かた焼きそば』!
「う、美味そうすぎるっす……!0点の丸虫から始まった女将さんの歴史と人情が、このテーブルに凝縮されてるっす!」
ゴブリンのサトルがボロボロと涙を流して叫べば、ネズミ獣人のメッキーも両手を天に突き上げ、オークのペンジも愛用のスパナを放り投げて歓声をあげる。
「ちゅはは! 食糧自給率も幸福度指数も、測定不能のインフィニティだちゅ!」
鬼人族の荒くれ者たち、狼獣人のガロワ、ドワーフのドガルド、コボルトのバウ、竜人族のザン、魔王軍のガノン、そして更生した特級内部監査官のアレンとセリア。
元敵も味方も、エリートも落ちこぼれも、みんなが同じテーブルを囲み、笑顔でコテや箸を動かしている。
「アレン先生、ほら! カレーと麻婆豆腐の相がけだよ!」
「あ、こら、お前たち! 走るとこぼれる……ああ、ありがとう。すごく美味しそうだ」
魔導学院の子供たちが無邪気に笑い、アレンの皿に料理を山盛りに盛り付ける。アレンは目頭を熱くさせながら、「いただきます」と深く頭を下げてレンゲを運んだ。
この温かい祝宴の光景は、更生した閻魔のモニターを通じて、現世(地球)の新宿アルタ前、渋谷スクランブル交差点、そして日本中・世界中の茶の間へと生中継されていた。
『おい見ろよ……あんなに美味そうな飯、見たことねぇ!』
『ポイントを稼ぐために同僚を蹴落としてた俺たちが、バカみたいじゃないか……』
『そうか……50歳になったら、俺もあのマリアンおばちゃんの中華屋に行けるんだな!』
地球上で「自分自分」と富を奪い合っていた人々が、画面越しの温かい湯気に触れ、次々と涙を流して改心し始めた。
誰かを蹴落として手に入れた金や株は、死ぬ時には何一つ持っていけない。しかし、これからの新しい転生のルールは違う。
『来世の姿を決めるのは、冷たいポイントじゃない。生前の食卓で、どれだけ隣の人と笑顔でご飯を分け合い、感謝の言葉を紡いだかだ』
その真理に気づいた瞬間、地球から強欲と格差の冷たい争いが綺麗に消え去り、世界中で「隣の人におかずをおすそ分けする」という、本当の平和の和が広がっていった。
満腹になった何万、何十万の全種族の眷属たちが、愛おしそうにマリアンを見つめた。
代表して、かつて港区で数字だけを追っていたサトル、そしてエリート勇者だったアレンが、少し照れくさそうに、だが胸いっぱいの感謝を込めて口を開いた。
「大女将……ううん」
「……お母さん!」
その呼び名に、一瞬だけ目を丸くするマリアン。
次の瞬間、広場を埋め尽くす何十万の眷属たち、魔界の住民、そして画面の向こうの地球の全人類が、空を揺らし、全宇宙の因果律を塗り替えるほどの声で一斉に叫んだ。
「「「お母さん!! 俺たちみんなを、世界を、幸せにしてくれて――ごちそうさまでした!!!」」」
ワァァァァァァァァァァッッッ!!!
背中の黄金の後光が、太陽をも超える慈愛の光となって全宇宙を優しく包み込む。
マリアンは「まったく……急にお母さんなんて、照れるじゃないさね」と、目頭に浮かんだ温かい涙を割烹着の袖で乱暴に拭うと、巨大なお玉を胸にバシッと抱きしめ、最高の聖母の笑顔でニカッと笑った。
「お粗末さま! ……お腹いっぱいになったかい! うん……みんないい笑顔さね、そいじゃあみんな一緒に、明日に向かって元気に行こうさね!!」
最後まで読んでくれて、本当に、本当にありがとねぇ!!
「0点の丸虫」から始まったわーしの旅も、みんなと美味しい飯を囲んでいるうちに、いつの間にか全人類・全宇宙の「お母さん(真の始祖)」になっちゃったさね!
どんなに冷たいシステムや理不尽なルールがあったってさ、みんなで一つの食卓を囲んで「いただきます」って笑い合えば、世界はいつだって温かい家族になれるんだよ。あんたたちが毎日ポチポチと押してくれた「☆」や「ブックマーク」の応援バフこそが、わーしの鉄鍋を動かす一番の隠し味だったのさね! 心から感謝してるよ!
本編はこれにて堂々の大団円だけど、わーしたちの「美味しい日常」はまだまだ終わらないよ!
さあ、最後の最後は、更生して『杏』の立派なホールスタッフになった閻魔からの、感謝を込めた最終問題だよ!
システム(更生した閻魔)からの出題【Q48:転生国物語の軌跡】
最初、システムから「0点」と判定されて最弱の「丸虫」に転生したマリアン。彼女が数々の絆と温かいまかないを通じて、最終的に到達した「本当の姿」は何だったかな?
① 勇者の到着をひたすら待つだけの、全宇宙を恐怖で支配する「暗黒の破壊神、魔王マリアン」
② 布団に入ったままでお菓子を食べながら、一人で静かに暮らす「陰キャでコミュ障の頑固シェフ」
③ 割烹着とお玉を胸に、全人類を家族として抱きしめる「慈愛の始祖(みんなのお母さん)」
「ヒヒッ、ヒントはねぇ……空になったお皿と、みんなの笑顔の中にあるさね! さあ、あんた達ならもう、どれが本当の正解かバッチリ分かってるよねぇ? ……それじゃあみんな、またどこかの美味しい食卓で会おうかねぇ! 答え合わせは自己採点でやりなよ!本当に本当にお粗末さまでした!!」




