↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/264

File168 惑星オルランゲアでの休憩③ 物には魂が宿る。人の形なら尚更に 

画面(モニター)に現れた2人の人物のうちの1人は、レイアナの実父であり、リキュキエル・エンタープライズ社の最高経営責任者(CEO)ガリウス・リオアース氏。

そしてもう1人は、頭の禿げ上がった彫りの深い顔の人物だった。

その人物は、驚愕の表情を浮かべたマルコ・ドレブスが口を開けるより早く話し始めた。

『マルコ。以前にもお前は同じような事をやらかした。その時私はお前に厳しく指導をしたはずだ。カードも取り上げたし、ボディーガードもつけるのを止めた。本当なら大学近くのマンションも取り上げたかったが、母さんがどうしてもと言うので残しておいてやった。その時お前は言ったよな?『もうこんなことはやらない。反省したので、ちゃんとした生活をする』とな』

「父さん!聞いてくれ!これには訳があるんだ!」

会話の内容から考えると、どうやらこの人物はマルコ・ドレブスの父親のようだ。

マルコ・ドレブスはなんとか言い訳をしようとする、

『だがどうやら反省はしていなかったようだな。おまけに、自分はリキュキエル・エンタープライズにとって価値があるだと?実に笑えない冗談だ。そもそもお前がいつうちの会社の次期社長になった?跡取りは兄のシドリスに決定している』

が、とりつく島は全くないらしい。

「だから前にもいったけど『私からもよろしいかな』」

マルコ・ドレブスが苦々しい表情をしながら反論を始めようとしたところに、ガリウス・リオアース氏が話に入ってきた。

「ガリウスさん!」

マルコ・ドレブスは、リオアース氏が自分の味方をしてくれるだろうという期待の表情を浮かべる。

『残念だが。我がリキュキエル・エンタープライズは君を必要としていない』

が、リオアース氏のその一言に、マルコ・ドレブスは表情が固まった。

そしてマルコ・ドレブスが固まってもお構い無しに、リオアース氏は言葉を続ける。

『我が社が人材を採用・登用する際、能力・功績はもちろんだが、その人格も判断材料にする。君の父親がいる前で実に申し訳ないが。君は。能力・功績・人格の全てにおいて採用基準を満たしていない』

そのリオアース氏の言葉を聞き、固まっていたマルコ・ドレブスが再起動した。

「そんな…俺は国立のヴォルダル大学の現役学生ですよ!入試も主席(トップ)合格!現在の成績だって主席(トップ)なんですよ?!兄のシドリスなんか地元の三流大学卒ですからね!俺とは雲泥の差です!」

マルコ・ドレブスはかなり興奮しながら、兄の価値を下げ、自分の価値を上げてリオアース氏にアピールする。

それとは対照的に、リオアース氏は冷静に言葉を続ける。

『たしかに君の学校での成績は実に優秀だ。だが君はあまりにも自己中心的、そしてあまりにも幼稚だ。君は、欲しくなったものは絶対に手に入れなければ気が済まない。それがたとえ他人のものでも。ちがうかね?』

「それの何がいけないんです!ビジネスの世界では弱肉強食が当たり前でしょう!」

『たしかにビジネスの世界では強引に駆け引きをすることはある。だがそれは本来、ルール・マナー・法律を守り、人の道を外れないように行うものだ。だが君はそうではないのだろう?』

そう言いきったリオアース氏の表情に、マルコ・ドレブスはまた固まってしまった。

リオアース氏の話からすると、どうやらかなりや(・)ら(・)か(・)し(・)て(・)いるらしい。

そこに彼の父親が止めを刺しにきた。

『マルコ。お前には愛想が尽きた。改めて処分を下してやるから、明日までにヴォルダルに戻ってこい!戻って来なければ、勝手に使った私のシャトルを、盗んだとして警察に通報する!いいな!』

