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最終決戦

「…チッ…めんどくさいなぁ。もういいよ。君たちが、二度と明日を見ることのできないようにしてあげるよ。」


笑っているのに、目は笑っていない。


「それでも俺たちは負けられない。約束を果たさなきゃいけないんだ!」


キャリーはそっと指を鳴らした。空に浮かぶ彼の後ろには、大きな魔方陣があった。

そこから溢れ出すように鋭い光の雨が降り注ぐ。


「防御魔法展開!!」


アヴィニールの魔法により攻撃を防げた。


「あの場所から攻撃が来るな。」

「まずは壊しましょう!私とソフィア、アンフェニは右を!」

「じゃあ俺たちは左だな。フレディ、お前はキャリーを狙え。道は俺たちが開いてやる。」

「…ありがとう。」

「よし、俺があいつの気を引くからノアはその間に!」

「わかった!」


ヒュラドは真っ直ぐキャリーの方へ向かった。前をチラつくだけで攻撃はしない。逃げに徹する。その間にノアは弓を引き、狙いを定める。


「…行け。」


三連射。矢が左側の魔法陣を貫いた。それに続き空いた右側を攻める。


「グレース!右!」

「了解!」


グレースが柱を足場にして上へと上っていく。


「はっぁ!!」


しかしギリギリのところで魔法でできた刃が迫る。


「ほらよっと!!」


アンフェニが勢いよく突っ込み刃を打ち砕いた。


「行け!」

「ありがとう…!」


もう少しで届く。しかし、その瞬間に訪れる衝撃波。


「無駄だと言ったはずだよ。」

「ソフィア!!」


アンフェニが叫ぶ。ソフィアが前に出る。


「任せて…!」


槍を突き立てる。飛び跳ね、魔法陣を目指す。しかし、ギリギリ高さが足りない。


「ソフィア!私を踏み台にしなさい!!それなら届くでしょう!」

「…うん!!」


ソフィアはグレースの背中を踏み右側の魔法陣を破壊した。

魔法陣が砕け散る。


「やった…!」


あとはフレディがとどめを刺すだけ。全速力でキャリーの元へ走り出す。しかし、その時キャリーは、笑っていた。


「ふふ…」


パチンという音ともに砕けたはずの光の粒が、逆流する。


「なっ…!?」


すごい風に吹き飛ばされ地面に体を打ち付ける。


「ぐっ…!」


見ると、空に浮かぶ魔法陣が全て元通りになっていた。


「嘘でしょ…」


ノアが呟いた。


「結局、本体をやらないと意味ないってことかよ…」


光が一点に収束する。確実に攻撃がくる。それを見たアヴィニールが叫んだ。


「来る!防御魔法…」


詠唱をするが、間に合わない。強い光線が地面を抉る。


「みんな無事…!?」

「何とか…」

「僕も大丈夫…」

「私も、少しかすっただけだから…」

「っ……ちょっと、派手すぎだろ……」

「こうなったら全部同時にやるしかない…!!」

「落ち着いてアンフェニ。同時って言っても…近づくのでやっとなのに…」

「それでもそうしなきゃダメだろ!アヴィニールだってわかってるだろ!」


アンフェニの言う通り、キャリー本人を倒さなくては勝てない。全員で同時に攻めるしかない。完全に一致してなくてもいい。魔法陣が復活するまでにキャリーを倒す。それしかない。


「…道を作る。それしか方法はないと思うんだ。」

「そうね。今魔法陣を壊せたのは確かよ。だから…それをほぼ同時にやればいい。」

「もし再生したらまた壊す。キャリーが倒せるまで。」

「ノアの言う通りだな。肝心のキャリーを倒す役目は…」

「…もちろんフレディでしょ。」


その場にいた全員が声を揃えてそう言う。


「俺でいいの?」

「あなたじゃなきゃダメよ。あなたが始めた旅の目的地なんだから。」


アヴィニールがそう告げた。

ここは彼の目指し続けてきた場所だ。信じてくれる仲間がいる。


(みんなが俺を信頼してくれてるんだ。だったら…!)

