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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第二章 私達のギルド
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ギルド名2

 超絶物語。懐かしい言葉だ。ほんとに懐かしい。

「先生、それってどういう意味ですか?」

「超絶物語って言うのは昔ゲームの中で私達が入っていたギルドの名前よ。少人数しかいなくてすぐに解散しちゃったんだけどね……。作った時の意味は……そうね。弱い人でも面白い物語が楽しめる的な感じよ……」

 雛井さんの質問に先生の代わりに私が答える。


 人は誰もがみんな優れているわけじゃない。人はそれぞれだ。魔法をどれだけ頑張っても上手くならな人だっている。努力で何とかなる?そんなのただの気休めでしかない。努力で少しは差を縮められるかもしれない。でも努力じゃ限界がある。

 私はそれが嫌だったから死ぬほど頑張った。小さい頃の私はとっても弱かった。そもそも今でも自分は天才だと思っているけど強いとは思っていない。きっと才能のない私が頑張れたのはそれが理由だ。才能だけの人に負けたくない。でも、どれだけ努力をしても勝てない。そう気づいたから――いや、そう思ったから私はMMMOに現実逃避した。そして現実逃避に逃げ込んだMMMOからも逃げ出してしまった。やめた理由は簡単だ。自分が惨めに感じたから。それだけだ。

 私は本気をだした雛井さんに勝てないだろう。彼女には才能がある。そして、私よりも何倍も努力してきた。一目見てそれがわかるほど彼女は凄い。


 入学式の日に私は雛井さんと出会った。最初に雛井さんを見て思ったこと――私がどれだけ頑張ってもこの子には勝てない。正直ムカついた。今まで私より凄い人なんてたくさん見てきた。でも、ここまで力の差を感じたのは初めてのことだった。でも、それは魔力的な問題でじゃなかった。

 彼女の印象は性格も暗くて地味なやつ。どうして私がこんなやつに……。腹いせにいじめてやろうと思った。私は雛井さんに嫉妬していた。


 私は彼女の弱みを手に入れるため、普段何をしてるのか調べるためにこっそりあとをつけてることにした。運が良かったのか悪かったのか彼女は私の親友とクラスが一緒だった。今思えば優香は私が雛井さんに興味を持った時点で同じギルドになることを考えていたのかもしれない。

 そして彼女のあとをつけて私は彼女の秘密を知った。彼女は放課後になり日が落ち始めてくると誰にも見られないように一人で立入り禁止の迷いの森へ入って行った。これを学校に報告すれば一発で退学だ。そう思った。

 ――――でも、一応何をしてるのかを確認するために中に入った。きっとこの時迷いの森の中に入らなかったら私は永遠に生徒会長を演じていただろう。優香とギルドも作らずに……。

 同じ背景が続く迷いの森を三十分ほど歩くと広い場所に出た。そこは明らかに異質な空間だった。

 今まで薄暗く辺りを見回すのがやっとだったのに真昼のように明るい空間。今まで無差別にあった木や茂みのこの場所には一切生えていない。後ろを向いてみてるとよくわかる違和感。そもそも外はもう暗くなってきているはずなのにこんなに明るいのは異常だ。

 だが、その異質な空間で何事もなかったかのように彼女は魔法の練習を始める。その練習はシンプルなものだった。ただひたすら魔法を使い続けるだけの――それを彼女は繰り返し行った。

 次の日に知ったことだ。雛井さんはずっと自分が魔法を使えないと思っていたらしい。そして、中学の時は『雛井の近くにいると俺達も魔法が失敗する』そういった噂のせいでずっと一人だったという。その中でも彼女はがむしゃらに頑張っていた。

 練習開始からどれだけ時間が経過したのか?おおよそ五時間以上は練習していただろう。勿論、彼女は魔法は一回も成功することはなかった。いや、ずっと成功していた――がこの魔法は一人でやっても気が付かない魔法だ。

 そして彼女は独り言を呟いた。

「きっと明日は大丈夫です……」

 泣きながら震える声でそう言った。

 私は次の日も雛井さんの後を付けた。彼女は昨日と同じように迷いの森へ行った。

 そして彼女は昨日よりも長く魔法を練習した。勿論、どれだけ練習しても雛井さんは自分の魔法に気が付かなかった。そして練習が終わり最後に一言自分に言い聞かせるように呟く。

「あ、明日こそは絶対に大丈夫です」

 昨日のように泣きながらそう言った。

 私は自分を恥じた。なんて愚かなんだろう私は……。間抜けすぎる自分が嫌になってくる。きっと彼女は今までもここで練習してきたのだろう。努力を途中でやめた私が彼女に勝てるわけない。

 ――でも、今はそんな彼女と同じギルドにいる。ギルドに入るなら自分で作るか自分より強い人のギルドに入ろうと思っていた。だから私は優香に頼んで彼女をギルドマスターにしてもらった。

 そして直也に出合って――ギルドのみんなと出会って私は変わることができた。


「生徒会長さんらしくてとっても素敵です!わ、私も生徒会長さんみたいになれますか?」

 目を輝かせながらそんなことを彼女は言ってきた。彼女の眼差しは一体どんな私を映してるのだろうか?そして本人には言えないがやっぱりこういうとこを私に平気で言ってくるのがムカつく。でも――

「雛井さんなら簡単に私なんか追い越しちゃうわよ」

 私は彼女の頭に手をのせそっとやさしく頭を撫でる。雛井さんは嬉しそうに照れている。この可愛い姿だけ見ていると私より強いなんて全然思えない。

「あ、ありがとうございます。私、ギルド名はこれがいいです!」

「俺もこれでいいと思うぞ」

「さよがいいならいいと思う」

「昔さよ先輩が作ったのが気に食わないけど……お姉さまもそう言ってるからこれでいいかー。勿論仕方なくだけどね」

「俺も先輩が作ったギルドなら大賛成です」

 今のだけ聞くとこのギルドの人間関係がはっきりしてくる。聞かなくても大体は理解してるつもりだけど。そして私達のギルド名が決まった。

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