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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
私達のクエスト
48/50

クエスト1

 とうとうこの日がやってきた。ギルド超絶物語の初クエストだ。私達はあれから約二週間と長い期間を費やして魔法の練習に集中した。

 ギルド対抗戦まで一ヶ月切っている。それなのに私達のギルド貢献度はゼロだ。だが、そのおかげでかなりレベルアップすることができるはずだったのだが……想像以上に辛かった魔法の練習。

 世の中ってそんなに上手く出来てないものなんだな。神山君は異世界から来たから瞬く間に私や優香を超えていくって確信までしてたのに……。最初にあんなに神山君に嫉妬していたのが恥ずかしい。

 歪な魔法陣を出しながら精神魔法は何とかできたから良かったものの……物理魔法ですら無抵抗の人を倒す程度だ。だが、それくらいならその辺の魔法使いでも二週間もあればいけるレベルだ。どう頑張っても階級はE級止まりだ。今まで周りが変すぎたのか、普通の神山君がダメに見えてしまう。

 次に直也。遅い!遅すぎる!美穂からマイペースってのは聞いていたけど非常に遅い。二週間ずっと私と美穂で交互に見ていたが全く成長している気がしない。戦闘面では神山君といい勝負だ。

 そして、雛井さん。彼女も想像以上に問題だった。あの魔力を消す魔法はコントロールが難しいのかわからないが、無差別に周りの人を失敗させることが判明した。魔法の範囲以内の仲間ですら雛井さんの魔法の餌食だ。確かにそれでも十分強いが魔力をコントロールできれば雛井さんは間違いなく最強の魔法使いになるだろう。強すぎるって恐い。

 それはそうと雛井さんはやっと自分が失敗させる魔法以外できないと理解してくれた。理解させるのに約一週間。今思えば辛い日々だったな。よく頑張った私。

 私と美穂は教えるのに専念し、優香には一緒についてきてはくれるものの、相変わらず本を一人で読んでいることが多かった。でも、たまにみんなの中に入って会話をするようになってくれた。これも私が家で優香にぐちぐち言ってたおかげだろう。

 私達のギルドはいい感じにみんな成長してきてる――と思いたい。


「では、今日からクエストやってくわよ」

「なんだか緊張しますね。皆さんと一緒にクエストにいけるなんてとっても楽しみです」

「私も森里お姉様と一緒にクエストに行くことができるなんて嬉しいです!手を繋いでもいいですか!」

「私なんかで良ければ……」

「俺も先輩と一緒にクエストか……嬉しすぎる!ねぇつかさもそう思うよね!」

「…………ああ、そうだな」

 ダメだこいつら。まるで成長してる気がしない。優香もいつも通り寂しく本を読んでるし……。まあ、軽い気持ちでクエストやる分にはいいかもしれないけど……。

「クエストやるのにこんなに気軽でいいのか?危なくないのか?いくら生徒会長がいるからって」

 神山君だけが一人不安そうにしている。

「大丈夫よ。そんな危ないクエストは絶対に受けないし、ちょっとした遠足に行くみたいな感じで受けてくれればいいわよ」

「だろうな……この雰囲気でそんな危険な場所行くとは思わないけどさ。ほんとに危険な場所じゃないんだよな?」

「神山君は心配しすぎですよ」

「そうだよ。このギルドには先輩もいるし、クエスト失敗なんてありえないって!」

 この二人は私のことを何だと思ってるのだろう?直也は私のことを好きって言ってくれてるからなんとなくは分かるけど、雛井さんはどうして私のことをそんなに慕ってくれているのだろう?

 少し前に美穂が言ってたことを思い出す。

 私にあこがれてるとか言ってたけど、あれってどういう意味なんだろう?むしろ私が雛井さんに憧れてるんだけど……。

「どれだけ生徒会長に期待してるんだよ……俺はこのメンバーだからこそ不安でしかないぞ?」

 神山君は相変わらず心配性すぎる。

「神山君はそれでいいと思うわ。誰か一人くらい心配を視野に入れてるってのは大事だと思うし、って言っても今回はさすがに指定の植物を取りに行くだけの作業だからそんな危険はないわよ。もし何かあっても私が絶対に何とかして見せるから安心していいわよ」

「つかさは先輩のこと信じてないの?」

「そうじゃないけどさ、異世界から来るとなんか不安なんだよな、この世界って」

 神山君は気難しい表情を浮かべている。神山君の世界からしたらこっちの世界はよっぽど危険なところなのだろうか?いや、逆に神山君のいた世界はそんなに安全な世界と言うことなのだろうか?

