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File138 惑星リーシオ経由惑星ヤルマド行き貨物輸送⑦ 断れないお願いというものがある

今回のサラ姉ちゃんの襲撃に関してのことを結論からいうと、

襲撃者は失業した生活困窮者で、路地裏で座り込んでいた時に、怪しい人物からある女性を襲撃してほしいと頼まれ、切羽詰まっていたこともあって引き受けたらしい。

潜入の際のコック服やビームナイフも用意してくれたという。

明らかに内部の人間が手引きした可能性があるので、ティナ姉ちゃんがかなり本気で捜査を開始したらしい。

アディルのほうは、サラ姉ちゃんの部屋に拉致され、スリーサイズを図り終えたところで救出。

祝勝会はドラッケン一家とグウェンツさんにだけ挨拶をしてから退席し、船(うち)に帰ってアディルをメンテナンスカプセルに寝かせた。

サラ姉ちゃんの態度を見る限りは、アディルは信用されたようだ。

そして、アディルがカプセルに入っている間に、リーシオの貨物輸送業者組合(トランスポーターギルド)でヤルマド行きの荷物の依頼を受け、直ぐに積めるものは積んでおいた。


そして翌朝。

朝食を済ませてから残りの荷物を搬入していると、サラ姉ちゃん・その秘書さん・マヤ姉ちゃんがやってきた。

「おはようショウン」

「ああ、おはよう。どうしたのいったい?」

サラ姉ちゃんは挨拶をかわすと、直ぐにアディルに突貫し、その手を握りしめた。

「アディルちゃん。昨日は貴女を疑ってしまってごめんなさい!」

「あの!事情はマスターから聞きましたから…」

アディルは、サラ姉ちゃんのいきなりの行動にかなり驚いていたが、昨晩船(うち)に帰る途中と、今朝の朝食時に説明をしておいたので、疑われた事を怒ったりすることはなかった。

