File132 惑星リーシオ経由惑星ヤルマド行き貨物輸送① 男のツンデレに需要はない
カウンターで依頼を受けてから、すぐに船に戻って依頼の荷物を受け取り、その午後にはカプセルと給水器と重力板を受け取った。
その全部の受け取りが終わった頃に、なぜかライティスさんがやってきた。
「やあショウン。ちょっといいかな?」
「ライティスさん。どうかしたんですか?」
ライティスさんの表情から、なにか真剣な話かなと思ったので、アディルに後から捨てにいく必要のあるゴミをまとめて船内の掃除もしておくように頼むと、停泊地の端に移動した。
「それで、なんの話ですか?」
「昨日の事を謝罪したくてね」
「それならジャンの奴が直接くるべきでしょう」
「あいつの性格的に素直に謝れないだろうし、喧嘩腰がデフォルトだから難しいかな。でも心配しているのは間違いないんだ。本人に自覚はないけどね」
どうやらライティスさんはジャンの奴のフォローをしに来たらしい。
ジャンの性格からして、余程でなければ謝罪なんかには来ないだろう。
それで相棒のライティスさんに迷惑をかけてるんだから、少しは反省してほしいものだ。
「だとしたらいい迷惑ですよ。平然とカタツムリ呼ばわりしてくるんですからね」
「でもお陰で敵味方が分かるだろう?あいつに同調すればヤバイやつ。あいつに怒れば味方ってさ」
たしかに今まで、ジャンに同調して俺をカタツムリ呼ばわりしてきた奴とは距離を取ったし、昨日みたいにジャンに注意をした連中とは仲良くなった。
意図的か天然かは分からないがあいつの行動で判明してきたのは事実だ。
俺がジャンの奴を拒絶まではしないのは、その辺りの事があるからかもしれない。
だからと言って腹が立たない訳じゃないが。
「だったら昨日はしなくてよかったでしょう?味方しかいなかったのに」
「アディルちゃんがいたからかな。新人だと思ったんだよ」
「それで俺やアディルに敵視されてるなら世話ないですよ」
「そうなんだよね~。あいつは不器用というかなんというか…」
俺の言葉にライティスさんは苦笑いを浮かべる。
そうしてひとしきりため息をつくと、俺の方にむきなおり、
「それにしても、今まで1人だった君がようやくパートナーを迎え入れるとはね。これで安全面は少しは向上したね」
と、言ってきた。
実は祖父が亡くなった直ぐ後に、色んな人からパートナーを持つように忠告をされたが、資金面や感情的なものもあって、パートナーを持つ気はしなかった。
「心配かけてすみません」
そしてその事を、ライティスさんだけでなく色んな人に心配してもらっていた事に改めて感謝した。
ちなみにジャンの奴は『ぼっちカタツムリめ!悔しかったらパートナーの1人でも捕まえてみやがれ!』と、煽ってきていた。
「気にしなくていいよ。こっちもジャンの奴が迷惑かけてるしね」
「じゃあちょっとした意趣返しをさせてくださいよ」
俺は船に戻ると、箱が4つ入ったビニール袋を持ってきてライティスさんに手渡した。
「中身はなんだい?」
「固めに作ったクラシックプリン4種ですよ」
「2人とも甘いものは好きだから喜ぶよ。でもこれの何が意趣返しになるんだい?」
「アルセリアと喧嘩してひっくり返すのを期待してます」
不謹慎な話な上に、アルセリアからすれば迷惑話だが、これぐらいはかまわないだろう。
無事に食べたけりゃ喧嘩をしなけりゃいいだけだ。
「たしかにやりそうだな…」
その時のライティスさんの表情はものすごく微妙な表情をしていた。
視点変換 ◇アルセリア・イーベッツ◇
昨日、ジャンさんがショウンさんに暴言を吐いて、バルスィンさんにシメられました。
どうしてジャンさんはあんなことをするんでしょう?
普段の様子や行動を見ている限り、シュメール人差別主義者では無いようなのに。
ショウンさんも完全にジャンさんを嫌っているわけでもないようです。
なので私は、思いきって聞いてみることにしました。
「ジャンさん。ちょっといいですか?」
「なんだよ?」
「どうしてショウンさんにあんな態度を取るんですか?他のシュメール人にはあんなこと言わないのに」
「あぁ?そんなもん初見で股間蹴られたらムカつきもするだろうが!」
するとかなり不愉快そうにその理由を返してきました。
ですがショウンさんが初対面の人にいきなり攻撃を仕掛けるとは思えません。
「どうせ失礼なこと言ったんでしょう?」
「『お前みたいなガキに貨物輸送業者ができる訳ねえだろ』って言っただけだ」
「そりゃ怒りますよ」
「あぁ?んなもん通過儀礼みたいなもんだろうが!」
「それって悪い習慣ですよ…」
「さらには女の時に声かけた時にも蹴りやがったんだ!」
「なんて声かけたんです?」
「その時はあいつだって知らなかったからな『ねえ君!見たところ貨物輸送業者見習いってとこだろ?俺が色々教えてあげるからさ。ちょっとお茶でも付き合わない?』って声かけた」
「チャラいですね。私なら無視です」
「そこは普通にっこり笑ってこっちをドキッとさせてからの正体バラシだろうが!」
「なんなんですかその恥ずかしい童○の願望」
「うるせえ!」
なるほど。
前からわかっていましたが、この人は子供です。
なので、私が大人になって諭してあげる事にしましょう。
実際に私の方が歳上なのですから。
「その通過儀礼とやらは必要なんですか?」
「当然だろ!それを冷静に返してこそ一人前ってもんだろうが!」
ジャンさんはドヤ顔をしながら言い切りました。
「なにいってんだ。お前も同じ事やられてブチ切れた側じゃないか」
そこに、ビニール袋を持ったライティスさんが戻ってきました。
それにしても自分がブチ切れたことを神棚に上げて、ショウンさんにブチ切れないのを強要するとはまさしく子供ですね。
「お帰りなさいライティスさん。何ですかそれ?」
「ショウンからもらったクラシックプリン4種だよ」
ライティスさんが持っていたビニール袋がなんなのか尋ねたところ、非常に魅惑的な答えが返ってきました!
「ショウンさんのあのプリンですね!しかも4種類!なにがあるんですかねー」
ライティスさんからそのビニール袋を受け取り、中の箱を取り出しながらうきうきしていると、
「デブるぞ」
と、早速ジャンさんが噛みついてきました。
そう言って私を牽制して自分だけ食べるつもりですね。
「私は成長期ですから。それよりジャンさんは大人ですからプリンなんかいらないでしょう?」
「てめえ…」
なのでこちらも反撃といきましょう。
そうしていつものように一勝負となった時に、
「君達が喧嘩するようなら捨てるように言われてるんだが?」
という、ライティスさんの言葉に二人とも固まり、
「やめます!直ぐに止めます!」
「止めるから勿体無い事はやめろ!」
と、喧嘩を収めました。
下らない喧嘩よりプリンです!
視点終了
大人と言っておきながら一番子供な見た目少女なドラゴン娘。
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