File150 惑星フェザーフへの貨物輸送③ 手続きはいつの時代でも面倒臭い
惑星フェザーフに到着してまずすることは、燃料補給と船体外壁のチェック。そして運んできた貨物の引き渡しだ。
惑星フェザーフでは、ヒト女性型外骨格のアンドロイドとずんぐりむっくりのロボット達が貨物用移動板と共にやってきた。
「ショウン・ライアット様ですね?今回の依頼品である、『工業部品a』『工業部品b』『日用雑貨』『繊維』『プラスチック品』の以上5品。全て完品でしょうか?」
ちなみになぜ貨物搬入用ドロイド達が入港・停泊した船の所に間違いなく、しかも即座に来れるかというと、こちらが停船許可を要請した時点で宇宙港の貨物ターミナルに連絡が入り、船名から貨物の内容を確認して受け取りの準備をする。
そうすることで、船が到着してからほとんど間を置かずに貨物搬入用ドロイド達が現れ、仕事を始められるわけだ。
「ああ。破損や欠品はないはずだ」
「では搬出を開始します」
リーダーらしいヒト女性型外骨格のアンドロイドの指示で、ずんぐりむっくりのロボット達が貨物用移動板に貨物を載せていく。
そうして全ての貨物引渡しが終了に近づいたので、
「受け取りにサインを頼む」
「はい。少々おまちを」
リーダーらしいヒト女性型外骨格のアンドロイドに受取証明の書類に書名と印章=判子を要求した。
こいつを忘れると、報酬が貰えないどころか仕事を放棄したとみなされ、ペナルティを食らってしまう。
昔は悪徳な係員がいて、金を払わないと受取証明の書類に書名と印章をしないという事件が数多くあった。
そんなことがあったために、貨物搬入は全てAIにプロテクトをかけたドロイド達に任されることになったらしい。
ちなみに彼等は、投影書類・板状端末・プラペーパーの書類のどれにも対応できる印章を持っている。
ヒト型のアンドロイド・バイオロイドは、印章と同じ機能をもった専用のペンでサインをするが、ずんぐりむっくりなロボット・多足タイプ・円筒型は、受取証明用の印章とは別に書名用の印章を持っている。
しかし時々、ずんぐりむっくりのロボットや多足タイプが器用にペンを持ってサインをすることがあり、そのことがなんとなく微笑ましく思ってしまう。
ちなみに書名は担当ドロイドの製造番号、もし個体名をもらっていればそれも記入する事になっている。
そして俺が差し出したのは、腕輪型端末にある投影書類だ。
リーダーのヒト女性型外骨格のアンドロイドはペンを取り出すと、自分の製造番号と名前を投影書類に記入し、印章を押した。
どうやら彼女の名前は『セリーナ』というらしい。
「ありがとう。受け渡しは完了だな」
「はい。では失礼いたしますね」
そうして、貨物搬入用ドロイド達は停泊地を後にした。
それとほぼ同時に、
「マスター。燃料補給・船体外壁のチェック、両方終了しました」
燃料補給・船体外壁のチェックが終了した。
いままでは、燃料補給はともかく、船体外壁のチェックは引き渡しが終了してから行っていたが、アディルのお陰で同時進行が出来るようになったのはありがたい。
貨物の引き渡しが終了すれば、次は報酬の受け取りだ。
船の駆動キーを抜き、しっかりと戸締まりをしてから、アディルと一緒に組合の貨物配達受付に向かった。
組合の受付と言うのは、どこの惑星でも代わり映えするものではない。
「銀河貨物輸送業者組合惑星フェザーフ支部へようこそ!」
「依頼の終了証明を頼む」
「かしこまりました。汎用端末を検査機にお願いします」
そしてこの星で担当してくれた受付嬢は、インセクティア人(昆虫人)のシュピーナ(蜘蛛)種の女性だった。
インセクティア人(昆虫人)は、ヒューマンの外見に昆虫の特徴がくっついた感じの種族で、額に触角があったり、目が複眼になっていたり、多眼になっていたりする。
さらには、半人半虫の姿になれる個体もいるらしい。