マルコ・ドレブスの父親は、そう息子に勧告したのち、

『申し遅れましたが、ドレブスマテリアル社長のウィルモルト・ドレブスと申します。ガリウス社長。レイアナ副社長。そして今回、私の監督不行き届きにつき、息子が御迷惑をかけてしまった皆様、本当に申し訳ございません!心からお詫び申し上げます!』

と、俺やササラ達貨物配(トランスポー)達受付(トカウンター)の人間に対して謝罪をしてきた。

『すまなかったねライアット君。我が社の関係者が迷惑をかけてしまった』

「貴殿方に責任はありませんよ。大学にまでいってるんなら、責任は自分で取らないと」

ドレブス氏とリオアース氏の謝罪を受け入れつつ、呆然としているマルコに視線をむける。

すると、今まで黙っていたレイアナが画面に現れた。

『では御父様、ドレブス社長。後は私にお任せください。そろそろ会議の始まるお時間なのでしょう?』

『そうだね。後は任せるよレイアナ』

『では失礼いたします。正式な謝罪はまたいずれ…』

そういうと、リオアース氏とドレブス氏は画面から消えた。

そうすると、レイアナがマルコに視線を向け、

『さて。マルコ・ドレブスさん。貴方がおっしゃった通り、貴方の価値が理解出来る方に、貴方の評価をしていただきました。これで文句はありませんね?御理解いただけたなら、そこにいる関係者の方々に謝罪をして、迅速にヴォルダルにお帰りになった方がよろしいのでは?』

余裕の笑みを浮かべながら、マルコにそういい放つ。

すると、いままで沈黙していたマルコが、

「父さんもお前の父親。二人とも見る眼がない節穴だ。俺みたいな優秀な人間の真価な理解できていないんだからな。でも一つだけ当たっていることがある。それは…」

自分を正確に評価した相手を馬鹿にしながら、左手に着けていた腕輪型端末(リスト・コム)を触ったあと、

「自分が欲しくなった『モノ』はなんとしても手に入れなければ気が済まないってところだ!」

アディルに向かって飛びかかってきた。

こいつの様子から、それぐらいは警戒していたので、アディルに接触する前に、カウンターを入れてやろうとしたが、それよりも先にアディルの前蹴りがマルコ・ドレブスの顔面に炸裂した。

「ぺぐっ!」

もちろん。マルコ・ドレブスは変な声を上げながら派手に吹っ飛び、床に叩きつけられ、そのまま動かなくなった。

「私は貴方に所有されるつもりはありません!」

アディルは憤慨(ふんがい)しながらマルコ・ドレブスを睨み付けていた。

「警備はもう呼んだからね」

ササラがそう報告するが、もっと早く呼んで欲しいものだ。

すると画面(モニター)の向こうのレイアナが、

『以前からショウンさんを専属料理人にと言っていましたが、アディルさんには専属のボディーガードになって欲しくなりました。あ、でも私はその人みたいなことはしませんよ?』

と、宣(のたま)った。すると、

『いいですね!私としても、見目の良い同僚が二人も増えるのは僥倖(ぎょうこう)です!是非とも制服はラインの出るボディースー痛っっっっ!』

変態執事(トーマス)が現れてウザくしゃべり始めた。と、思ったら悲鳴をあげながらすぐさま画面(モニター)から退場した。

ああ。脛を蹴られた(いつも)のか。

「ありがとう、助かったよ。つまらない事を頼んで悪かったな。しかもガリウスさんまで呼び出させてしまって」

なので気にすることなく、レイアナに感謝を伝える。

『いえいえ。今回はこちらの関係者が御迷惑をかけた形にもなるので気にしないでください。でも…またお邪魔するのでその時はまた御馳走をしてくださいね』

まあ、それぐらいは当然の要求だな。

「失礼します!不審者はどちらに?」

そこに、警備員が到着した。

「ああ、そこに倒れて…」

なので、倒れているマルコ・ドレブスを引き取ってもらおうとしたが、

「何処にでしょう?」

いつの間にか姿を消していた。



視点変換 ◇マルコ・ドレブス◇


俺は連中の眼を欺いて、自分のシャトルへと無事に戻ってきた。

父さんの言葉に従うのは癪だけど、このままだと大事なコレクションが処分されかねない。急いで戻ることにしよう。

でもこんなことになったのはあの『レア物』を渡さなかったアイツのせいだ!