「まあ最初はだれしも不安があるものよ」

「ここにいるやつって生徒会長以外クエスト初めてじゃないのか?俺以外のやつはだいぶお気楽な感じなんだけど……」

「まあ慣れてけばいいわ」

「そうだな……頑張ってみるか。これから何回もやることになるんだしな」

 この世界って嫌な世界だけど、あんまり危ない世界だとは思わないんだけどな。

「ねぇ、みんな。出発の前に一つやることがあるわ」

「??」

 全員が足を止めて私に視線を向ける。

「私達は経験不足だからクエスト中も魔法の練習するわよ」

「は?どうやってだよ。今から歩きながら向かうんだろ?」

「そうよ、だから歩きながらやるのよ。特に神山君はしっかりね。あなたは特別だけど、そんなんじゃ実戦で使い物にならないから」

 もう十分にやってくれてるとは思うけど、最初を甘やかすとあとで辛くなってきてしまう。

「歩きながらか……時間もないんだろ?それでいいんじゃないか?具体的にはどうやるんだ?」

「移動してる時に常に魔力を放出し続けるだけよ」

「確かにそれなら魔力のコントロール上手くできそうですね。やっぱ先輩って頭いいですねー」

 美穂はポンっと手を叩いて一人で納得する。こう言っただけで納得できるってやつなんてなかなかいない。

「なんか簡単そうだな。最近はずっと魔法使ってる気がするし、そんなにやることは変わらなさそうだな」

「そ、それなら私でもできそうです」

「ふふ、簡単って言ってられるのも今のうちよ。やってみればわかるわ」

 魔法を使ったことがある人に魔力を常に出し続ける、そう言われたら誰でも簡単なことだと思ってしまう。

「多分雛井さんはできると思うわ。でも、他の人には少し厳しいかもね」

「ねえ、私はやった方がいい?どうせ直也の魔力が私の魔力だし私がやると直也に影響出ると思うんだけど?」

 魔力の共有――直也の魔力が美穂の魔力だ。直也が強くなれば何もしなくても自然と美穂も強くなる。聞くだけなら何もしなくて便利だと思うが、実際はそうでもない。

 直也が弱いままだと美穂もずっと弱いまま。まさに一心同体とはこのことだろう。

「あんたはどっちでもいいわよ。てか自分で分かってるでしょ?私に聞かなくてもいいわよ」

「まーね。最初に一回だけやってみます。私は余裕でできると思いますしね。直也ができるようになるのはかなり時間かかりそうですけど……」

「そ、そんなことないよ。俺だってやればできるよ」

「はいはい、やってから言ってね」

 うわ、何これ可愛い。美穂にバカにされてムキになってる直也はマジ天使すぎる。ってまた邪念が……。クエストの時は直也のことを出来るだけ考えないようにしないと。また美穂や優香にバカにされる。

「こうやってやるのよ。って言っても目で見てわからないと思うけどね」

 私はやって見せる。と言うよりは常にこの状態って言うのが正しい。

「まずは指輪に魔力を込め魔法陣が出ない程度まで魔力を調整するの。本来なら最初に魔力を魔法陣に変化させ、作った魔法陣が魔力の通り道となりそこで初めて魔法を使うことができるわ。今回は魔法陣を作り出す代わりに魔力を全身に包むようにするの。そしてそれを常に維持すること。これで相手からの精神魔法に対する防御面での強化と魔力を正確にコントロールの二つが出来るようになるわ」

 私は出来るだけ簡単に説明する。

「な、何となく分かりました。さすが生徒会長さんです」

 いつものようにどことなく目を逸らしながら雛井さんが言う。これは間違いなく意味を理解してもらえていない。最近彼女のことがかなり理解できるようになってきた。雛井さんは一回理解出来れば完璧にできるんだけどな。

「要するに常に魔法を使ってるってことね」

 結局、私は一言でまとめる。

「いい?クエスト中は常にこの状態を維持!それが普通にできるようになれば魔力のコントロールは完璧なるはずよ」

 私は少しこの状態を維持するのは簡単だ。だが、これを常にできるようになるには相当努力が必要だ。昔からやっているから今では癖のように当たり前になっているが、やったことない人にはかなり難しいと思う。

