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早田音さよの超絶物語  作者: 中二病少女
第一章 私達の出会い
14/50

早田音さよ1

 ★★★★★


「あーイライラする!ばかああああああああああ!!あほおおおおおおおお!!」

 静まり返る草原に私の罵倒が響き渡る。

 全部あのギルドのやつのせいだ。優香のやつ何考えてるのよ。友達とか友情とか絶対にありえない!!どうせそんなのすぐに壊れるに決まってる。考えれば考えるほどイライラしてくる。

 あの双子の弟の方――名前はたしか時葉直也だっけ。初対面でいきなり告白してきた上に命をかけて守りますとかマジでありえないんだけど!!

 告白なら今まで何回かされたことある。その度適当にあしらってきたけど……けどこんなにイライラするのは初めてだ。別に告白されたことに怒ってるわけじゃない。

 まあ、自分で言うのもあれだけど私に告白したくなるのもわかる。私は勉強もできる。性格も人前ではいい。顔も可愛い。スタイルもいいはず。胸は少し残念な気もするけど……。自分の小さく膨らむ胸を見る。胸はまだ成長期だし――そう、はっきり言って私だってこんな完璧な美少女がいたら告白したくなる……って、そんなことはどうでもいいのよ!私は思わず自分につっこんでしまう。

「ふぅ……」

 少し落ち着こう。こんなとこ学校の誰かに見られたりしたらイメージが下がってしまう。はっきり言って学校で過ごしている私と今の私は別人と言っていいほど違う。学校では人とできるだけ関わりたくなかったが気がつけば生徒会長にまでなっていた。別に生徒会長がやだということじゃないけど――生徒会長になってしまった原因はわかってる。人付き合いが得意ではなかったがとりあえずいろんな人に気を使っていたらこうなってしまった。愛想笑いで私に勝てる人なんてこの世界に存在しない――そう思えるほどだ。

 あぁ~あいつ早くこないかな。私はこの場所にあの双子の片割れを手紙で呼び出した。

 ここは町の外にあり一般的には立入り禁止になっている草原。見渡す限りの地平線。月の神秘的な光だけがこの場所を綺麗に照らし風の音だけが静かに聞こえる。ここは家以外で唯一心を落ち着かせることのできるとっておきの場所だ。できれば他人には教えたくなかったが――今はそんなことを言ってる場合じゃない。

 真ん中に赤い宝石が埋め込まれている石。このゴーレムを使ってあいつに目にもの見せてやる。自分で粛清を下してもいいがそれだと自分が負けを認めてるみたいで嫌だ。

 吉田さんのゴーレム勝手に持ち出しちゃったけど大丈夫かな?ばれなきゃいいと言う最悪の考え方だ。あのバカメイドは怒ると恐いからな……。

 私は手のひらサイズの石を地面置き魔力を込める。――さっきまで普通だった石が姿を変え始める。その石は見る見るうちに姿を変え人のような姿に変化する。

 持ち運ぶ時は手のひらサイズだったが起動させたら私よりもはるかに大きくなったゴーレム――何度見ても慣れない。一体どうやってこの石がこんなに大きくなるのだろうか?世間で天才って呼ばれても実際はこんなこともわからない。吉田さんは一体何のためにこんなものを買い集めてるのだろ?

 そんなことよりもうすぐ約束の時間だ。マッジクフォンで時間を確認する。これでこのモヤモヤが解けるだろうか。そもそもなんで私はここまでむきになってるのだろう……。あんなやつのことなんてなんとおも思ってないのに……。



「せんぱーい。どこですか?」

 ――約束の時間だ。遠くからあいつの声が聞こえてきた。ふん、罠とも知らずに、ご苦労なこった。

「助けてー。いきなり変なやつに襲われて……またあいつが戻って来るかもしれない」

 不安を装いあいつに返事をする。ふふ、完璧な私の演技。もちろんそんなやつは存在しない。この誘拐犯はこいつを呼び出すために生み出した空想上人物。

 大体この天才の私が誘拐されるなんてことありえない。そもそもなんで今日初めて出会ったあんたを呼び出したのとか、呼び出したのにその張本人が居ないとか不思議に思わないの?私だったら罠としか思わない。こいつがバカで助かった。