「でも、私が未熟なせいで貴女を疑ってしまった事には間違いないわ」

自分達に近付いてきた人物は必ず調査をする。

三つの国に多大な影響力をもつドラッケン一族としては仕方ない、むしろ当然の事だ。

過去には間違いなく、俺や俺の家族も調査されたはずだ。

「母さん達もお婆様達も大丈夫っていったんだけど、姉さんだけが最後まで怪しんじゃって。でも、貴女のことは凄く気に入っていたのよ」

「サラフィニア様はその事を朝まで、そして今も後悔されておられます。もちろん昨日の採寸の時も」

そこに、マヤ姉ちゃんとサラ姉ちゃんの秘書のミリンダ・ルティネスさんがフォロー?に入る。

でも採寸の時は楽しそうな声が聞こえてきた気がする。

「だから、仕事が一段落したら絶対にリーシオに寄ってちょうだいね!その…アディルちゃんがどうしても嫌だっていうなら仕方ないけど…」

「そんなことはありません!マスターにお願いして、必ずお邪魔いたしますので!」

「ありがとうアディルちゃん!」

少し悲しそうな顔をしたサラ姉ちゃんに、アディルが必ず会いに来ると約束すると、サラ姉ちゃんはアディルに抱き付いた。

あ、アディルの胸にわざと顔を埋めてるな…。

仕方ないので引き剥がそうとしたところに、ミリンダさんとマヤ姉ちゃんが話しかけてきた。

「ショウン様。サラフィニア様は暫くあのままにしておいてあげて下さい。実はサラフィニア様の謝罪の他にもう一つ御用件がございます」

「そうそう、実はショウンに便乗依頼をお願いしたいって人がいるのよ」

マヤ姉ちゃんにしては意外な依頼だった。

マヤ姉ちゃん、マイルヤーナ・ドラッケンはドラッケングループの交通網・流通網の全てを掌握している。

そのマヤ姉ちゃんなら、船一隻用意して目的地に送り届けるぐらい、俺達が朝食を食べ始める前に終了するぐらい簡単な事だ。

だがまあ、依頼をするということは何かしら理由があるのだろう。

「それならきちんと組合ギルドを通してもらわないと」

「今手続きをしてるはずよ」

するとタイミングを見計らったように、俺の汎用端末(ツール)のコール音が鳴った。

相手は組合のリーシオ支部からだった。

「はいもしもし」

『もしもし。私(わたくし)、銀河貨物輸送業者組合(ギャラクシートランスポーターギルド)リーシオ支部受付のシノカと申します。

ショウン・ライアット様ですね。

実は貴方の船に便乗をしたいと指名してきたお客様がいらっしゃいまして、交渉はそちらで直接行いたい。とのことです。お受けになる場合はこちらに御一報お願いしますね』

シノカとかいう受付嬢は、それだけ言うとさっさと電話を切りやがった。

それを見計らったかのように、停泊地(アンカーレイジ)の扉が開き、3人の人物が入ってきた。

「お久しぶりですライアットさん」

「ヴルヴィアさんじゃないですか。お久しぶりです」

そのうちの1人は、以前にお客だった、青い鱗に白い髪のドラコニアル人、フィナ・ヴルヴィアさんだった。

乗せて送り届けて下ろした後に、評議員補佐官だったと知って驚いた。

「昨年は色々あって大変でしたね」

「今年は平穏にいきたいんですけどね…」

どういう経路かはしらないが、俺に起きたトラブル関連は把握しているらしい。

「それで依頼の方なのですが、私を含めた3人をアナタの目的地である惑星ヤルマドまで乗せて行ってもらえませんか?」

そう頼んでくるヴルヴィアさんの後ろには、緑の鱗に元々は黒かったであろう白い髪に、白く長い髭を蓄えた、じいちゃん=クロイド・ドラッケンと同年代の老人と、緑の鱗に濃い茶色の髪の若い女性がいた。

すると、その老人の方が俺に話しかけてきた。

「急に頼んでしまってもうしわけない。儂が依頼主のコーウェン・フッキネス。こっちは孫のサイアだ」

その老人に、俺はものすごく見覚えがあった。

「惑星リーシオ代表のフッキネス評議員じゃないですか!」

ヴルヴィアさんが評議員補佐官なのを考えると、あり得ないことではなかった。

しかし、評議員であるなら立派な専用艇をもってる筈だ。

ウィルティア・ルナーシュ評議員の時のように専用艇の故障でもあったんだろうか?

そんなことを考えていると、

「いずれニュースにもなるじゃろうが、近く評議員信任投票がある。

昨年は評議員が何人も亡くなったり、失脚したりしたから補充の必要があるのでな。

現役は続投を、新規立候補者は信任を、それぞれ勝ち取るための投票じゃが、儂はそこで辞退して引退しようと思うておる。

そうしたら、『是非とも自分を貴方の後継者に!』と、すり寄ってくる連中が専用艇にまで押し掛けて来おってなあ…。

ヤルマドには治安問題改善の為の会談に向かうんじゃが、あんな連中が一緒ではたまらん!

そこで、補佐官のヴルヴィアとクロイドの孫娘達に足労してもらったんじゃ」

「お祖父様の700年来のご友人だから何とかして差し上げたいの。それに私の方の船もマークされてるらしくて、監視している人がうろついているのよ」

その俺の疑問を察したのか、フッキネス評議員とマヤ姉ちゃんが俺の船を徴用した理由を、うんざりした表情で話してくれた。

「お願いできませんか?ライアットさん」

ヴルヴィアさんもかなり必死な様子でお願いをしてきた。

依頼としては真っ当なものだし、マヤ姉ちゃん(みうち)とヴルヴィアさん(しりあい)に頼まれると断りづらい。

「目的地を変更しろってんじゃなければ、評議員閣下からのご指名を断るわけにもいかないでしょう」

「ありがたい。数日とはいえ、あんな連中と一緒ではたまらんからのう」

評議員閣下は本当にうれしそうな顔をしながら、俺の手を握ってきた。

本気で嫌だったんだな…。

さて。アディルの奴をそろそろ助けてやらないとな。

話の間ずっとサラ姉ちゃんに抱きつかれ、ちょっとぐったりしているアディルに近づき、サラ姉ちゃんを引き剥がすことにした。

同性(特に女性)でスキンシップをやたらするひとがいますよね…


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― 新着の感想 ―
[一言] 日本で男が過大なスキンシップをやったらたちまちホモ容疑が湧き起こります。 あるいはセクハラを言い立てられるか、のどちらかではないかと。
[良い点] ショウン氏も、ドラコニアル人の大物関係者との縁がありますな。そして船内で出した食事でまた専属料理人への勧誘が・・むしろ「料理の顔」で宝玉煮卵の製作者という事もバレるかも [一言] フィナ・…
[良い点] これは断れないw つか評議員ってすげえ権力者になるのね まともな投票やってるのか心配w [一言] アディル w
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