File255 惑星ミンツトレニスでの休暇② 日常にも驚くことはある
俺達が借りた部屋? のある8階に行く前に、まずは汎用端末や板状端末、着替えや洗面道具以外の荷物を1階のコインロッカーに預け、部屋に置けるものだけ置いて、8階の部屋の部屋に行き、非常口やセキュリティを確認してから、俺達は6階にある大浴場に向かった。
このホテルの大浴場は、
晋蓬皇国にある銭湯と呼ばれる入浴設備のシステムを採用している。
なので、まずは身体や髪を洗い、それから湯船に入る。
俺の船の風呂も晋蓬皇国式なので戸惑うことなく使うことができた。
そしてゆっくりとお湯に使っていると、派手な髪型をしたいわゆる、ギャルという感じの子達が3人ほど入ってきた。
「こんなかんじなんだー」とか「ひろーい」とか騒がしそうな雰囲気だった。
しかし晋蓬皇国式の入浴のマナーはきっちりしていて、派手な髪型もシャンプーによっておろし髪になっていった。
そうして彼女達も湯船に入ってきた。
すると、そのうちの1人がなぜかこっちを見つめてきたのだ。
視点変換 ◇ルーミィ・ナイリバー◇
私、ルーミィ・ナイリバーは、親友のマキ・コーレイト、サニーチェ・フライロックと一緒に格安旅行を計画し、いろんな惑星を回っていた。
今日はこの惑星ミンツトレニスのカプセルホテル『パジトノフ』で1泊することにした。
部屋に荷物を置き、大浴場に来て、晋蓬皇国式の入浴マナー通りに身体と髪を洗い、湯船に浸かっていると、
「おいサチ。ジロジロ見てたらどやされんぞ」
「だって……あのお姉さん2人凄くないッスか?」
「た……たしかに……」
サニーチェ=サチとマキが、別のお客さんを見て騒いでいた。
「ちょっと。サチ、マキ失礼だよ」
同じ女性とはいえ、じろじろとみられるのは気分のよくないものだ。
すると2人はこちらに視線を向け、
「ルミっちはもってる人ッスから……」
「だよな……」
「なっなによ?」
急に目がすわり、怖い雰囲気になった。
「持たざるものの恨み!」
「やっちゃうッス!」
マキが私を羽交い締めにし、サチが私の胸を触ろうとしてきた。
「ちょっと! 止めて! イヤーッ!」
そうして私が毒牙に掛かろうとした瞬間、
「静かにしてもらえないかな?」
サチ達が視線を向けていたお姉さんの1人が、こちらに視線を向けながら、注意をしてきた。
自分達が悪いのと、お姉さんの迫力に、
「あっすみません」
「「ごめんなさい……」」
思わず3人とも恐縮してしまい、素直に謝罪した。
視点返還
ギャルっぽい女の子達は最初こそうるさかったが、注意するとちゃんと静かになって謝罪もしてくれた。
見た目に反して良い子達だった様だ。
そうして風呂を楽しみ、脱衣所で着替えていると、
「ちょっと! なによこれ?」
女性客の一人が、巨大な何かを持っていた。
床に広げてみるとそれは、長さ3m、幅60cmのアンダーベルト(2つのカップの横から伸び、背中に巻き付けて固定するベルト)に。
カップ ( 乳房を包み込むカップ形状の部分)が1m三方でストラップ (肩紐) もバカ長い、巨大なブラジャーだった。
「巨人の人のでしょうか?」
「見たことないし、いたとしてもここには泊まれないだろ」
その場にいた全員が、いったいこれはなんなんだと不思議に思っていると、さっきのギャルの子たちが風呂から上がってきた。
そしてその巨大なブラジャーをみて、
「あの……それ、お姉さんのッスか?」
と、俺に聞いてきた。
もちろんそんな事はないわけだから
「そんな事あるわけないでしょ」
と、否定した。
すると、次の瞬間脱衣場の扉が聞いた。
「どうかなさいましたか?」
そこに現れたのは、このホテルのスタッフの女の子だった。
が、そのシャツは血塗れだった。
「「「「「「「ぎゃーーーーー!!」」」」」」」
その場に殆どの人間が悲鳴を上げた。
その悲鳴に、他のエリアに居た人までが、浴室エリアに集まってきた。
当然血塗れのスタッフの女の子に注目が集まる。
しかも明らかな返り血なので、彼女が何かしらの犯人ではと、遠巻きにされ始め、何人かが汎用端末を取り出して、通報しようとしていた。
その様子に慌てたスタッフの女の子は、
「ちがいます! ちがいます! これケチャップですから! 返り血じゃないです! さっきご飯食べてる時に飛び散っちゃったケチャップです!」
必死の表情で周りに訴えかける。
そこにアディルが彼女にちかより、彼女のシャツに顔をちかづける。
「マスター。これは確かにケチャップのようです」
アディルの言葉に全員がホッとした表情になり、謝り倒すスタッフの女の子に、『脅かさないでよ』とか『気をつけなさいよ』とか『探偵でも居たのかとおもったわよ』などと言いながら解散していった。
スタッフの女の子は軽く咳払いをし、
「んっんんっ! それで、騒いでいたようですが、何かあったんですか?」
本来の自分がここに来た原因を尋ねてきた。
「これッス」
ギャルの子の1人が巨大ブラジャーを指さすと、スタッフの女の子は一瞬唖然とするも、
「巨人なお客様がいつのまに?!」
すぐにパニックになっていた。
するとそこに、
「あーあった!」
という声が響いた。
その声の主は、上下ジャージでスッピンポニーテールの女性だった。
彼女は巨大ブラジャーを回収すると、平謝りしながら説明を始めた。
「ごめんなさい。私は劇団ストーンマスクに所属している劇団員で、今はこの惑星ミンツトレニスで公演予定なんですが、宿泊予定のホテルで火事があって、急遽何名かがこちらのお世話になってるんです。この巨大なブラジャーは、今回の演目の小道具なんです」
彼女の説明を聞き、この巨大なブラジャーが演劇の小道具というなら、この非常識なサイズもわからなくもないが、気になることはあった。
「ちなみにどんな演目なんだ?」
「『潜入! 巨人の家』って作品です」
そのあまりにもストレートなタイトルに呆れ返ると同時に、物凄く内容が気になってしまった。
探偵はいません
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