「ショウン・ライアット様ですね。依頼貨物の受け取りは全て証明済みですね。報酬の詳細は『工業部品a』30万クレジット・『工業部品b』25万クレジット・『日用雑貨』35万クレジット・『繊維』30万クレジット・『プラスチック品』30万クレジットで、合計で150万クレジットになります。お間違いありませんか?」
「ああ。100万を情報で、50万を現金で頼む」
こうやって情報と現金に分けるのは、基本的にスリ・泥棒対策で、祖父がやっていた習慣だ。
そうして報酬を受けとると、いつもの験担ぎに、飲食チェーン店『サンライトイエローリップル』に向かい、俺はパン付きのミックスグリルのプレート。アディルはカルボナーラを注文した。
どうやらアディルはカルボナーラを験担ぎメニューに決めたらしい。
そうして食事をしていると、俺にとっては見知った顔。アディルにとっては初めてみる顔がやってきた。
「よう!ショウン!ついに相棒を見つけたらしいな!」
声をかけてきたのは、ガタイのデカイ、革のライダースの上下にリーゼント&ポンパドールの男、トニー・マードックと、
「お久し振りっす!女性型のバイオロイドをチョイスしたって聞いたっすよ!」
トニーの子分で相棒。仕事の受注や交渉。情報収集や書類仕事をやっているスケベ小僧サムソン・カスタスだった。
「マスターのお知り合いですか?」
アディルは、トニーの外見から軽く警戒しているようだ。まあ、トニーはどうしても警戒されるよな。
「ああ。同業者のトニーとサムだ。見た目はナンだが悪いやつじゃない」
「おいおいひでえな。これでも俺は繊細なんだぜ?」
「傷ついちゃったっすよ~」
2人は心外そうな顔をするが、こんなことでこいつらが傷つく筈はない。
2人は俺達の正面に座ると、
「俺はトニー・マードック。ショウンとは昔からの付き合いだ。で、こいつは「俺はサムソン・カスタス。サムでいいっすよ」だ。よろしくな」
「私はアディルと申します。よろしくお願いいたします」
2人は挨拶を交わすと、トニーはビールとサラミのピザ。サムはコーラとバーガーとフライドポテトを食べ始めた。
がトニーの奴が余計なお喋りを始めたやがったところ、その話にサムが食いついた。
「しかしお前が相棒を受け入れるとはな。でもまあ、アンドロイド・バイオロイドなら納得だな」
「そういえば、なんでショウンさんは相棒をつけなかったんですか?」
サムがトニーの所に厄介になるようになった頃には、俺は1人で仕事をしていたから知らなくて当然だ。
そしてその会話を聞いたアディルも、聞きたそうな表情をしていた。
「俺の祖父が亡くなった時に、あからさまに祖父の船を奪い取る気満々の奴とか、俺がシュメール人だからって事でそっち目的でよって来る奴が多くてな。だから相棒は要らないって言って追っ払ったんだ。このトニーもその1人だ」
他人から面白おかしく話されるよりは自分から話した方が、色々誤魔化す事もできていいだろうと判断して自分から話した。
「近づいた屑共は追っ払ってやったじゃねえか」
「その後に『感謝したんなら女になって一晩ベッドで付き合え』ってホーゼンのおっさんより頭の悪い事いわなきゃな」
「兄貴最低っす」
「排除しますかマスター?」
サムは軽蔑した視線を向け、アディルは危険人物に向ける厳しい表情をしていた。
「あれは冗談だってのはお前だってわかってただろうが!」
トニーは焦った様子で反論してくる。
もちろん冗談だったのは理解している。
本気で言って来ていたなら友人付き合いなどしてはいないだろう。
そうして和やかに食事を進めていると、
「おい。お前らちょっといいか?」
誰かが話しかけてきた。
入院直前まで書いていたのを、入院中に1日数文字なんかで制作していました、
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




