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悪役令嬢だってモブだって幸せになれます

「前世男だったの?」とソファからずり落ちながら素っ頓狂な声をあげた。


そうだよと平然と答えるテレス。

リザちゃんはテレスの話を面白そうに目をキラキラさせている。

まるで面白い物語を聞いてるような顔をして。

ほぼリザちゃんの話だったけどね(^-^;


ソファにかけ直しながら、百合とか怪しい単語も出てきたけど、大丈夫か?と訝しむ。

するとテレスは手をフリフリ「大丈夫だよ、今はもうなんにもする気なくなっちゃった。」とへへっと笑う。


「さて、遅くなっちゃったけどそろそろ食堂に行こう。実はお二人に紹介したくて、私の婚約者を…」

「えっ!ご婚約されたんですの?」とリザちゃんが驚いた。リザちゃんにも伝えてないらしい。


食堂に入ると一人の男性が立ち上がり会釈をする。まるでゲームに出てきてもおかしくないほど、かわいらしい姿。

そう、なんだかかわいらしい男の子(娘?)なのだ。

なんとなく、二人の婚約を納得してしまった。

「先程も話題に出ましたが、婚約者のホーウェンです。こう見えても学園に通っている2年生で先輩ですよ。」とテレスが紹介してくれた。

ホーウェンに挨拶をして、そのまま席に着く。

二人が並ぶと、婚約者というより仲のいい女友達という風情だ。

食事を楽しみながら、ホーウェンとテレスの婚約の切っ掛けを聞いてみた。


「実は僕とテレスは幼い頃から婚約の話は出ていたのですが、なかなかうまく話が纏まらなかったんです。そのうちその話も立ち消えてしまって。」

あーきっと俺との婚約話が浮上してしまい、一旦流れてしまったんだろうなと思い至り申し訳なく思ってしまう。

「そうこうしてたら僕に婚約の話が来たのですが、会いに行ったらこんな女みたいな容姿でしょ?

向こうからお断りされてしまって。そういうことが何件かあって…。

でもよかったんです。本当はずっとテレスを想っていたんで。

テレスに婚約者ができるまではと、そのあとはずっとそういう話はお断りしていました。

そしたら、学園に行かなくなったテレスが領地に戻って来ていると、久しぶりに会いに行ったら元気がなかったから、毎週末通って会いに行ってたんです。

それでつい先日告白しまして…婚約となりまして…。

今回のこと、いろいろ打ち明けてくれました。

前世のこととか。お二人のことも。」

「前世の話も知っているんですね。」俺の顔に緊張が走ったのを感じたのか、ホーウェンはすぐに

「はい。テレスは幼い頃から聡明で、なんでもできて。

年上なのにいつも僕は守られてばかりで、すごいなぁっていつも思ってたから。

前世のことはすぐに納得できました。

大丈夫です、この事はこの場だけの話にしましょう。

他言無用で、ということでいいでしょうか?

僕も自分の婚約者のことです。あまりおおっぴらにしない方がいいことと弁えてますよ」とにっこり微笑んで返してくれた。


お茶の時間までたっぷり話を楽しみ、テレスとリザちゃんはとても仲良くなっていった。テレスが前世元男性なのはちょっと引っ掛かるけど、二人が仲良くなることは仕方ないとしよう。

俺もホーウェン先輩と話すのは楽しかった。きっとこの人は同じ学年なら、王子の取り巻きになっても遜色ないものを持っていると感じた。

来月からは学園に戻ると約束をして、テレスとホーウェンと別れたの挨拶をする。


***


お茶をしてから帰って来たため、家に戻るのがだいぶ遅くなってしまった。

お義父様も遅くなったらしいが、一緒に寝る時間には帰ってこれたらしい。

明日の支度を終えてからお義父様の寝室に向かうので、少し遅れると伝えて部屋に戻る。

確認するだけの支度はすぐに終わる。しかし今夜はなんだか三人で寝る部屋にすぐに向かう気持ちになれなかった。

久しぶりに前世の記憶を思い出す1日だったからかもしれないな。

物思いに耽っていると、部屋をノックする音が響いた。


どうぞと入室を許可する。

すっと開いた扉の向こうには、白いフリルのワンピース型のパジャマを着たリザちゃんが立っていた。


すぐにリザちゃんの手をとり、ソファにエスコートする。

手を離してくれないので、隣に腰をおろした。

どうしたの?ともう片方の手でリザちゃんの手を包みこむ。

「あの…あの…ね、」聞きづらそうに目をキョロキョロさせながら、顔もどんどん朱に染まっていった。

「こんなこと聞いても嫌いにならない?」

「大丈夫、俺がリザのこと嫌いになるわけないだろう?」何を不安になっているのか分からず身を硬くしたが、不安を掻き消すように優しく微笑んだ。

「あの…ね、ラルクの前世のこともっと聞いてもいい?どんな人だったのかもっともっとラルクのこと知りたいの!」

はっ?それ?リザちゃんの知りたいこと…それなの?

と驚いていると

「やっぱり!こんなこと聞くなんて、嫌でしょ!」

とツンっとそっぽ向く。

そのしぐさを見て、前世の妹を思い出した。

はははと、うっかり笑ってしまった

「嫌なわけないだろ」そういいながら頭を撫でる。

「でも、不安にさせてごめん。」

そして頭を抱え込むようにぎゅっと抱きしめる。何も言わず抱きしめ返してくれるリザちゃん。

「明日、…話しよう。俺のこともっといろいろ話したい。…いい?」と聞くと、胸の中でリザちゃんがこくんと頷く。

「さっ、お義父様も心配するからそろそろ行こう。」

入ってきたときと同じくエスコートしてお義父様の部屋に向かった。


いつだって積極的なのはリザちゃんのようです(-_-;)

次回はラルクの前世について書いていきます。

少し重めの設定ですが、リザちゃんへの溺愛の理由も分かると思います!

お楽しみに!

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