File183 惑星ダグロウゼクへの貨物輸送③ 平和で平穏な空間
緊急?のお客を乗せてから数時間。
一切の問題が起こること無く、昼食の時間が近づいたので、厨房にはいって昼食の準備をする。
今回のメニューは、バターロール・チキンと蕪のクリームシチュー・コーンと生野菜のサラダ・レモンorイチゴのソルベ。という、簡単なメニューにした。
昼食ができた事を伝えると、ウェンドルト夫妻とイルネメル嬢は姿を現したが、フレッドマン氏はいまだに爆睡中のようなので、起こさないでおいた。
そして食事の間は、アディルがステラちゃんを引き取り、ウェンドルト夫妻には落ち着いて食事をしてもらった。
赤ん坊のステラちゃんは、ミルクだけではなく離乳食も始めているというので、クリームシチューの具を潰したりして離乳食もどきを作ってみたところ、しっかりと食べてくれた。
ちなみにイルネメル嬢は、ソルベを両方とも3回もおかわりしたせいでお腹がぐるぐる言い始めたらしい。
昼食の後は、退屈な時間が襲ってくる。
定期船のような大きな船なら、暇潰しのアミューズメントの施設があるだろうが、こんな小さな船にはあるはずもない。
そのために導入したピンボール台だが、ハマる人にはハマるようで、イルネメル嬢がかなり熱中し、かなりの連コインプレイの末323540点を叩きだし、デザート(今回はクラシックカスタードプリンのプリンアラモード)の権利を3つゲットした。
が、まだ使わないらしい。
ちなみにピンボール台の景品は菓子類で、10万点でこちらが用意したデザート1個を進呈する。
そこからは10万点ごとにデザートを1個追加。
50万点で用意したデザート5個か、リクエストをして個数は1個にもどるかを選んでもらう。
それ以降10万点ごとに、用意したデザートを増やすか、リクエストの個数を増やすかを選んでもらい、得点の最大表示の100万点に到達したら、用意したデザート10個かリクエストを5個。さらには下船時にお土産のデザートを渡すことになっている。
ウェンドルト夫妻のほうは、旦那さんはステラちゃんの子守り。奥さんは家事と育児から解放されたのもあってか、昼寝を楽しんでいた。
それからまた何事もなく時間が過ぎていき、夕食の時間になる。
どうやらステラちゃん以外はみんな疲れ気味らしいので、リーシオ料理をチョイスし、スタミナの付きそうなのを一品入れておいた。
そのメニュー内容は、御飯・八宝菜・白身魚の酒蒸し熱し油掛け・豚肉の唐揚げ大蒜ダレ漬け・フルーツポンチタイプの杏仁豆腐だ。
ちなみに白身魚の酒蒸し熱し油掛けは清蒸といい、鱗と内臓をとった20~30cmの白身魚に酒をふりかけ、ネギ、ショウガをのせ、10~15分蒸したあと、醤油、酒、砂糖を適当に入れ、ひと煮たちさせたタレを蒸した魚にかけ、その上に白髪ネギと針ショウガをたくさんのせ、さらに熱した油(今回は胡麻油)を全体にかけた料理だ。
流石にここの時間にはフレッドマン氏も起きてきて、一緒に食卓を囲んでいた。
そうして夕食が終了すると、イルネメル嬢が風呂を要求してきた。
もちろん用意はしていた訳だが、
「どうせなら女4人で入りましょう!」
と、アリッサさんとステラちゃん、そしてアディルを風呂に誘った。
アリッサさんが身体を洗っている間は、アディルとイルネメル嬢がステラちゃんをお風呂に入れるという連携を繰り出していたらしい。
そしてピンボール台で獲得したデザート(クラシックカスタードプリンのプリンアラモード)の権利を行使して、アリッサさんとアディルに一つづつ振る舞った。
そうして、全員が風呂にはいれば、お客さん達は就寝となるわけだが、俺はもう少し起きている必要があった。
キッチンでの明日の朝食のしこみだ。
小アジの内臓と鱗を落とし、粉をつけて丸ごと油で揚げていく。
少し長めに揚げて、骨も柔らかくしておくのがコツだ。
丸ごとだけでなく、3枚おろしにした身も同じように揚げ、あら熱をとってから甘酢の南蛮タレにつけこんでいく。
その作業が終わる寸前くらいに、ステラちゃんを抱っこしたウェンドルト夫妻がキッチンにやってきた。
「どうかされましたか?」
「すみません。この子がぐずっちゃってなかなか寝てくれなくて…」
「寝かしつけるためにちょっと歩かせて貰おうと思って部屋の外にでたら、明かりがあったもので」
一瞬病気か何かと慌てたが、ご夫婦の様子をみる限り、どうやらステラちゃんの夜泣きらしい。
ちなみに俺の船では、お客さんが乗っている場合は銀河標準時で23時になったらラウンジや廊下の大きな照明を落として、夜だということをわかるようにしてある。
「よろしければ、ステラちゃんをしばらくあずかりましょうか?眠ったらお部屋にお返しいたしますので」
赤ん坊の夜泣きで寝不足というのは、なかなか深刻だと聞いているので、俺の船にいる間くらいはゆっくりしてもらってもいいだろう。
「それはありがたいんですが、俺以外の男性が抱っこすると泣いちゃうんですよね」
ステラちゃんが娘なだけに、旦那さんのジャンさんは何故か嬉しそうだった。
「じゃあこれなら大丈夫ですかね?」
俺は女の方に姿を変えると、ステラちゃんに手を伸ばしてみた。
俺が女に変わったのには驚いたようだが、アリッサさんはステラちゃんを渡してくる。
落としたりしないようにしっかりと抱き抱えたところ、ステラちゃんは嫌がることなく抱っこされてくれた。
そうして、ステラちゃんを返し、仕込みの続きを終わらせ、ご夫婦にバニラ入りホットミルクを出してから、改めてステラちゃんを預かった。
旦那さんはちょっと悔しそうだったけどな。
それからだいたい2時間、ステラちゃんは寝ることなく元気にしていて、はいはいしたり身体を動かしたりしていたが、不意に電池が切れたように眠ってしまった。
なのでご夫婦の部屋に連れていこうとすると、アリッサさんが起きてきて、ステラちゃんを引き取っていった。
何でも、何となく目が覚めたのだそうだ。
やはり母親というのは、凄いのだと言うことが何となく実感できた気がした。
平和なだけあってちょっと短めです
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