File157 惑星エオエデへの貨物輸送② 濡れ衣を着せられた怒りは着せられた事のある者にしかわからない
シーベルス海賊団に出してやった、白粥に卵スープに野菜の浅漬けという、リーシオ料理と晋蓬料理の合の子は正解だったといえる。
かなり長い間空腹状態だったのだから、ボリュームがあったり脂っこいものは食べられなかっただろう。
彼らは、最初は水や卵スープをすすり、それから白粥、野菜の浅漬けを食べ始めた。
それから30分は、匙が食器にあたる音と咀嚼音しか聞こえては来なかった。
そうして食べ終わると、全員が満足そうな表情を浮かべ、海賊団の首領がこちらに頭を下げてきた。
「本当にありがとうございました!このお礼は必ず!と、言いたいのですが…」
海賊団の首領は、頭を下げながら申し訳なさそうな表情をする。
今の自分達の状況から考えて、お礼は出来ないと理解しているからだろうが、それ以上は話を切り出せそうにないので、こちらから水を向けてみた。
「そういえばこっちの自己紹介がまだだったな。俺はショウン・ライアット。こっちはアディルだ。こっちに最初に連絡をしてきたのが妹さんで、あんたがその姉で海賊団の首領でいいんだっけ?」
「はい。改めて自己紹介を。私はフィノア・シーベルス。シーベルス海賊団の首領を務めています」
年齢は18歳くらいだろうか、栗色のロングヘアーに黒目、結構な美人の部類だ。
「私は妹のマリア・シーベルスと申します。私達が海賊団であるにも関わらず、救助していただきありがとうございました」
姉と同じ髪と目の色で髪型はショートボブ。多分10歳ぐらいなのだろうが、かなり大人びている。
そしてシーベルス姉妹が挨拶をすると、残りが一人一人挨拶を始めた。
「僕はフィノアの弟でマリアの兄のリゼルともうします。救助していただいた事心から感謝いたします」
姉妹と姉弟だという同じ髪と目の色をした大人しそうな青年も、姉弟同様に頭を下げてきた。
「私はハンナ・コーニングと申します。救助していただき、本当にありがとうございました」
軽くウェーブのかかった栗色の長い髪に青い目をした彼女は、名乗らなければシーベルス姉弟の長女か、マリアの母親にも見える感じだ。
「ダニエル・ボッズです…。食事…ありがとうございました…」
黒い細目に、金髪を角刈りにした、230㎝はあるガタイのデカイ男が丁寧に頭を下げる姿は、なかなかシュールな気がする。
口下手とその雰囲気からは、かなり穏やかな人物なのが見て取れる。
「コルス・ブラウンです。ありがとうございました…」
マリア嬢の次に若い、金髪碧眼の女の子がぺこりと頭を下げてきた。なんとなくだが、人見知りな感じだ。
「どうも、ジャック・プラールと申します。この度は我々を救助いただき、誠にありがとうございました」
最後は、おそらく年齢が一番上らしい黒目で黒髪の男性が丁寧に挨拶をしてきた。
そしてこの中で一番地味な人物でもあった。
全員の自己紹介を聞いて思ったのは、確かに海賊には向いてないという事だった。
しかし海賊行為は実際に行っているのは間違いないようなので、
「再度言っておくが、警察にはすでに連絡してある。あと5時間弱でこちらに到着する。この船を奪って逃走するつもりならこちらも反撃はさせてもらうからな?」
正しい対処をした事は改めて告げておいた。
「そんな恩知らずな真似はしない!」
「でも当然の警戒だよ。私達は海賊だもの」
しかし、あまりしつこく言いすぎたのかフィノア嬢が声を荒げる。
マリア嬢が姉をなだめてくれたが、フィノア嬢の様子からすると、ますます彼らが海賊をしている理由が気になった。
「しかし、あんたらは海賊らしからぬ感じだけど…どうして海賊なんか始めたんだ?」
