表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第二章 私達のギルド
28/50

平穏1

「――それより美穂。いつから先輩のことさよ先輩って呼ぶようになったんだ?」

「いやーなんか私さよ先輩がね、私にどうしてもって言うからこういってあげてるのよ。ね?さよ先輩」

 まるで私が美穂にお願いしたみたいになってしまっている。やっぱりこいつはムカつく……。最近、ムカついてばっかりだな。無関心より感情的になれる方がいいと思う、と昔優香が言っていた。今のあんたに言ってやりたい。

 今更だけど学校の人ってほとんどの人が私のこと生徒会長って呼んでるから名前で呼ばれるのって新鮮だ。てか、正直なところ嬉しい。優香と吉田さんくらいかな?今まで私のこと名前で呼んでくれてたのって。直也も私のこと名前で呼んでくれないかな――ってダメダメ。危なかった。また妄想に入りそうだった。

「ねえ何ニヤニヤしてるの?私の話聞いてる?」

 自分では自覚はないが顔にでてしまってるらしい。好きな人のことを考えると自然と笑顔になってしまう。うん、仕方ないことだ。

「聞いてるに決まってるでしょ!ちょっと考え事してただけよ!それに名前はあんたが私のことどうしても名前で呼びたいって言うからでしょ?」

「へえーそんなこと言うんだ?」

 今までに見たことないような美穂の満面の笑みを浮かべる。背筋にゾッと悪寒が走る。この時点で嫌な予感しかしない。

「な、なによ?」

「ねえーなおやー」

 美穂はゆっくりと直也に近づき言った。

「寝てる人にキスする人ってどう思う?お互い好き同士なんだけどまだ付き合ってないの。はっきり言ってきもいと思わない?」

 は?なんでこいつが知ってるの?私は思いっ切り優香を睨み付ける。が、優香はいつも通り本を読んでいる。自分には関係ないと言わんばかりに無関心だ。

「うーん、よくわからないけど――でも、付き合ってもないのにそういういやらしい事する人は嫌だな……。キスとかってその……なんかあれじゃん」

 直也が照れながら言う。照れてる姿も可愛いな。ああああああマジで好きだよ!直也のこと考えてるともう他のことなんてどうでもよくなる。

 ――ってどうでもいいわけないでしょ!え?今の男子高校生ってキスとかしたがらないの?普通付き合ってなくても好きな相手とキスしたいとかそれ以上のこととかしたいと思わないわけ?私はこんなにキスしたいのに――

「なら面白いこと教えてあげようか?なんとさよせ――」

「うわーーうわーーわーー!!」

 私は今までに出したことないような大声で叫ぶ。よし、今からやることが決まった。

「ど、どうしたんですか?先輩?急になんか大声だして」

 とりあえず口封じするか。まあこの二人なら多少やりすぎても大丈夫でしょ。

「な、なんでもないわ。気にしないで。でもあなたのお姉ちゃんと神奈月さんを殺すわ」

 私は笑顔でそう答える。いい加減我慢の限界だ。

「せ、先輩!ど、どうしたんですか?」

 直也が狼狽えながらそう言ってくる。でも今は無視だ。

「じょ、冗談に決まってるでしょ?顔がマジだよ?さよ先輩落ち着いて。ね?全部優香がね――」

 優香か、名前で呼んでるってことはこれは計画的なもの?優香が私のことを話せるような友達作れたのか……。嬉しいなけど……なんか複雑だ。この二人は絶対に合わせちゃだめだった。

「あーこれは少しやり過ぎたっぽい。愛箱先生、ギルド名書いて提出しといてください。私は用が出来たから今日はもう帰ります。それじゃさよなら」

 そう言いながらまるでこうなることを予想してたのか隠し持ってきいた靴に履き替え窓から飛び出してく。こいつ最初からこうなること分かっていたの?

 最初から話す気満々ってこと?ふふっ――なんか優香もかなりこのギルドに馴染んできてるのか。うん、嬉しくない。できれば雛井さんのように素直ないい子になってほしかった。もうすでに優香はほとんど見えなくなっている。私は残された最後の獲物に目を向ける。

「ちょっと、あんたなんで裏切るのよ!ばかーー!こうなったらあんたがおとりやるって言ってたでしょ!」

 美穂の声が虚しく響きわたる。

「へぇー名前でよんじゃって随分仲良くなったみたいね。あんた達」

「さよ先輩の事で盛り上がってたら気が付いたら仲良くなったんですよね。あははは――」

 仲良くなった。大変結構なことだ。

「あんた達には一回、私が先輩ってことを自覚してもらわないとね」

 ――私は目の前に魔法陣を出す。

 勿論、実際魔法を使うわけじゃない。ただの威嚇するためのものだ。これ以上挑発してこなければの話だが。

「ちょっと直也、私を助けなさいよ!」

 美穂が直也に助けを求める。

「せ、先輩お、落ち着いてください」

「そ、そうですよ。一体どうしたんですか?神山君も止めてください」

 直也と一緒に雛井さんまでが止めに入ってくる。

「二人ともバカだろ。どう考えても今のは時葉姉と神奈月が悪いから助ける必要ないぞ。むしろ、生徒会長の応援でもしてやれ」

「そうだねー。いやー青春だねー。僕こういうの好きだよ」

 冷静にツッコむ神山君と完全に他人事のカユっち。

「っち――あ、優香が戻ってきた」

 私以外の全員が後ろを振り向く。ふふ、そんな作戦なんかに騙されるわけない。

「あんたバカでしょ?私がこんな作戦に騙されるわけ――」

「――これは使いたくなかったんだけどね。この写真あげるわ」

 みんなに聞こえない声で一枚の写真を見せてくる。ちょうどこの角度からだと何が写っているかわからない。

「は?なんの写真よ?」

「分かってるくせに言わせないでよ。話の流れ的にわかるでしょ?私のとっておきの一枚だったんだけどね」

 美穂はニヤりと笑う。いわゆる賄賂というやつだ。きっと直也の写真だ。どうする?もちろん、迷う必要なんてない。私は魔法陣を消し写真を受け取った。

「仕方ないわね、今回これで――」

 私は少し照れながら目つぶってしまう。――だがそれがいけなかったのだろう。

 次に目を開けた瞬間、もうこの部屋に美穂の姿はなかった。急いで部屋から出るがすでに美穂はかなり遠くまで逃げている。

 私は手渡された写真に写っていたのはこの学校だ。その写真の裏には「天才(笑)」と書かれている。あいつなんでこんなの持ってんのよ?自分が情けなさすぎて落胆してしまう。

 私って直也のことになるとダメだな。クエストの時は絶対に気を付けないと……。

 気を抜いてしまったせいか、気が付けば今までのイライラはなくなっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