腕輪型端末(リスト・コム)に内臓してある『書き換えデバイス』で徴発(ちょうはつ)してやろうとしたが、それもできなかった。

くそっ!『レア物』とはいえ俺を蹴り飛ばしたのは絶対に許さない!

こうなったら誰にもバレないい(・)つ(・)も(・)の(・)手(・)を使うか。

しかしリオアース社長の言葉は気になる。

俺がプロに依頼して、『レア物』を盗ませているのは絶対にバレてないはずだ。

今回の事態が収まってから、プロに連絡を入れようとした時、シャトルに載せておいたコレクションの一つが、水のプラボトルを持ってきた。

「今はいらないから救急箱(メディカルボックス)を持ってこい!」

シャトルに乗せているやつは、マンションにあるのとは違う『いつもの手』を使って集めた『レア物』ばかりだ。

あの『シールダーシリーズ』のファーストロットもあのガキの『メディカルサポート』も絶対に僕のコレクションに加えてやる!

それにしても救急箱(メディカルボックス)はまだか?

そう思った瞬間、コレクションの一つが手ぶらで俺の前にやってきた。

「おい!救急箱(メディカルボックス)はどうした?!」

俺が目の前にきたコレクションを怒鳴り付けた瞬間、なぜか背中が熱くなった。

何事かと後ろを振り返ると、コレクションの一人が俺にへばりついていた。

「お前なにを…」

すると今度は、目の前にいたコレクションが俺に抱きついてきた。

と、同時に今度は腹が熱くなった。

そしてようやく、自分が刺されたことを理解した。

それを理解した瞬間、周りにいたコレクション達が、刃物を手に次々と俺に突進してきた。

そしてコレクション達は、

「マスターのカタキ…マスターのカタキ…マスターのカタキ…マスターのカタキ…マスターのカタキ…」

と、狂った様に呟きながら、俺に刃物を突き立てまくった。

なぜだ?!俺が開発した『書き換えデバイス』は、アンドロイドの電子頭脳、バイオロイドの人工脳に干渉して、使用者を完全に書き換えたはずだ!持ち主である俺を攻撃するはずがない!

それに敵(かたき)ってなんだ?

俺は『レア物』を盗(・)ん(・)で(・)く(・)る(・)よ(・)う(・)に(・)だ(・)け(・)依頼したはずだ!

まさかあいつら…?

ウソだろ…奴らは…プロの…はず…

だとしても…俺の…デバイスは…完璧な…はず…どこで…ミスが…あ…った…


視点終了



『…昨夜未明、大学生のマルコ・ドレブスさんが、自身の父親であるドレブスマテリアル社社長のウィルモルト・ドレブスが所有していた宇宙船の船内で、本人が所有するアンドロイド・バイオロイドの誤作動によって死亡しました。マルコさんを死亡させたアンドロイドとバイオロイドは全て機能停止しており、頭脳になんらかのデータ干渉の痕跡があったために、警察当局は殺人事件とみて捜査を続けています…』

用事があって遅くなってしまいました


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 彼の背後に糸を引いて居るののはいない。と言われても、どうしてもこの始末を仕掛けた人物がいそうで気になりますね。 彼の悪行を知っていそうなリオアース氏の発言も何か怖い。案外暗黒メガコーポ…
[一言] 「ザマァ」は好きだし原因の推測はできるけど、 「殺人を犯したアンドロイド」っていうのはこのお話にしては後味の悪い展開だったね。 "はい、次っ!"って言いたくなった。
[一言] 段々とコナン味出てきてるの受ける
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。