File167 惑星オルランゲアでの休憩② 馬鹿につける薬はない
「どこの誰なの?」
ササラが真剣な表情をしたまま、俺の後ろでわめいているマルコ・ドレブスを静かに睨み付け、何者なのか尋ねてきた。
「たしかドレブスマテリアルの社長の息子だとさ。何でもリキュキエル・エンタープライズ社の傘下企業だとよ」
リキュキエル・エンタープライズ社はよく知っているが聞いたことがない。
マテリアルというなら、金属関係だろうか?
「だったら親会社に確認してみたら?」
「おいお前!俺の話を聞いてるのか!」
俺とササラが話している間もマルコ・ドレブスは喚き続けている。
もし俺がアディルを引寄せてしっかり確保してなかったら、スタンガン辺りを使用して拐っていっただろう。
ともかく俺は、喚き散らすマルコ・ドレブスを無視して、腕輪型端末でレイアナ・リオアースに連絡をした。
「あーもしもし」
『もしもし。珍しいですね。ショウンさんが私に電話なんて。もしかして転職の相談ですか?』
通信に出たレイアナの声は、なんとなく弾んだ様子だった。
「そんなわけがあるかよ。今回はちょっと聞きたい事があってな」
『…いったいなんでしょうか?』
しかし、俺の声のトーンから事態を把握したのか、すぐに雰囲気を改めた。
「ドレブスマテリアルって会社は、そっちの傘下企業に存在するのか?」
『…ちょっと待ってください…。はい。たしかにうちの傘下企業ですね。幾つかある金属製造の会社の一つです』
「そこの社長の息子とやらがアディルを寄越せと言いやがった。それで、寄越さないならリキュキエル・エンタープライズ社が黙ってない。警察に通報してもリキュキエル・エンタープライズ社が守ってくれるとかぬかしてるんだが?」
どうやら実在はするらしい。さすがは大企業なだけあって色々手広いな。
『へえ…。面白いお話ですね。本人はそこにいるんですか?』
「ああ。後ろで文句をたれてる」
俺からの質問を聞いた瞬間に、見えてはいないが副社長御嬢様もササラ同様に目が確実に鋭くなった気がした。
「おい!聞いてるのか!?」
その瞬間、放置されているのが気に入らないのかマルコ・ドレブスが声を上げる。
『ああ。その声は聞き覚えがあります。今年の傘下・関連企業と取引先の人達を集めての新年度のパーティーの会場で揉め事を起こした人の声です。今どこにいらっしゃるんですか?』
「オルランゲアの貨物受付カウンターだけど?」
副社長御嬢様がドレブスの情報を聞くと、すぐにカウンターに通信が入った。
ササラが応対にでると、すぐに画面がこちらに向けられ、そこにはレイアナの姿が映し出された。
『初めまして。貴方はドレブスマテリアル社長のウィルモルト・ドレブスさんの息子さんですよね?』
「なんだお前は?俺に何の用だ?」
マルコ・ドレブスはレイアナの顔を見ても特に焦った様子はなく、誰だこの子供?といった、迷惑そうな表情をしていた。
『私はレイアナ・リオアースと申します。貴方のお父様の会社の親会社の副社長です』
レイアナは、相手のそんな態度にも笑顔を崩さずに言葉をつづける。
「なにいってるんだ。レイアナ嬢は副社長を務めるような才女なんだ。お前みたいな子供なわけないだろう」
マルコ・ドレブスは、若干イラついた様子で画面のレイアナを睨み付ける。
すると画面に、変態執事ことトーマス・フェイフォスが現れ、
『では私の事は覚えておいでかな?』
と、マルコ・ドレブスに話しかけた。
「お前はあの時の使用人!なんでいるんだよ!」
こちらとは知り合いだったらしく、大声を張り上げた。
『私はリオアース家でのレイアナ御嬢様の専属執事ですからね。当然です。以前にもそう名乗ったはずですが?』