「先輩、今助けます。待っててください」

 時葉直也はなんの疑問も持たずに私を助けようとする。

 ふふ、バカなやつめ。こいつにはあらかじめ指輪を持ってくるなと伝えてある。魔法使いは指輪無しでは魔法を使えない。指輪がなければ魔法使いもただの一般人と変わらない。もし指輪を持っていたとしてもこいつじゃこのゴーレムには弱点をつきでもしない限り勝てるはずない。どっちにしろこの場は逃げる以外の選択肢はない。後はこいつが私を見捨てて逃げれば完璧――絶対に本性を暴いてやる。

 直也が私の方に駆け寄ろうとするとゴーレムが腕を振り上げる。このゴーレムには二つの命令がされている。一つ目は私に近づいてきた敵のへの攻撃。二つ目はゴーレムに接近した敵への攻撃。所詮は作り物なので簡単な命令しかできない――でもそれだけできれば充分。直也がゴーレムの腕をぎりぎりのとこで避ける。

 ちっ。あと少しだったのに。

「くそ。なんだこいつ。先輩心配しないでください」

 こいつこの状況でもまだ私の心配してるの?うざい。イライラする。

 直也は再びゴーレムの後ろに回り込もうとする。こいつ学習能力ないの?ゴーレムは間合いを広げ――見た目では想像できないほど機敏な動きを見せ直也を吹き飛ばす。

「――――くっ」

 直也がゴーレムの巨大な腕に吹き飛ばされ草原を転がり倒れこむ。よしっ、これでさすがに逃げ出すだろう。口でどれだけ言おうと結局は自分が一番大切。人間なんてみんなそんなもんだ。しかも初対面の相手に命をかけて守る必要もない。まあ落ちこぼれにしては頑張ったほうかな。

「ごほっ、先輩――もう少し待っててください」

 だが、時葉直也はゴーレムに吹き飛ばされても再び立ち上がった。こいつ――まだ諦めてないのか。

 まあ、命をかけるって言ったんだからこれくらいはしてもらわないとね。こいつを見てるとどんどんイライラしてくる――なんで私こんなにムキになってるんだろ。

 今度は近くに落ちている木の棒を拾いゴーレムに向かって行く。そんな木の棒で勝てるわけない。勿論、その棒も私が用意したものだ。

 この棒を使ったら何とかなるかも、そう思わせるように置いておいた。僅かな希望をあたえてとことん絶望させてやる。

 さっきまでとは違い上手くゴーレムの攻撃を避け懐に潜り込み思いっきり木の棒を振り下ろし叩きつける。が、ゴーレムにはそんな攻撃効くわけがない。

 今度は至近距離からゴーレムの拳が直也の腹に叩き込まれる。そして直也はさっきとは比べ物にならないくらい吹き飛ばされる。

「うっわあああああああ――」

 殴られたところからは血がにじみ出ており口からも血が出ている。今度こそ本性を現すはずだ。

「っく……せめて魔法が使えたら……」

 それでも直也はまだあきらめなかった。ボロボロの体で立ち上がる。なんでこいつはここまで体を張って私を助けようとするの……。



 ――それからどれくらい時間がたったの分からない。直也はゴーレムに立ち向かい何度も吹き飛ばされる。ボロボロになっても何度も何度も……。本当にイライラする……。

「ねぇ!さっきからなんなの?もういいよ!なんでそこまでして私を守れるの?あなたと私は他人でしょ?そういうやつ見てるのイライラしてくるのよ!私はあんたのことなんてなんとも思ってないのよ?こんなことして私があんたこと好きになるとでも思ってるの!バカなんじゃないの!大っ嫌い!!」

 ――――ついに言葉にだしてしまった。こんなはずじゃなかったのに……。別にこいつのことなんてどうでもいいのに……。

「別に先輩にどう思われたっていい!でも――先輩と会えなくなるなんてやだ!俺は絶対に助けだします!うおおおおおおおおお――――」

 直也はそう言い切るとまたゴーレムに立ち向かって行く。そしてまたゴーレムに吹き飛ばされる。

 絶対に一人じゃ勝てるわけないのに……なんでここまで……いや違う。ずっとそれを否定してきた。


 私は――誰かに守ってもらいたかったんだ。


 こいつに最初、告白されて守るって言われた時、本当は嬉しかったんだ。でも、私は信じようとしなかった。こいつの言葉も……自分の気持ちも……。本当は最初からわかってたはずなのに……。なんでこんなつまらないことで意地はっちゃったんだろ……。バカだな私……。

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