④カレンの決断
焔の巫女アイラの筆頭従士カレン=アンダーソン
出身は四区、アシハラ南部の火山地帯に有る、比較的大きな町に生まれた。
文化の保存に関して厳しい四区には珍しく、大八島南方の紫命大島の文化と銃の国の南部の文化が混在した環境で育った。
とはいえ精神性の高い四区の住人達の町で有る。
五区や六区でかつて見られた内戦の様な状況にはならず、二百年近い年月を掛けてゆっくりと静かに融合した結果そうなっている街であった。
カレンと言う名前は、銃の国の文化では自己中心的でわがままな態度をとり、些細なことで店員や周囲に大声で文句を言う、特権意識を持った白人女性を指す名前ではあったが、当のカレンは真逆の存在だと言って良い。
元々大きくガッチリとした闘士体型でも有り、時折地元の町で開催される女相撲の大会では常に上位入賞する実力者で有り、謙虚で冷静、責任感の有る人格者でもあった。
体格的に優れ、土…特に岩への霊術適性があった彼女は、西大陸の須弥山解放の勇者達に憧れ、大型獣人の師から身体強化の霊術である岩体術や地系統の言霊を学び、成人してすぐに冒険者の道を歩んだ。
アシハラ南部の魔界を巡り、二十代も半ばまで修練を積み。
冒険者としての自信を付けたカレンは、勇んで西大陸に乗り込んだ。
だが…最前線の大陸中央に位置する須弥山周辺の魔界を理解していなかった。
アシハラではまず見ない、強大で強力な魔獣の群れ、魔王種へと進化を果たした禍々しい存在、その配下の悪辣で凶悪な…高度に訓練さたれた強力無比な邪鬼の軍隊。
結果…積み上げた自信を喪失し、前線から撤退し…アシハラに帰ろうかと悩む彼女に転機が訪れる。
そう…西大陸の極東地域の小聖域【五霊山】で子守りの仕事を得る事になった。
火の神の系譜を受け継ぐ二人の【神人】の間に出来た娘、赤毛の少女の護衛兼、家庭教師として。
◆ ◆ ◆
行商人は山岳地帯や谷間は、どうしても通りたく無かったらしい。
商人仲間が以前【谷の妖女】に襲われたのだとか?
現在の第五居住可能区域は比較的安全な街や村が多いが、それでも魔界と化している場所は第三、第四の比ではない、そこかしこに点在する。
第五居住可能区域の奥地には、下手をしたら第六を挟む大森林よりも物騒な場所が有る。
それが山岳地帯である、商人としてはどうしてもそこは通りたくないらしい。
十数年前は【天魔落とし】と呼ばれた【雷纏】【無音の弾丸】の二つ名持ちの二人組の冒険者が妖女狩りで荒稼ぎしていたと言う話も聞いた事が有る。
その当時はアシハラの内側に巣食う谷の妖女が激減したと言った事例もあったのだが、彼等が十数年前引退して以降は再び島内の山や谷間に奴等の巣は増えつつ有る。
従士パーティーにも遠距離攻撃を担当するジョーイが居るとはいえ、経験も浅く、空を高速で飛び回る相手に太刀打ち出来るとは思えない。
戦闘機とさえ遣り合う魔鳥を相手にするのは、経験の浅いパーティーでは流石に荷が重い。
今の所は奴らの電撃を防げるのはカレンの地の言霊だけなのだが、それも有る程度でしか無い。
他の雷属性の術なら兎も角、谷の妖女が使う事で知られる指向性を持った【雷槍】に対処出来る保障はなく、わざわざ危険を犯して実験する意味も無い。
物理防御は得意なのだが、電撃となれば相当量の金属の触媒を形状変化させ避雷針を作り、拠点防衛には有用かも知れないが、精製する時間と手間は当然掛かるし、突発戦闘向きの技でも無い。
それに、依頼主が通りたく無いと言っている以上山岳地帯を無理に進む必要も無いだろう。
七区まで広がる広大な大森林とは言え、五区の部分に造られた街道は簡易的で決して良い道とは言えないが旅人に取っては安心出来るルートでは有る。
依頼者と相談の末、遠回りにはなってしまうが全員一致で森を通って行く事になった。
商人の話では森では滅多に小鬼などには出くわさず、もし出くわしても五区の瘴気の少ない領域であれば、小鬼達も少数の狩猟チームが彷徨いている事も稀に有る程度だそうで、何度も通っているし対処は容易だと説明を受けた。
進む街道はほぼ真っ直ぐで、第五居住可能区域を逸れる事も無い為、問題は無いだろうと思われた。
当然周囲にも警戒を払って慎重に進んでいたのだ。
だが…相手の方が上手だった。
いや…もしかしたら森に入った瞬間から監視されていたのかも知れない。
猫人の鈴華の感知をすり抜けれるとは思えないが、邪言だったのだろうか?
