番外編:明人と飛鳥の結婚式(4)
「う…ぐすっ…ぐすっ…。素敵な…ぐすっ…披露宴…だったね…ぐすっ」
「ああ…!さいこ…う…うっ…最高…だった…な…」
披露宴終了後の帰り道、エリストこと永飛の運転するリムジンの中で恵那と大和は隣り合って号泣しハンカチで涙を拭っており、その二人の斜め前に葵は座り、玲子は膝上にブーケを乗せて葵の隣に座っていた。
「二人共、泣き過ぎじゃない?」
「だって…二人のお話とか…大和君とか葵さんの話とか…二人のご両親の話とか…本当に…」
葵の言葉に恵那はそう答えながら思い出してしまい、涙が更に溢れ出し、合わせたかのように大和も涙の洪水量が増える。
「そうね。とても感動的だったわ」
玲子は感慨深く目を瞑り、披露宴全ての流れを一瞬で思い出す。
「良いなぁ…。私もしたら良かったなぁ」
葵は天を仰ぎながら結婚式を挙げなかった事を後悔した。
「まぁ…でも…やっぱり難しいかな…」
「私の所で良かったら紹介するわよ。それに私達ならいつでも参加するわ」
「玲子…ありがとう。帰ったら聞いてみる」
葵は複雑そうな笑みを浮かべ、玲子に感謝する。
「ええ。いつでも受け付けるわ」
「その時になったらお願い。あっ…もうお家だ…」
リムジンはマンション前に停止し、扉が開かれ、葵はリムジンを降りる。
「時間が合えばまた遊びましょう」
「うん!」
玲子の言葉に元気良く返事をすると葵は早く家に帰りたいのか早足でマンションへと向かった。
「じゃあ俺達もここで降りるよ」
「あら?別に送っていくわよ?」
「久々の二人きりになれるチャンスですから、ゆっくりと二人で帰りたいんだ」
「うん…」
「そう…。なら、仕方ないわね。パパラッチには気を付けなさい」
「ああ。じゃあな玲子さん永飛」
「また…ね」
二人は降りるとゆっくり駅の方へと向かって行った。
それから暫くリムジンで移動し、二人の家へと到着すると地下の車庫へと入り、リムジンのエンジンを停止した永飛は車から降りると後部座席の扉を開け、玲子はリムジンから降りる。
玲子はエレベーターホールに入ろうとするが、足が自動ドアの前で止まり、永飛へと振り返り、彼は不思議そうな顔をする。
「玲子…?どうしま…」
と、言葉を続ける前に玲子は永飛に抱き付いた。急にどうしたのかと脳内で疑問符が浮かぶが、うっうっ…と涙を堪える声が聞こえて、黙って抱き締めた。
「良かったですね。二人の結婚式」
「…ええ」
「僕達も結婚式を挙げましょう。大丈夫です。僕達には神と友との加護と祝福があります。きっと直ぐにでも挙げられますよ。一先ずは…」
永飛は優しく玲子を剥がし、跪いてポケットからジュエリーケースを取り出した。
「結婚しよう。玲子。この命尽きるまで貴方を愛する事を誓います」
「ええ。逃がさないわ」
彼女はそう言って笑うと涙は弾け、ライトに光が反射してキラキラと輝いた。




