File184 惑星ダグロウゼクへの貨物輸送④ 古い型番は意外に人気のあるものが多い
俺は起きてきたアリッサさんにステラちゃんを返した後、色々チェックしてから自室に戻って寝ることにした。
そうして睡眠をとり、目覚ましが鳴った時の時間は、午前6時といういつもの時間だった。
ちょっと手伝っただけでもこれだけ大変なことを、毎日毎日やっているのだから、母親という存在は本当に凄いものだと改めて感心する。
そして顔を洗って、コックピットでの諸々をチェックした後、キッチンに向かい、朝食の準備を始めた。
起きてきたアディルには、船内の掃除やらチェックやらを頼み、それが終わってから2人で先にキッチンで朝食を済ませた。
ちなみにお客さんがいる時の俺たちの食事だが、仲立人の友人や副社長御嬢様のような友人が居たりする時は一緒に食べるが、そうでない場合は別で食べるようにしている。
そうしているうちにお客さん達が起きて来はじめた。
「おはよ~シャワーかり…誰?!」
少々だらしない格好で部屋から出てきたイルネメル嬢が、キッチンにいた俺を見て驚いた。
そういえば、深夜に女になったままだったのを忘れてた。
「おはようございます。船長のショウンです。私はシュメール人ですので」
「あ~成る程ね。よく見たら船長さんの特徴があるわ~」
イルネメル嬢は俺の身体をじろじろと眺めると、
「に、しても。なんでシュメール人はことごとくケシカランおっぱいをしてるのかしらね?ああ羨ましいっ!」
と、言いつつ、俺の胸に顔を押し当ててきた。
「ちょっと!止めてください!」
男なら遠慮なく殴り飛ばすんだが、女性なのでそうもいかない。
「マスターから離れて下さい!」
「昨日お風呂でも思ったけど、アディルちゃんもケシカランおっぱいじゃないか~!」
アディルが羽交い締めにして引き剥がしてくれたが、今度はアディルの胸に顔を埋めていた。
まだ酒が残っていたりするのか?
イルネメル嬢を2人がかりで風呂に叩き込んでからキッチンにもどり、残りの4人がテーブルについたところで朝食を配膳した。
そして当然の事だが、フレッドマン氏は俺の姿を見てかなり驚いていた。
「なるほど、君はシュメール人だったわけか。そしてそちらのご夫婦の赤ちゃんのためにそちらに変わったと」
こちらはイルネメル嬢と違い、じろじろとみることはなかった。
そして朝食だが、今回は晋蓬皇国風のものにしてみた。
メニューは、御飯・大根の味噌汁・小アジの南蛮漬け(丸ごとor開き身)・玉子焼き・胡瓜と茄子の浅漬け。
流石にこの朝食にデザートは着けなかったのと、アジは丸ごとと開き身を選んでもらう方式にした。
するとフレッドマン氏が、
「船長。これは夕食にビールと共に出して欲しかったな。あ、私は丸ごとで」
と、小アジを頭からかじりながら苦言を呈してきた。
なお、ウェンドルトご夫妻は、旦那さんは開き身、奥さんは丸ごとを選んだ。
イルネメル嬢は丸ごとと開き身の両方を交互に食べていた。
そんなおり、適当につけて流していたテレビから、衝撃のニュースが飛び込んできた。
『昨日銀河標準時17時45分ごろ、事故により破損・停止した定期旅客船レダントン号を救出にきた、同じく定期旅客船のフルスタル号の連絡通路を、人が通行している状態で切り離そうとした老人が、器物破損と殺人未遂の現行犯として逮捕されました。現行犯逮捕されたのは、トマス・モリアス容疑者・78歳です。
モリアス容疑者はレダントン号の乗客で、フルスタル号が救出に来た際に、一番にフルスタル号に乗り込むと、他の乗客や乗組員が通路にいるにもかかわらず、『自分が乗ったのだからすぐに船をだせ』と乗組員を怒鳴り付け、乗組員がそれを拒否すると、連絡通路の制御装置を勝手に動かして連結を切り離し、フルスタル号側の扉を閉めました。幸い宇宙空間で修理作業をしていた乗組員が気がつき、とっさに連結を手動でつなげたために事なきを得ました。これによりモリアス容疑者は即座に拘束され、警察に引き渡されました。
これに対しモリアス容疑者は、『自分が乗り込んだのに出発しない方が悪い』と、反省した様子はみられませんでした。これに対し警察はモリアス容疑者の精神鑑定を予定し、余罪についても追及していく予定との事です』
その容疑者の写真は、間違いなくあの暴言爺さんだった。
とんでもない爺さんだとは思っていたが、ここまでの事をするとは思わなかった。
「これってあのお爺さんでしょ?船員の人達を下等呼ばわりしてた」
「まともな人間ではないとは思っていたが、ここまでとはな……」
「定期船に乗る前に、あの爺さんの近くに座ってた人ともめてたのを見たよ」
お客さん達もあの爺さんの事は知っていたらしい。
まああんなとんでもない爺さんが目立たないわけはないか。
そして朝食が終われば、また退屈な時間がやってくる。
俺やアディルにとっては自分の家でもあるから気がねはないが、お客さんにとっては多少なりとも気を遣うものだろう。
まあ仲立人の友人や副社長御嬢様ぐらい頻繁に乗り込む連中はきがねすることはないけどな。
「ちょっとよろしいですか?」
朝食の洗い物が終了したタイミングで、ウェンドルト夫妻が真剣な表情で話しかけてきた。
「なんでしょう?」
なんとなく嫌な予感がしたが、反応しないわけにもいかないので返事をすると、
「アディルさんはバイオロイドと伺いました。よろしければ彼女のメーカーを教えていただけませんか?」
予想から微妙に外れた答えが返ってきた。
今までは『寄越せ』『下さい』だっただけにすかされた感じだ。
それなら拒否する理由もないので、アディルの製造メーカーであるパートナードールズ社を教えておいた。
しかし、アディルの型番である『シールダーシリーズ』のファーストロットは販売停止になってる筈だから、問い合わせに対してメーカーは混乱している気がする。
パートナードールズ社営業部の会話
社員「課長。ちょっといいですか?」
課長「ん、どうした?」
社員「最近『女性タイプで背の高いのがないか?』って問い合わせが妙に多いんですよ」
課長「高身長って170くらいのやつか?」
社員「いえ、2mはあるやつなんですが…」
課長「2m?!そんなの昔の『シールダーシリーズ』のファーストロットくらいだろう!」
社員「最近増えてるらしいんですよ。護衛用じゃなくて子守り用なんですけどね~」
課長「そうか~。流行がようやく追い付いた感じか~。今度企画会議かけてみるか」
社員「そうですね~。お客さんの声とか集めときますね」
課長「ああ、よろしく」
平和なだけあってちょっと短めですパート2
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