それとも周囲の小さな野生動物の気配、或いは瘴気に当てられ、彼女の気配感知が鈍っていたのかも知れない。
それは森の街道の中程まで踏破した距離だった。
轟音が轟き、突然…馬車の先頭を歩く巫女に雷が落ちた。
「アアアアアッ!!!」
アイラがその場に崩れ落ちる。
馬車の右手を歩いていたカレンは悲鳴を上げる様に叫ぶ。
「巫女様!!!襲撃か!?総員防衛体制!」
周囲から十数体の緑色の矮躯、小さな角が生えた小鬼がワラワラと踊り出た。
腰に付けた土が入った袋を握り締め、独特な音域でカレンは謳う。
「親しき大地よ♪尊き巫女を硬き土壁で守っておくれ♪」
カレンは動揺したのも一瞬、瞬時に判断し、商人の馬車と気絶した巫女を守る為の言霊を詠唱した。
…大地が少し揺れ、巫女と商人馬車の周りに二メートル弱の土壁が発生する。
カレンは土壁の前に陣取り、手斧を構えパーティーに指示を飛ばす。
「すまん!私は土壁の前から動けん!巫女様の側を離れすぎると術が解除されてしまう。ムトゥバ!鈴華!前衛は頼む!ジョーイは鈴華に守護のルーンを!」
「応!」
「わかったニャ!」
「OK!」
ムトゥバは腰に付けた小さな骨を打ち鳴らす。
乾いた音が不思議な音域で響き、恐らくは精霊の力を借りる為の触媒…特殊な周波数で周囲に音が響き渡る。
骨から一瞬白いモヤの様なものが湧き出ると、周囲に風が渦巻きムトゥバに纏わりつく。
ムトゥバの身体の周囲が歪み、衣類が彼を中心にはためく、風の精霊を憑依させたのだ、彼の南大陸の祖先…古の神…古代の神格者オニヤの系譜を受け継ぐ精霊術の一種で有る。
刀を抜き放ち、一切の躊躇をせずに迫って来た小鬼の一体の前に異常な素早さで瞬時に距離を詰め、袈裟斬りに斬りつける。
小鬼の頸動脈から血が噴き出し周囲の草花を汚す。
「アギャッ!」
五闘星の一人が使った【風の刃】を放つ遠距離攻撃は使えないが、敵に対して高速移動で一気に距離を詰めるムトゥバの斬撃は回避困難の必殺の一撃に等しい。
元々冒険者では無かったが、西大陸の五霊山にて、アイラの父が指揮する浄化隊の隊員として数年勤め上げた実力は伊達では無い。
次の標的に向かって瞬く間に三匹の子鬼がムトゥバの斬撃で、その穢れた生涯を強制終了させられた。
小鬼達が動揺している隙にジョーイもルーンの石を握りしめ、鈴華に向かって虚空にルーンの魔印を指で描く。
鈴華の身体が青い燐光を放つ、守護のルーンが発動したのだ。
「ジョーイ!ありがとニャ!」
そのまま飛び出し、ムトゥバの剣撃に動揺している小鬼達の一匹を鋭い蹴りで森の奥へ蹴り飛ばす。
「とりゃぁ!」
「グェッ!!」
体重の軽い彼女の蹴りでは致命傷にはならないだろうが、時間は稼げる。
「次!」
三匹を斬殺し、次の標的に刃を向けるムトゥバ。
カレンから警告が飛ぶ。
「ムトゥバ!敵は得体が知れない、恐らくはただの小鬼では無い!注意するんだ!」
「ああ!わかってる!茂みに気配が…」
……森の奥から樹木の葉を掻き分けて現れた他の者よりも遥かに大きな…人間大の…果たしてその大きさで小鬼と呼んで良いものなのか?
