File50 惑星オルランゲアでの休暇② 墓場で暴れるとバチが当たる
暑さでなかなか筆が進みません…
俺と自称建設会社社長は、破裂音と共に地面に吹き上がる土埃を避けながら、近くにあった墓石の裏に身を隠した。
すると破裂音が止み、靴音の後に軽薄そうな男の声が聞こえてきた。
「どーもー♪ボスゥ♪おひさー♪お元気っすかぁ?!」
軽薄そうな男は、場に似つかわしくない挨拶を、自称建設会社社長に向けていた。
自称建設会社社長は、墓石の裏から軽薄そうな男に、怒りのこもった返答をした。
「ニールか!貴様どういうつもりだ?!」
部下らしいニールという男の所業に腹を立てているからだ。
まあ、襲撃してきたのだから当然の反応だ。
するとニールという男の、へらへらしていた口調が急に豹変し、
「決まってんだろうが!テメエをぶっ殺すんだよ!この俺を無能扱いしたテメエをよぉっ!」
あらんかぎりの大声をはりあげた。
隠れているので見えないが、さぞかし醜悪な面になっているのだろう。
「お知り合いで?」
「部下でね。ミスをやらかしたから、暫く謹慎させたはずなんだが…」
「なにやらかしたんです?」
「私の命令も聞かず、勝手に仕事を受けて失敗したり、勝手な取り引きをしたり、重要な取り引きを反古にしたりと、不利益ばかり産み出してくれた」
「で、処罰したら逆ギレですか…」
「お恥ずかしい限りで…」
「…俺は天才だぞ?!悪のカリスマだぞ?!その俺に無能のレッテルを貼りやがって!だいたい…」
墓石の裏で、自称建設会社社長に質問しているあいだも、ニールという男は、この社長への怒りを叫びまくっている。
その内容は、自分がどれだけ優秀か。その自分を評価しない連中がおかしいというものであり、それを聞いていると段々腹が立ってきた。
そこに、自称建設会社社長が声を上げた。
「ニール!お前の狙いは私のはずだ!ここには無関係な一般人がいる!彼女だけでも無事解放しろ!」
社長は俺を逃がそうと、ニールに声をかける。
「おい!ニールっていったか?私はたまたま居合わせただけのものだが!バスの時間があるから解放してくれないかな?」
なので俺も、ちょっとキレ気味になりながらニールに話しかけた。
暫く沈黙があったが、
「いいぜ…でてこい」
そう声をかけてきたので、ゆっくりと立ち上がって、出口=ニールの所に近寄っていった。
ニールは、線が細く神経質な感じで、イラついた表情でこちらを睨み付けていた。
そのニールの回りには、惑星上でしか使用できない、火薬式の短機関銃を構えた部下が4人控えていた。
俺が近距離まで近づくと、ニールは表情を変え、ひゅう♪と、口笛を吹いた。
そしてにやついた顔をしながら俺の胸部に手を伸ばしてきた。
「気が変わったぁ!こいつは今から俺のおんっ…」
なので、抜き放った短針銃の台尻で、回転をつけながらニールの鼻っ柱を強打してやった。
その行動に、一瞬驚いた、ニールから見て右、俺から見て左にいた2人の頭にぶちこんで無力化し、ニールの銃を叩き落としながら、ニールを残った2人の方に蹴り飛ばす。
そうして、ニールをぶつけられて体勢を崩した2人が体勢を戻す前に、ヘッドショットを叩き込む。
そうして、残ったニールの眉間に一発入れて無力化成功。
とはいえ麻酔針なので、心情的には早めに拘束した方が安心だ。
「ふう。終わったかな?」
短針銃をチェックしてからホルスターにもどし、ふうと息をついた。
それにしてもこいつら、俺が銃を持ってるんじゃないかとか一切確認しなかったな。
ド素人なのか、慢心していたのか、それともどっちもなのかは判断に苦しむ。
そこに、自称建設会社社長が声をかけてきた。
「凄いなお嬢さん。特殊部隊にでも所属したことがあるのかね?」
「特殊部隊にいた人に訓練を受けたことがある。が、正しいかな」
