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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第二章 私達のギルド
26/50

ギルド名1

「さよ?大丈夫?」

 私は親友の声で現実に引き戻された。また無意識に自分の世界に入り込んでしまっていた。

「あーごめん。ちょっと考えてた。その……さっきは否定したけど、やっぱり神山君の言ってることはほんとだと思うわ」

 神山君の存在――それが異世界の証明になる。これを学校や警察に報告したら一生遊んで暮らせるような莫大な報酬と名誉がもらえる。まあ、そんな面白いことを他人に言うなんてことは絶対にありえない。

「それで聞きたいんだけど……生徒会長は俺が元の世界に帰る方法とか知らないのか?」

「さすがに知らないわね……ねえ、この話ってこのギルド以外に知ってる人とかいる?後、この話は絶対、他言しちゃダメよ」

「このこと知ってるのは後は校長くらいかな……なあ、今の俺の状態ってそんなにやばいことなのか?」

「やばい?そんなレベルじゃないわ。私ならあなたを拘束するレベルよ」

「さすがにそこまでは……」

「それくらい危険なことなの。みんなも絶対に神山君のことは他の人には言っちゃダメよ?これは神山君の命がかかってると思っておいて」

 私がそう言うとみんなはしっかりと頷いてくれる。

 あの校長は神山君が別の世界から来たって知ってるの?それを聞いてあいつはどう思ったのだろう?この学校で一番危ないのがあの校長だ。あいつは一番何を考えているのか理解できない。そういうやつが一番怖い。


「じゃあ、話がそれちゃったけど、改めて説明するわね。クエストってわかる?」

「ゲームとかにあるやつだろ。その時に何となくは校長に聞いた。町の外に行って、なんか取ったり倒したりするんだろ?」

「そんな感じよ。ギルドには貢献度システムがあるの。そしてやったクエストごとにポイントがもらえるの。神山君の言う通りゲームみたいな感じね。学校内でそれを競い合ってトップ十六に入ってると校内で行われるギルド対抗戦に出れるって感じよ」

「俺らがそれに出るってことか?今からやって間に合うのかよ?昔からあるギルドとかはどうなんだ?もうすでに貢献度とかが溜まってたりするのか?」

「いいえ、ある程度時間が経つと貢献度はリセットされるの。入学式と同時に貢献度はリセットされたから頑張れば私達でも出れるわ。ちなみに貢献度は成績とかにかなり響くからの。だからこういった少数のギルドは少ないのよね。あっても仲良しグループとかそんな感じのギルドくらいよ」

「そうなのか。俺は出れるなら出てもいいけど、俺魔法なんて一回も使ったことないぞ?」

 これで納得がいく。異世界から来たから魔法ができないのに滝見君に喧嘩をうっていたのか。

「でしょうね――これで納得がいったわ。やっぱり魔法は使えなかったのね。おかしいと思ってたのよ」

「え?つかさって魔法使えないの?滝見と喧嘩してた時に使えるって言ってなかった?」

「あーあれは嘘だ。雛井がいろいろ言われてたからな。ちょっと脅かしてやったんだよ」

「神山君――そ、そのことはもう忘れてください」

 雛井さんが顔を真っ赤にして照れている。神山君は雛井さんとどういった関係なの?もしかしてこの二人は付き合ってるの?そこまで仲良くは見えないけど。

「ははは――やるわね。魔法使えないのに魔法使いに喧嘩売るなんて普通できないわよ」

 これが学校内の出来ことで良かった。今世界では今それが問題になっている。魔法を使えるやつが強者。魔法を使えないやつが弱者。腐りきった世の中だ。人なんてみんな同じ生き物なんだから差別なしで生きていくのが一番だと私は思う。

「ほんとにあの時のつかさかっこよかったよ。俺が女で先輩が居なかったら多分惚れてたと思う」

 不意に直也にそう言われ顔が真っ赤になる。不意打ちすぎる!でも、めっちゃ嬉しい!思わず顔がにやけてしまいそうになる。あーもっと私のこと褒めてほしい!でも、心を落ち着かせないと。みんなの前だし、ニヤニヤしてたら気持ち悪いって思われたら困る。

「ま、まあ私は完璧だからね。それじゃあ神山君も賛成してくれたことだしギルドの目標はとりあえずギルド対抗戦ってことでいいわよね?」

 嬉しさを抑えながら会話を逸らす。気が付けば美穂が本を読んでいる優香に何か耳打ちしている。そして二人してにやけながらこっちを見ている。この二人はほんとうざい。こんなんじゃ直也に私の気持ちがばれるのも時間の問題か……。ならいっそのこと早くばれてほしい。そしたらどれだけ気持ちが楽になるか。

「そうだな。俺は問題ないぞ。魔法使いのバトルか。面白そうだな」

「わ、私も足を引っ張らないように……魔法がちゃんとできるように頑張ります」

 雛井さんはまだ自分の凄さに気が付いてないのか?まあ、私が他人が失敗するのは雛井さんの魔法とは関係ないって言ったからってのもあると思うけど……それでも天然もここまでくると少しイラッとしてくる。