「オレヲ!ミロ!」
茂みから出て来た一匹の子鬼に焔の従士達の視線が集中する。
…目を離せない…
恐らくは支配の邪言の一種、軽い精神支配なのだろう。
意識が乱れない限りはそうそう掛かる術では無いが、相手の虚を突く程度であれば非常に効果的かも知れない。
支配の邪言を戦闘に利用する小鬼が存在するなど聞いた事も無い。
だが、アレは本当に小鬼なのだろうか?
身長はジョーイとほぼ変わらず、鎧の様な筋肉、色付きでは無く緑色の肌、いや、顔面と足の一部が赤に変わりつつ有る。
だが、ムトゥバは躊躇しない。
例え少しばかり大きい、【色付き】のなりかけだったとしても問題ない、西大陸で何体か斬り殺してもいる。
「フン!邪言か!珍しい使い方だが…構わん!ならば貴様からだっ!巫女様への不意打ちを悔いるが良い!」
恐らくこの【色付き】になりかけた個体が巫女に不意打ちをした術者だろうとムトゥバは判断した。
瞬時に詰め寄り袈裟斬りの一撃!一気に小鬼の頸動脈を切り裂く瞬速の刃…
……の筈であった。
「オイオイ!アブネーナー!ヒャヒャヒャ♪イテージャネーカ~ヒヒッ♪」
「なっ!…」
小鬼のボスと思われる大柄な小鬼の皮一枚を斬ったに過ぎず、鎖骨の骨の部分で刀は止まっていた。
小鬼如きの骨など何度も断って来た筈のムトゥバの斬撃は…小鬼の鎖骨に傷くらいは付いただろうが…断てなかった。
それ以前に…
ムトゥバは確かに頸動脈から斜めに切り裂くつもりで刃を振り下ろした筈だった。
小鬼のポスらしき特殊個体は、ほんの少し身体をずらし致命の一撃を回避したのだ。
つまりは…高速の斬撃を見切ったと言う事だ。
風の精霊の力でスピードが飛躍的に高まった刀士の刃を…だ。
ムトゥバが慌てるのも無理は無かったかも知れない。
だが…ここから徐々に戦闘の流れが変わって行った。
それでも素早く刀を鞘に戻し、後ろに飛び退き…硬い外殻を持つ魔獣の外皮さえ切裂く…必殺の居合の体制を取り精神集中に入る。
だが…これは判断ミスだった。
「くそっ!硬い奴だな!だが問題ない!次の一撃は確実にお前の命を奪う!」
相手が完全に色が変化した色付きであったらムトゥバも絶対に舐めたりせず、そもそも斬り掛かっておらず、他のメンバーと協力していたのかも知れない。
だが…特殊個体…大酒飲みのドンの子鬼としては規格外の強さに刀士としてのプライトを刺激されてしまったのだ。
このすぐ後に起こる惨劇は…
相手を少し大きいだけの小鬼だと決め付けていた故の油断も原因の一つであった事は間違いない。
力を溜め、精神集中に必要とされる時間はそれ程長くは無い、ほんの一呼吸。
だが、刀を抜き放つ…その刹那の瞬間に…
再び!…轟音を伴った落雷!