「なに?じゃあということは…さっきの子供がレイアナ嬢?!」
変態執事から事実を聞かされたマルコ・ドレブスの顔に焦りの色が浮かんだ。
『最初の挨拶の時に言ったでしょう?』
「俺は遅れてやってきたから見ていなかったんだ!だから一目見ようとしたら、お前がレイアナ嬢に会わせなかったんじゃないか!」
『貴方の様な人物をお嬢様に会わせるわけないでしょう』
「なら知らなくて当たり前だろう!」
『会報には顔写真がのっていますよ?まあ、読んでいないなら知りませんか』
どうやら因縁浅からぬ仲らしく、変態執事がやけに嫌味っぽい。
なので思わず質問してしまった。
「なあ。こいつ新年度のパーティーで何をやらかしたんだ?」
『懇意な取引先の方のお子さんの護衛についていた女性タイプのアンドロイドを、『お前にはもったいない』といって、脅して奪い取ろうとしていたんですよ。しかもそのお子さんは、生まれつき内臓の一部器官に障害があり、根絶治療をするにしても年齢的に危険があるために不可能で、現在は対症療法中。時折発作もあるそうで、そのための護衛兼看護役のアンドロイドで家族同然だというのに、『レア物』という理由で欲しがり、奪い取ろうとしたんです』
普段へらへらしている変態執事にしては珍しく、マルコ・ドレブスに対しての怒りの感情が見え隠れしていた。
「なるほどな。俺も今似た状況だ。身体障害はないけどな」
『なるほど。了解しました』
変態執事は俺に対して恭しく頭を下げたのち、マルコ・ドレブスに鋭い視線を向けた。
『マルコ・ドレブス。あの時あの場を収めるのがどれだけ大変だったか…。どうやら反省はしなかったみたいだな』
「あんな弱小企業の奴なんかこっちのいいなりにさせとけばいいだろう!あのガキが『持って』たのは数量限定の『レア物』だったんだ!金も払ってやるって言ってるのに渡さないあのガキが悪いんだ!」
普段誰にたいしても敬語の変態執事が口調を荒げているって事は、そのパーティー会場はそうとうな事態になっていたらしいな。
『なるほど。救いようがないなお前は』
変態執事がそう吐き捨てると、今まで黙っていた副社長御嬢様が画面に現れた。
『マルコ・ドレブスさん。貴方は自分に何かあればリキュキエル・エンタープライズ社が黙っていない。警察に通報してもリキュキエル・エンタープライズ社が守ってくれるとおっしゃったそうですね?』
レイアナは努めて冷静にマルコ・ドレブスに話しかけた。
「ああ。俺はそれだけの価値がある人間だろう?」
マルコ・ドレブスは、副社長御嬢様の言葉を当然の評価と考え、最初の焦りはどこ吹く風とばかりに、横柄な対応をしていた。
『申し訳ありませんが、リキュキエル・エンタープライズ社は貴方に価値はないと判断するでしょう。大事な取引先の家族に失礼を働き、犯罪紛いの行為を平然と行い、それを正当化する。そんな人物をリキュキエル・エンタープライズ社が守る価値はありません。私の父、ガリウス・リオアースも同じ判断を下すでしょう』
副社長御嬢様のその言葉に、マルコ・ドレブスは顔をひきつらせ、
「お前みたいな子供に、俺の価値が理解出来るわけがないだろう!」
と、反論した。
『まあ当然そう来るでしょうね。ですから価値のわかりそうな方々をお呼びしました』
レイアナがそういうと、画面に2人の人物が姿を表した。
ちょっと長くなったので途中切り
そして、家から遠いパン屋でパン買って帰ったら1個はいってなかった。
パン屋がいれ忘れたか、途中チャリのかごに入れてた時に誰か盗んだのか…むかつく
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします
いやあー久しぶりの大ポカ!
疲れてたのかもしれない…