「あの、こんな感じですか?多分できていると思います」

 雛井さんが不安そうに聞いてくる。え?もう出来たの?私は思わずそう思ってしまう。だが、そう言われても雛井さんは魔力が感じられないのでよくわからない。

「ちょっといい?」

 雛井さんはきっとできているだろう。勘だけど。

 私は手を雛井さんの元へゆっくり近づける。

「――――ッ」

「どうしました?」

 この感じは……?あれだけの魔法を使っているのにも関わらず、これは絶対におかしい。

 これじゃ測定してもD級くらいか?下手したらそれ以下かもしれない。

「な、何でもないわ。えっと、雛井さんは完璧ね」

 仮に彼女の魔力がその程度ならそれはそれでいいけど、その少ない魔力で他人の魔法を消せるなんて……やっぱり次元が違いすぎる。ああ、なんかますます分からなくなってきた。雛井さんの魔法って一体なんなのよ!ほんとにどれだけ私をイラつかせれば気が済むのか。

「一回でそこまでできるなんてさすがね。私より上手いと思うわ」

「そ、そんな、私なんてまだまだですよ」

 雛井さんは嬉しそうにそう言った。

「魔力調整も完璧か……まあ予想できてたけど――他の人達は苦戦してるみたいね」

 雛井さんの後ろで苦戦する男子二人。

「どうやるんだよ、こんなの!そもそも魔法陣もまだまともに作れないんだぞ!」

「どうかな……あぁーダメだ。失敗しちゃった」

 このギルドの男子二人はどうやら魔法は苦手のようだ。もっと男の子なんだからしっかりしてほしいものだ。特に神山君。異世界から来たとかアニメやゲームで言う主人公ポジションなんだからしっかりと俺つえーってところを見せてほしい。

「はぁ~あんた達ダメダメじゃない。神山君はいいにしても、直也は私の弟なんだからこれくらいやってみなさいよ」

 美穂も雛井さんと同じく余裕でクリアしている。改めて見てみると不思議そのものだ。美穂の魔力は一切感じられず、直也の魔力しか感じれない。ほんとにこのギルドは異常なメンバーが集まっていると改めて実感する。

「そ、そんなこと言ったって……美穂はなんでそんなにうまくできるんだよ」

 悔しそうに直也が言った。あー悔しがる直也っていいなー。なんかそそるものがある。

「コツさえ掴めば余裕よ。私はあんたの魔力借りてるんだからそれくらいやって見せないさいよね」

「なあ生徒会長」

「なに?どうしたの?」

「生徒会長って相手を見たら敵の強さとか魔力とかが分かるのか?なんで雛井や美穂が出来てるって分かるんだ?俺は全然見てもわからないぞ」

「あーそれね」

 私や優香、上位の魔法使いならきっと相手の魔法を見れば相手の魔力くらい判断できる。もっと勘の鋭い人は相手を見るだけでもその人の強さが分かるだろう。

 だが、それくらい強い魔法使いでも、雛井さんを見て強いとは分からないだろう。雛井さんは美穂と同じように魔力を全く感じない。私が雛井さんを強いって思ったのはただの直感のようなもの。雛井さんから滲み出る威圧感のようなものだ。これは他人には理解できないものだろう。

「私だけじゃなくて優香も相手が魔法を使ったら強さくらい分かるわよ。まー昔からやってる人なら多分強さをある程度は判断できると思うわ。魔法に長い間触れてれば何となく分かるようになるわ」

 そう言いながらちらりと美穂に視線を向ける。美穂は魔力がないけどどうなんだろう?

「えー私に聞いてるんですか?私が分かるわけないじゃいですかー。私は正規なんで中学から魔法やり始めたんでー、そんなに長い間魔法なんてやってませんよー」

「その言い方ムカつくわね……」

 でも、ふざけて言ってるってことはこいつも魔法に長い間触れてきてるってことなのだろうか?

「とりあえず神山君と直也が上手くできるようになるまでここで練習し続けるから、そのつもりでね!」

「は、はい!頑張ります」

「はぁ~めんどくさいけど頑張るか……」

少し話しをいじったので良かったら見てほしいです。

久々の投稿です。

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