「がぁ!ァッ!ァァァァァァァ…」
落雷は見事に刀の先からムトゥバの身体に落ちて行く、一瞬後には感電しプスプスと肉が焦げた嫌な香りを漂わせ…
黒人の剣士が地面の上に崩れ落ちる。
「ドン!ヤッタゼ!マタ、ビリビリガウテタゼ♪オレスゲーダロー♪」
森の奥からボスよりは少し小さい、妙に甲高い声の小鬼がガサガサと音を立て、数匹の小鬼を引き連れ自分の戦果に小躍りしながら現れた。
この街道は子鬼なども滅多に現れない安全な街道だった筈だ…聞いた話と違う。
そもそもこの小鬼の集団もかなりおかしい、狡猾な小鬼は偶発的な遭遇でも無ければ…相手が明らかに非武装の格下でも無い限りは、不用意に人間に近づかず、ある程度は纏まった行動を取る。
連中の街のゴロツキでもあるかの様な舐めた態度にも違和感を覚える。
奴らの後に突然現れ、支配の邪言も行使した【なりかけ】も考えてみればおかしい、色付きで無ければ邪言は使えないと言うのが常識なのだ。
だが、その知識は所詮は本の知識、広い世界には例外などいくらでも有る。
ムトゥバも実力確かな戦士では有る。
だがそれは冒険者としてでは無く、アイラの父母が率いた西大陸浄化隊の兵士としての…軍人としての経験でしか無い。
カレンにしてもこんな小鬼には出くわした事が無い。
パーティー全員の固定観念を崩壊させる特殊個体、それが二体も現れた。
イレギュラーな状況では有る、だから仕方ないとは言えない、軍隊の行軍とは違う。
神格者が祝福を授けてくれるわけでも、広範囲に精神系の術を阻害する結界を張ってくれる訳でも無い。
負ければそこで終わりなのだ、形勢不利でも少人数で被害を抑え撤退などと言う策は取れない。
余程上手く事が運ばない限りは無惨な敗走、運良く誰かしら生き残れても殆どの場合は、パーティーの解散からのトラウマによる引退の流れになるだろう。
「ムトゥバ!?クソッ!」
カレンが叫び声を上げると同時に、鈴華が新しく現れた術者と思われる小鬼に襲い掛かる。
「お前だニャ!お前さえ消えればっ!!!」
「待て!鈴華!ヒーラーのお前が前に出過ぎたら……」
カレンの警告の言葉が飛ぶが猫人の娘は止まらない。
メインアタッカーのムトゥバが落ちた時点で、サブアタッカー兼ヒーラーを自認する鈴華が前に出てしまうのは仕方が無い。
他の者よりも更に経験の浅いジョーイは、今の所はサポーターの役割しか振られていない。
破壊のルーンが刻まれた銃弾は高威力ではあるが、タンクがしっかりと機能していない状況では弾丸に霊力を注ぐ時間も取れない。
当然…狙いも定まらない。
ジョーイがパーティー結成当初、巨大な猪の魔獣を撃ち取れたのは、パーティーの役割がしっかりと機能していたからなのだ。
◆ ◆ ◆
獲物に目を付け興奮状態に入った猫科の獣人は止まらない。
だから軍隊なら敵を定めず冷静に観測出来る役割の斥候、冒険者でアタッカーにするならバーサーカーとして、それを踏まえて遊撃手扱いで布陣を張る。
多くの獣人に取って理性を失い本能に飲まれると言うのは人間性の喪失、恥である。
混血によってどれだけ姿形が現人に近付こうと獣人として生まれた場合…どうしてもその種の本能に縛られる。
長い人生に於いて、その獣性から脱却する事こそが獣人達の精神性を大きく高める為の修業なのだと上位者は語る。
旧世界では国に寄っては理性が育つまで学校や教室を分けるのが通常で、十代の殆どを一族のみの学習や自宅学習のみで終える猫人も存在した。
年を得た大人の猫科獣人で有ればそうそう本能に負けたりはしないのだが、優秀だとは言えまだまだ少女でしか無いのだ。
少女が一人で異国の地で冒険者をする時代、壊れた世界ならではの光景かも知れない。
