File189 惑星フオホサへの貨物輸送① 珍しいお客さんは色々と厄介
婆さん=ティーグアエレクトロニクス会長カディナ・ティーグアが連行された後、事態収束の為に残った警官に、色々と話を聞かれなんとか解放された。
ステリアさんは俺とアディルに何度も頭を下げ、ルミラちゃんは、『ご飯が美味しかった。レストランはいつやるの?』と、キラキラしながら尋ねてきたが、適当に誤魔化しておいた。
片繰のおっさんは、宿賃だといって10万クレジットを渡してきた。
元から料金を取るつもりはなかったので、いらないと言ったのだが、迷惑をかけたお詫びだからと無理やりおいていった。
そうして3人は、仲良く手を繋いで停泊地を出ていった。
今から一度ステリアさんのアパートに戻って、ルミラちゃんを学校に送ったあと、警察に被害届を出しにいくらしい。
そしてようやく、俺達は仕事を受けるべく、組合の貨物配達受付に向かうことができた。
本来なら昨日の夕方には仕事を受け、今日の朝には出発する予定だったわけだが、前日に仕事を受けてなくて良かったぜ。
そして見つかった仕事は惑星フオホサへの『日用雑貨』『保存食品』『書籍』『衣料品』『文房具』の輸送だ。
目的地の惑星フオホサは、惑星表面の93%が樹木や草花でおおわれている。
川や湖はあるが海はなく、熱帯と寒冷地では生えている種類がちがっている。
木や草がはえているわけだから当然地面はあるが、木の根っこが複雑に絡み合っているせいで平たいところはなく、建物の建設は非常に困難になっている。
それなら、空中浮遊型の都市をつくればとおもうが、この惑星の高い木々は成層圏に届きうる高さにまで伸びるので危険なのだそうだ。
そのため入植初期には樹上に板を渡して建設場所を確保したり、その高さで留まる浮遊板を連結したり、木をくり貫いたり、ウロを利用してみたりして、少しずつ住宅を確保していった。
そして現在はかなりの規模に広がり、『樹上の迷宮都市』なんて呼ばれているらしい。
そしてこの惑星の軌道エレベーターは、
最長:2060km・最大幅:870km・水面積:742000㎞2・平均水深:274m・最深部:2050mという規模をほこる惑星フオホサ最大の湖である『サレシュガル湖』の上に設置されており、都市へは密林内部を飛行できる小型シャトルで向かう事になるらしい。
仕事で何度かいった事があるが、宇宙港止まりばかりで、両親が生きているときに一度だけ地表に降りたことがあるが、絵本のような世界に思えて圧倒されたのを覚えている。
そんなことを思い出しながら、貨物をすべて積み込み、出発は取り敢えず昼食を食べてからにすることにしたので、フードコートに向かいつつ衛星宇宙港内をふらついていた。
すると不意に電話がかかってきた。
相手は、さっき仕事を受けた惑星ダグロウゼクのギルドの貨物配達受付からだった。
「はいもしもし?」
『もしもしライアットさん?!今どこですか?』
受付嬢はかなり慌てた様子でこちらの居場所を聞いてきた。
「今からフードコートに行くところですが?」
隠しだてすることもないので、普通に居場所をおしえると、
『つまりまだ惑星ダグロウゼクにいるんですね?!よかった~!』
すると受付嬢は、安堵のため息をついた。
「ええまあ…どうかしたんですか?」
『実は急遽惑星フオホサへのチャーター依頼がありまして、でもチャーターが高いとわかると便乗はないかと聞かれまして、それでライアットさんを思い出して大丈夫って言っちゃって…。その後にもう出発したかもって不安になって……本当に出発する前でよかった~ヒヤヒヤさせないでくださいよ』
そうなったら彼女のミスで、こちらは関係ないだろうと思いつつも、お客さんの情報を聞き出す。
「それで、便乗したい人は何人で、どんな人なんです?」
『はい人数は3人。全員アルドル人なんです』
そう聞いた瞬間、俺はほんのり嫌な予感がした。
アルドル人とは、見た目は基本的にはヒューマンとかわらないが、種族的特徴として、長く尖った耳・ドラコニアル人並みの長寿・成人(17~22歳)してからは老化が停止する・超能力を使用できる。というものがある。
主星は星域連邦にあり、あまり星からでたがらない。
しかし例外的に、惑星フオホサにはかなりの数のアルドル人が住んでいる。
理由はよく知らないが、彼らなりの理由があるらしい。
そこに向かうということは、用があって他の惑星に行っていたか、星域連邦からやってきたということになる。
まあ同族が住んでいるのだから、遊びにでもきたか葬儀か結婚式か、だろう。
それだけなら普通に対応すれば問題ないように思える。
が、彼等には種族的に非常に面倒な特徴がある。
全員ではないが、会話や使用する言葉のセンスや言い回しが非常に独特で特殊なのだ。
とはいえ会話が成立しないわけではないので、その辺りを気にしなければ問題はないだろう。
「では、こちらの条件の『急がせない』『緊急時にはこちらの指示には従う』を守ってくれるなら構わないと伝えてください。承諾したなら、午後6時までにNo.731の停泊地に来るように伝えてください」
『わかりました。相手側が条件を飲まなければ、停泊地の情報は渡しません。相手側が約束を破った場合の対処はお任せします』
そうして電話を終えると、
「よしアディル。生鮮食料品店に買い出しにいくぞ」
生鮮食料品店に向かうことにした。
「まだ食材には余裕があったとおもいますが」
確かに、俺達とお客さん3人ぐらいなら、目的地の惑星フオホサまでなら十分余裕があるだろう。
しかし相手はアルドル人。
以前に知り合った、銀河帝国軍少佐であり、ギルテンス侯爵家令嬢であり、強力な超能力者であるクロネーラ・エーリカ・ギルテンス嬢は、見た目のわりによく食べた。
彼女曰く、超能力を使うとかなりのエネルギーが減り、腹も減るのだそうだ。
ヒューマンの彼女がそうなら、アルドル人も同じくらい食べるのだろう。
ドラコニアル人ほどではないだろうが、備えあれば憂いなしだ。
生鮮食料品店で様々な食材を買い込み、食事の仕込みや客室を整えているうちに約束の時間が近づいた。
すると不意に停泊地の入り口の扉が開き、
「おお!これが我が新しき船か!」
赤い髪に白い肌、そして軍服のような服装の青年が姿を表した。
するとすぐ後ろから、
「何が『我が新しき船』よ!私達は荷物と一緒に便乗させてもらうの!定期船の時みたいな事になったら許さないからね!」
「わかってる!わかってるよ!」
同じ軍服のような服装で、金髪でショートボブの女の子が赤い青年の耳を引っ張りながら説教をし始めた。
さらにその後ろからは、灰色の長い髪に、左目に医療用の眼帯をした、アディル程ではないが背の高い女性が入って来て、
「よい船だ…私の力が暴走しなければよいが…」
なにやらぶつぶつと呟いていた。
もちろん全員が、アルドル人である長い耳をしていた。
設定はしても、今まででなかった初出しの種族です。
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