三話
「とりあえず開けてみるか」
名も知らぬ幻獣が残していった4つの箱。
それぞれのパーティリーダーが両手で抱えるほどの大きさだが重量はそこまででは無いらしい。
この箱の中にあるのは我々の助けと言っていたが、この異世界での助けとは……金か武器か。
「ちょっとこれ……硬いんだけど」
各人が箱を開ける中、1人はそれに苦戦していた。
我らがリーダー風の勇者である中里 友利さん。
知略で旅をすると言っていたから力には期待していなかったが、他の人達があっさり開けているのを見ると。
もう少しきたえて欲しい。
「水上くん、頼めるかな」
突然のご指名、最初はなぜ俺と裏を探ったが答えは簡単。
1番近くにいる男だったから、外見の見た目から1つ奥にいるメンバーであるたいがくんの方が力強そうなのに。
それに開けれなかった事を考えるとあまり進む気は無い。
まぁ断って関係悪化は避けるけど。
「……なんだこれ」
不安だった肩透かし箱は簡単に開いた。
こんなのも開けられないのかという中里さんへの気持ちは箱の中身に対する疑問で打ち消されていた。
箱の中には紙切れ1枚とお金が少々。
「そっちは何入っていたんだ?こちらの3つは同じようなものだったそ」
日野が紙切れと硬貨を見せつつこちらへ寄ってくる。
中里さんが残念そうな声で3つが4つになったなと言う。
だが、確認してみると全くの同じでは無いことに気づく。
硬貨は百円玉サイズ、表には丸の彫り、裏には十字の彫りがあるシンプルな模様。
仮にこれがこの異世界のお金だとしたら随分と複製できそうなもの、やはり我々の世界の方が進んでいる様子。
「なるほど」
理解の言葉を出すのは4枚並んだ紙切れを覗く中里さん。
「つまりは4グループそれぞれに行き先別の地図があるというわけか」
一見すると全てが同じに見える宝箱の相違点、それは紙切れに書かれた地図の上をなぞる赤い線。
その赤線はスタートこそ4つ全て同じだがゴールはそれぞれ違う。
ご丁寧にカタカナで地名まで書いていた、我々が向かう先は「ーダナー」。
「最初は道順があるということだな、最初は」
日野が言う通り、この異世界放浪に道順が出来た。
だが、それは最初だけの話。
最初の町に帝王が居るわけもない、そんな間抜けな帝王なら勇者じゃない誰かが殺しているだろう。
つまり、我々は赤戦の先の町を旅しなければ行けない。
「支援ってこれだけかよ」
それぞれのグループメンバーが悪態をつく中、我々のメンバーであるゆうかさんが面白い発見をする。
「これってさ最初の町までは安全って事だよね」
最初は何をそんなお気楽な事をと思っていたが考えてみると確かにその通り。
この場所だって数時間物音すらない、あの幻獣がどれほど強いかは知らないが案内人なのは確か。
それに我々をここに召喚したと言っていた事から初手死は意味が無い。
それにわざわざルート指定しているのは何か意図があるはず。
「つまり……身支度をしろって事か」
中里さんは空中を指さす。
その位置から他のメンバーも意図を理解する。
空中に浮いたテクスチャは指を上下させることで出現する、そしてその左下にはステータスの表記。
水上 涼太「ステータス」
力ーE
知力ーC
速力ーF
視力ーD
魔力ーF
運力ーF
気になっていたが運力ーFって……一般に俺は運が良いと思うんだが。
「ではみんな、健闘を祈る!」
東西南北に進むそれぞれのグループ。
異世界に来ておよそ3時間、いよいよ日本への帰路を歩き始める。