彼女は仲間をやられて激昂してしまっている。
そもそも前衛に出ないスカウトやヒーラーになる猫人の冒険者も多い。
前衛とサポートの兼任は、小々猫科の若い娘には不向きであったかも知れない。
興奮して指先の爪が伸びている。
ルーンで耐久力は上がって居るとは言え、距離は十数メートル。
その間には例のボスもいる。
周囲には棍棒や錆びたナイフを持つ小鬼達も十数体。
それを一切無視し、他の敵の攻撃を躱して、雷の邪言使いだけ狙おうと言う腹だろうが…
「オットォ♪イダハ!アイボウハァ!ネラワセネーヨォ!!!」
小鬼のボスは筋肉質で重そうな身体に似合わぬ俊敏な動きで、鈴華の前に立ちはだかり遮る。
「シャーッ!どけニャ!」
爪の一撃がボスの皮膚を切り裂き、赤黒い血が噴き出す。
だが…全く怯まずに素早く伸ばされる爪の一撃を掴み、続いて小柄な鈴華の胴を両腕で抱き抱え締め付ける。
「離せーっ!ニャーァァァァァ!!!」
鈴華の爪と牙で小鬼のボスは皮膚のあちこちを切り裂かれ、その度に血が噴き出す。
「アア!ウルセェウルセェ!マッテロ…イマ…」
小鬼のボスは鈴華に噛みつかれたまま…
鈴華の耳元に…支配の邪言を呟く。
興奮して半狂乱になっている獣人など精神支配の術を操る者に取っては隙だらけだろう。
若く才能有る符術の使い手とは言え、理性が飛んでいれば堕とすのは容易い。
興奮状態では精神防御も何もあったモノでは無い。
爪を立て暴れていた鈴華の身体の力が抜けた。
小鬼のボスが解放すると、虚ろな瞳でその場にヘタリ込む。
「ヒヒッ♪ソノママオトナシクシテオケ…アトデ…カワイガッテヤルゼ♪」
小鬼のボスはジョーイを無視し、カレンを見る。
そう…強者を見分ける判断力も実に的確である。
「鈴華!クソっ!支配の邪言かっ!なんと言う事だ…この状況では…ジョーイ!ジョーイ!やるんだ!雷撃の術者からだ!恐らく奴は術の力を溜めるのに時間が掛かる筈だ!やるなら……」
この近距離では、場の空気に飲まれ動揺している経験の浅いジョーイでは…難しいかも知れない。
だがもう手は無い、カレンが動けば護衛対象と意識が無い状態の焔の巫女が無防備になる。
カレンは叫びジョーイに指示を送った。
ジョーイはこんな近距離で仲間が次々と倒れて行く戦闘は初めてであり、そもそも戦闘経験もこのパーティー以外では…ほぼ無いと言って良い。
ジョーイはすでにムトゥバが倒れた時に冷静さを失っていた。
カレンの叫びに反応して拳銃を抜く。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
馬車の防壁の左側から小鬼達に向かって無茶苦茶に拳銃を乱射する!!!……が、殆ど外れ、辛うじて一匹の足に当たった程度だった。
「アギャァ!オレノ!オレノアシガァ!」
小鬼は森の下生えの中に倒れ、のたうち回り苦痛の叫びをあげる。
冷静さを欠いた射撃などマトモに当たる筈も無いのだ。
小鬼の一匹に当たったのもマグレでしか無いだろう。
すぐに弾丸を撃ち尽くし、リボルバーに予備の弾丸を込めようと腰を探る。
「あ、あ、ああっ!弾丸がっ!」
手が震え、弾丸は地面に…草むらの中に溢れ落ちる。
…震え…四つん這いになり地面を這い回り弾丸を探す…惨めな見習い従士。
「ナンダァ?コイツハ?オイ!イダ!ミテミロヨ♪コイツ♪ウマレタテノコジカミタイ二フルエテヤガル♪アヒャヒャヒャヒャ♪」
周囲の小鬼達もボスに釣られて爆笑する。
ここに来て…カレンは決断した。
「仕方無い!やるしか無い…巫女様申し訳有りません!商人殿済まないっ!」
アイラの従士隊、筆頭従士カレン=アンダーソンは…土壁の術を解除した。
大幅加筆&少し変更部分有り〼