 うぅ……雛井さんに嫉妬するって私どんだけ最低なのよ。今ここであなたはめっちゃくちゃ凄い魔法が使えてるのよって言ってやりたい気分だ。

「森里お姉さまが頑張るなら私も全力で頑張ります!」

「俺も先輩が一緒ならどんなことでも乗り切れる気がします」

「私もこの六人ならできると思うわ」

 これで全員の意見が一致した。よしっ。私も頑張るぞ!さっきはいろいろ考えてたけど、やっぱり今を楽しもう。私はそのためにギルドに入ったんだ。


「おとさー」

 ガタッと部屋のドアが開く。

「だからその名前で呼ばないでって言ってるでしょ!」

 カユっちが私の過去の名前を呼んで部屋に入ってくる。

「ごめん、ごめん。さっきの紙忘れてたよ。はい」

 そう言われギルド申請用紙を手渡してくる。謝っているはずなのにまるで反省している気がしない。まあいいけど。

「ギルドってあのギルドのことだったのね。いやー最近現実世界から離れすぎてて気が付かなかったよ」

 あのギルドってどのギルドこと言ってんの……。ギルドなんて他に何もないでしょ?ここまでくると呆れてしまう。

「ねね、ギルド名が決まってないみたいだけどまだ決まってないの?」

 そう言われてみたらそうだった。ギルド名か……。

「まだ決まってないけど……」

「なら僕が決めていい?だって僕が顧問なんでしょ?」

「待って、その人が決めたら中二全開の変な名前にならない?漆黒とか暗黒とか絶対に嫌なんだけど……†とかもやめてね。記号名前に使ってる人ほど痛々しいものはないわ」

 美穂が冷静にツッコみをいれる。その人って、一応先生なんだけど……。

 でも、確かにカユっちのことだ。そうなってもおかしくはない。私は全然おっけーなんだけど……。私は今でも漆黒とかそう言ったかっこいい言葉は好きだ。

「せめてギルド名に森里お姉さまって入れて貰わないと!」

 美穂がまたわけわからないことを言い始めた。ギルドに人の名前を入れるなんて……斬新すぎる発想だ。

「み、美穂さん。ななな、何言ってるんですか!ギルドに私の名前なんてそんなことやめてください。名前を入れるんだったら生徒会長さんの方がいいですよ」

 そしてなぜかとばっちりを受ける私。どうしてこうなった。

「あんた達――」

「俺も先輩の名前を入れるの賛成です!」

「…………」

 私が反対しようとすると、直也までもそんなことを言い始めてしまう。そう言ってもらえるのは嬉しいけど、さすがにギルド名に自分の名前を入れるのは恥ずかしすぎる。それにそんなことしたら一発で私がギルドに入ってしまったことがばれるじゃん。

「えー私はさよ先輩なら――いや、以外にいいかもね。よし、それでいこう!」

 あーもう!無性にイラついてくる。

「なんかだんだんカオスな感じになってきたな……みんな少し落ち着けよ。生徒会長が困ってるだろ?」

 さすが神山君!このギルドじゃ神山君が頼りだ。マジで助かる。

「先輩嫌だったんですか?ごめんなさい、俺達で勝手に盛り上がっちゃって……」

「そ、そうですよね。ギルドに自分の名前なんておかしいですよね。ごめんなさい」

 二人は申し訳なさそうにして私に謝ってくれる。

「だ、大丈夫よ。全然気にしてないから」

「っち、この流れで押し切れると思ったのに」

「はぁ~お前も少し自重しろよ」

「これでも自重してるつもりだけど?私が本気をだしたらどうなると思ってるの?」

 そんなに自信満々に言われても困る。

「それ自慢して言うことじゃないだろ……はぁー」

 神山君が大きなため息をつく。その気持ちめっちゃわかる。が、きっと私も神山君を困らせている側なんだろう。そう考えると少し申し訳なくなる。

「ねえそろそろ僕話していいかな?」

 カユっちはいつの間にか机に座わりながら寝そべっている。

「実を言うと昔からギルド入るならこの名前って決めてたギルドがあるんだよね。って言っても僕の場合はMMMO内の話なんだけどねー」

 笑顔で私を見ながら言った。こいつが昔から決めてた……。そこまで言われるとその先は予想が付く。

 今のカユっちはゲーム内ではギルドに入っていない。別に一人が好きってわけじゃない。私みたいに人付き合いが苦手なわけじゃない。ただ一回決めたことはずっと貫き通す。それを徹底しているだけだ。

「ふふふ――これは気にってもらえると思うよ」

 カユっちは勢いよく机から立ち上がり、そして大きく息を吸ってこう言った。

「今の君達にぴったりのギルド名だ。その名も――――超絶物語(ちょうぜつものがたり)だ!」

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