悪役令嬢はモブに嫉妬する
スタイザー伯爵領地にあるホテルに戻ってきた。
お風呂に入り汗を流して、ベッドルームに入る。
するともう寝ててもいいよと言っていたのに、リザちゃんはベッド上にちょこんと座って待っていてくれた。
秋だというのに、肌が透けるほど薄い生地のネグリジェ。淡い紫のレースの胸元、白磁の肌の谷間が見える。
室内履きを脱ぎ、ベッドに乗りリザちゃんの腰を抱えるようにして座る。脚をくの字を書くようにし、甘えるように体を預けてくるリザちゃん。
「ラルク…。好きなの。ラルクじゃないと嫌なの。
ずっと、側にいて、私、ラルクの言うこと信じてる…。
だからテレス様と何があったのか教えて…。」
潤んだ瞳で見つめられて、体が熱くなるのを感じる。
「俺の言うこと、信じられるの?」
抱きかかえている頭や肩を撫でる。こくこくと頷きながら、俺の肩に頬を刷り寄せてくる。
転生なんて、特にこの世界がゲームだなんて、突拍子もないことを話すのは躊躇われた。
リザちゃんに疑われて、信頼を失うのは怖い。
しかし俺の言う話を信じると約束してくれたし、きっとテレスからばらされる羽目だろうからと、この世界が前世でやっていたゲームの世界と一緒なのだと簡潔に説明する。
悪役令嬢であるリザちゃんの運命や、ラルクとの運命をねじ曲げたこと。
なるべくリザちゃんが受け取りやすい言葉を選んで伝える。
信じられないという反応が返ってくると思っていたが、リザちゃんは言葉通り真剣に聞いてくれた。
特に前世からリザちゃんが好きだったと告白すると、とても喜んで
「私はラルクにそんなに愛されていたのね。
テレス様とラルクだけで分かる話をしていて、嫉妬したの。
聞き出すみたいにしてごめんなさい。
でも私に話してくれて嬉しい
破滅の道に進もうとする私をいつも守ってくれてありがとう。」
と感謝までされた。
前世のことを話せて良かったと思えた。
***
翌日
スタイザー伯爵家に着く。少し早く着いてしまったが、すぐにメイドが応接間に通してくれた。
そこにテレスがやってきた。
「ようこそお越しくださいました。」
淑女の礼をする。
お互い挨拶をするとソファーに腰かけた。
お茶が出され、人払いすると、テレスは言葉を崩した。
「もう言葉を取り繕う必要もないだろ?
まさかのラルクが転生者とはなぁー」とくくくっと笑った。
「産まれたときから前世の記憶があったの?」
と興味深そうに聞いてくる。
一応話しても差し障りのない部分だけ抜粋して簡潔に説明した。
「あっーいいなぁ!ラルクに転生してたら、そんな道もあったわけか!一緒の家とかリザちゃんとイチャイチャし放題じゃん!羨ましいわっ!」
と心底羨ましそうにするテレス。
すると今まで話の成り行きを黙って聞いていたリザちゃんが、「イチャイチャなんて、したことないですよ!
ラルクは私の事を大切にしたいって、全然手を出してくれないんだから!」といきなり女子トークよろしく暴露しだしたのでリザちゃんの口を塞ぐ。
テレスが「おしい!もっと聞きたかったわぁ!」とけらけら笑った。どうやら俺たちに悪意は無さそうだと安心する。
それにしても女の子のテレスがリザちゃんとのイチャイチャ羨ましいって百合系なのか?と心配しつつ、話題を変えるため
「ところで、テレス嬢はいつから前世の記憶があったんだ。」
と切り出した。
すると少し遠い目をしながら、話せば長くなるけど…と語りだしたのだった。
いつも積極的なのはリザちゃんの方で、ラルクは受け身ですね(-_-;)
でも前世の記憶があることを愛するリザちゃんに打ち明けられて、ラルクも嬉しかったでしょうね。
次回はモブのテレス視点のお話になります。
テレスもいろいろあるんです。
お楽しみに!