ティナ姉ちゃんの母親であり、武術の師匠でもあるリチェリーナさんは、元防衛軍の少佐で訓練教官。
本当に特殊部隊にいたかどうかはわからないが、本人がそれを匂わせるような事をいっていたから問題はないだろう。
「なるほど。ニールみたいなチンピラ共は相手にもならんか」
自称建設会社社長は、くくくと笑いながら服をはたく。
そこに、新たに車の音が聞こえてきた。
俺は直ぐに銃を構えようとしたが、自称建設会社社長に止められた。
その新たな車から降りてきたのは、明らかに堅気ではない連中だった。
「ご無事ですかボ…社長!」
一番にかけよってきた男は、高そうなサングラスをかけた男で、側近といった感じだった。
どうやら外では社長と呼んでいるらしいが、そうではないのがバレバレだ。
そしてその側近は、俺の方に視線を向けてきた。
まあ、自分のボスの側に見知らぬ女がいたら警戒するのは当然だ。
「ああ。このお嬢さんが始末してくれたお陰で、かすり傷一つない」
自称建設会社社長の言葉を聞くと、側近はあわててこちらに頭を下げてきた。
「失礼しました。社長をお助けいただき、ありがとうございました。当社社員が大変失礼を致しました」
「気にしないでください。社長さんが心配なのはよくわかりますから」
俺は、気にしないようにと返答する。
その後ろでは、ニール達が拘束され、バンに詰め込まれていく。
「ところで社長さん。あの社員さん達の処遇はおまかせしていいですか?そろそろバスの時間も近いので」
俺は、自称建設会社社長にそう話しかけた。
これの意味するところは、
(あんたらマフィアに関わりたくないから警察には通報しない。そいつらも渡す)
ということだ。
向こうもそれを理解しているらしく、
「ああ。きっちりと社員教育をやりなおさないといけないようだ。バスストップまで見送る時間がなくて残念だ」
(助けてもらった礼もある。こちらもあんたには関わらないようにしよう)
と、返してきた。
なので俺は、軽く会釈だけをして、そのまま振り返ることなく、バスストップの方に歩いていった。
仕事柄ああいう連中と出くわすことがあるが、極力関わらないのが一番の選択だ。
視点変換 ◇セベルガ・アルナーゴス◇
迎えの車の中、私はゆっくりと葉巻をくゆらせた。
そこに、側近のクロードが声をかけてきた。
「よろしかったのですか?」
おそらく、あの娘のことだろう。
「俺を狙った殺し屋ではなかったからな。むしろ、ボディガードとして専属契約したいほどだ」
始めはそうではないかと思って声をかけたが、会話をするうちにそうではないと判断できた。
それよりも、あの銃の腕と格闘技の腕、そして思い切りの良さに度胸の良さ。
おまけにあの美貌と来れば、部下としても愛人としても満点だろう。
「では、今からでも拘束して契約を…」
「やめておけ。無理矢理部下にしたところで忠義は育たん。自ら売り込んできた奴のなかにすら、裏切り者がでているのに、だ。それにあのお嬢さんは、妻が引き合わせてくれた私の命の恩人だ。その恩人にそんなまねをするものじゃあない」
「も、申し訳ありません!」
クロードの奴が即座に反応し、あの娘を拘束しようとする。
こいつは忠誠心があり、有能ではあるが、先走り過ぎるのが問題だ。
「では次からは、俺も墓参りの御供をさせてください。奥様にはガキの頃からお世話になってたんですから」
「わかったわかった。大人しく従うことにしよう」
とはいえ、信頼できる部下にはちがいない。
次からは、妻とのデートが2人きりでなくなるのは残念だが。
自称建設会社社長・セベルガ・アルナーゴス氏のイメージCVは若本規夫さんです!
側近のクロードは杉田智和さんです!
この2人しかイメージできませんでした!
安直ですみません!
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