なのでその理由を尋ねたところ、悔しそうな表情をしながら、昔話を交えつつその理由を話してくれた。
その内容はこんな感じだ。
今から1年前。貨物輸送業者だった姉弟の両親は、自分達の所属する貨物輸送業者組合の職員が、海賊に情報をリークしているらしい事に気付くが、そのまま支部長に訴えても握り潰されると考えて、首都惑星ヴォルダルの銀河貨物輸送業者組合本部に直接報告に向かおうとしたところ、なぜか海賊として手配されていて、到着寸前に賞金稼ぎに船を撃沈され、両親は死亡したらしい。
さらには地元の貨物輸送業者組合からは、『両親は海賊で、組合に紛れ込んで内部の情報を海賊仲間に売っていた』と発表されてしまったらしい。
姉弟は、地元警察では組合の息がかかっている可能性を考え、首都惑星ヴォルダルにいって、両親の無実を証明しようと考えたが、なぜか定期船のチケットを売ってくれないし、別人にチケットを取ってもらって乗ろうとしたら、なぜか自分達も海賊として手配されていて、警察に追われることになった。
その周りが敵しかいない状況に姉弟はヤケになり、仲間を集め、なけなしの金で闇ルートでおんぼろ中型船を購入して改装し、本気で海賊になる事にしたそうだ。
狙うのは基本的に、両親と自分達を陥れた組合支部所属の船だったらしい。
しかし生来の性格で、全員が非情残虐になりきれない上に、巨大な海賊団から配下になれと言われて断ったところ、海賊用のマーケットで奪ったものの換金が出来なくなり、おまけにその海賊に襲われて全力で逃げれたは良いものの、船は破損し、修理しようにも部品がなく、水も食糧もつき、空気発生機と空気清浄機の蓄電池も残りわずかという状況になったらしい。
「なるほど。嘘は言っていない様子だし、俺自身も濡れ衣を着せられたことがあるので、その憤りは良くわかる。しかし実際に海賊行為をやってしまったのは愚かな行為だったと言うしかないな。船を手に入れたら、そのまま首都惑星にいって、当初の目的を実行すれば良かったんだ。まあ当時の状況を考えると、組合本部にも手が回っていると考えてしまうだろうから、仕方ないともいえるけどな」
話を聞いた俺の反応に、その原因になったフィノア嬢は項垂れてしまった。
「まあ、大人しく警察に捕まるんだな。それまではゆっくりしてろ。そうだ。風呂にでも入るか?晋蓬皇国式だけど」
この様子なら暴れることもないだろうと判断し、風呂を薦めてみた。
難破中は船の水は全部飲用に回していただろうし、女性達はその辺り特に気にするだろう。
「「「「お風呂があるの?」」」」
すると女性全員が驚きながら食い付いてきた。
まあ、普通はこんな小型船には風呂は載せないからな。
もちろん男性達も入りたがったが、女性達が先という事になった。
広さはあるから、男女でわかれてまとめてはいってくれと指示したところ、最初はシーベルス姉妹とブラウン嬢だけが浴室に向かった。
なぜコーニング嬢も一緒に入らないのか不思議に思っていると、
「私、見た目も心も女なのですが、性別はまだ男なので…」
と、公表してくれた。
おまけ設定(指摘があったので変更)
ショウン・ライアット
男性時
身長:175㎝
体重:63㎏
3サイズ:84/62/83
女性時
身長:170㎝
体重:63㎏
3サイズ:トップ104・アンダー79・Gカップ/58/88
アディル
身長:200㎝
体重:89㎏
3サイズ:トップ97.5・アンダー75・Fカップ/65/92
格闘ゲームのキャラクターなんかを参考にしてみました。
ショウンが女性になると、身長が縮み、胸と尻が膨らむ感じです。
アディルは身長と目立たない筋肉があるため体重は多め…に、したつもりが大変なことに…
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