「わかった。やるよ。」

「それじゃいこう。わたしたちで。」

「うん。いこう!」

「…君たちが仲間を連れて戦うなら、僕も仲間を呼ばせてもらうよ。召喚。」


そこに現れたのは、無数のオブリビオン。


「ほらほら〜仲間がいれば強いんでしょ?なら、僕にも仲間を作ればいい。」

「だいぶだるいことになったな。」

「けど、今の僕たちならきっと大丈夫だよ。」

「うん。頑張ろう。」

「じゃあ俺から行くぞ。」


最初にたったのはヒュラド。鎌が地面を擦り、火花を散らす。


「攻撃強化!」


アヴィニールは全員に魔法をかけた。その名の通り攻撃が強化される魔法だ。負けじとキャリーも攻撃をしかけてくる。


「ノア!」


矢が放たれる。その矢はオブリビオンを貫き。そして、光刃の隙間を縫い、魔法陣の継ぎ目を射抜いた。


「オブリビオンの処理は、私たちでするから!」


グレースとヒュラドがオブリビオンを引き付けた。それとほぼ同時にアンフェニが跳ぶ。


「うおおおお!!」


拳が魔法陣を殴りつける。しかし弾かれてしまった。


「やっぱり一筋縄じゃいかねぇな…もう一回!」


アンフェニが近づくが、光線が放たれる。


「アヴィ!」

「防御魔法展開!」


アヴィニールの魔法により光線は避けられた。


「ソフィア!!」

「任せて!」


キャリー本人に攻撃できる道を作るため全力で隙を作る。


「浮遊…」


アヴィニールの魔法がソフィアに重なった。ソフィアの体は宙を舞い、キャリーへと近づく。


「はっ!!」


槍がキャリーの頬をかすめた。

今がチャンス。その背後を、フレディは駆け抜けた。


「…無駄だよ。」


羽が一斉に放たれる。


「きゃっ!」


ソフィアの肩を羽が貫いた。落ちてきたソフィアをフレディが何とかキャッチする。


「ソフィア!」

「大丈夫…!かすっただけ…!」

「一旦回復を…」

「……負けられない…わたしもみんなの役に立つの!」


ソフィアは槍を両手で力強く握った。その槍をキャリー目掛けて投げつける。それは体の一部を貫通した。


「…苛立たしい。」


キャリーの表情が変わった。キャリーはすぐに槍を振り払う。それでもかなりダメージが入った。


「あぁーうざい。ほんとにだるいやつらだな…雷鳴。」


ピカリと雷のようなものが彼たち目掛けてやってくる。攻撃範囲があまりにも広い。


(間に合わない。その瞬間。)


アンフェニが前に出た。


「がっ…!」

「アンフェニ!」

「俺はちょっとやそっとのことじゃ死なねぇから大丈夫…!早く行け!」


しかし、目の前に立ちたがるオブリビオン。


「あーもう!キャリーのところに行くまでに一苦労だよ!!」


フレディはその場にいるオブリビオンを投げ倒しながら進んだ。


「ここは私が引きつけるから、早く飛んで!」


グレースが叫んだ。魔法の加護をうけ彼の剣は光る。


「行け。こいつらの処理は、任せとけって。」


ヒュラドに背中を押された。


「フレディは前だけ見て走って!!」


ノアが矢を放ち、グレースが光刃を弾く。道が、一直線に開かれた。

跳ぶ。全員の期待を背負い。


剣を振り下ろす。


カキン。


しかし、そう簡単に倒れてはくれない。衝突。空気が爆ぜる。押し返される。それでも歯を食いしばる。


「どうしてそこまでして…!記憶がなければ皆幸せに暮らせるだろ!!」


キャリーの羽が大きく広がる。次の瞬間、衝撃。


「っ!!」


体が大きく弾き飛ばされた。地面を転がり、何とか剣を突き立てて止まる。


「フレディ!!」


遠くでみんなの声が聞こえる。キャリーはゆっくり空へ浮かび直した。


「ほらね。無駄だよ。人は苦しみを抱えたまま生きていけるほど強くない。」


それでも彼は立ち上がる。息をするのも苦しい。それでも剣を構え直した。


「……違う。」


地面を蹴る。


「確かに生きていたら辛いことも多い!けど、そんな苦しいことも辛いことも…全部大切な記憶だ!!」

「そんなの綺麗事だ…!」


キャリーの羽が一斉に広がる。


「人はそんな強くない!だから消さなきゃいけない…!」

「強くなくてもいい!!」


羽の刃を斬り払い、距離を詰める。


「一人じゃ無理でも……仲間がいる!!!」


ギリッ。


ぶつかりあう音。剣は確かにキャリーへ届いていた。けれど、


「やっと叶ったんだ…何百年もかけて…君たちのような脆い人間に負けるわけにはいかないんだ!!」


キャリーは魔法を使った。何の魔法かわからない。だが、確かに力が強くなっていた。


「…ぐっ!」


腕が痺れる。


(重い。重すぎる。

でも、この道を開いてくれたみんなの苦労は無駄になんかしたくない…!今だって全力で俺に襲いかかってこようとするオブリビオンを止めてくれてるんだ。だから…)

「俺だって負けるわけにはいかないんだ!!!キャリーの言う通り、確かに人間は強くないかもしれない。けど、だからこそ人は支え合って生きていこうとするんだ。そのために記憶が必要だ。苦しい思いは誰だってしたくない。辛い記憶なんて、思いだしたくないに決まってる。でも、それがなかったら、人生なんて楽しくないよ。」


「お前ならできるよ。フレディ。だから…」

暖かい。懐かしい感覚がフレディの体を包んだ。


(リアム…そこにいてくれるんだよな。)


止まっていた剣が、力を押し返す。


「…終わりだ。」


その瞬間、剣がキャリーを斬り裂いた。

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