File131 惑星オルランゲアでの休日④ ものすごく良い人にも嫌いな人はいる
視点変換 ◇キャロライン・ウィルソン◇
ショウンがパートナーにしたこの子いいわー!
身長高いしスタイルもいいし、最近はじめた百合作品の男役にぴったりよね!
女の姿のショウンとの対比もばっちり!
「姫様♪」とかいわれてみたくなるやつ!
逆にこの子が攻められるのもいいわよね。
真面目で良い子みたいだから、押しの強い可憐な感じの子に強引に押し倒されるのもイイッ!
もちろん腐女子としてはチェンシーさんとウッドベイルさんの2人も忘れちゃいけないわよね!
学生時代からの知り合いで、友人がいつの間にかオネエに転身。普段は喧嘩腰で罵っているけど実はドキドキしてたり。
さらにはその友人がオネエになったのは彼に愛して欲しかったからとか?!
あ、ヤバい…鼻血出そう…耐えろ!耐えろ私!
視点変換 ◇アルニー・エスフォル◇
私は今、滅茶苦茶ムカついて、滅茶苦茶悩んでいる。
その原因は二つ。
まず一つ目は、ショウンが600万クレジット以上もの大金を使ってバイオロイドを購入したことよ!
バイオロイドを購入したということは、その周辺機器や必要な家具も購入するのが当たり前。
それだけのお金があるなら、どうして金銭で困っている仕事仲間の私に融通してくれないのよ!
アドルアの新作の服に、シウロ・ノッテンの新作バッグに、クリステリアのイヤリングに、レナックの香水と、色々欲しいものがあったのに!
まあ、こっちのほうは実行しようものならバルスィン姉さんに滅茶苦茶怒られるから出来るわけはないんだけどね…。
でも問題は二つ目。
なんでその購入したバイオロイドが巨乳なのかってことよ!
さらには女バージョンのショウンとキャシーが並んでいるってなんなのよ!
嫌がらせ?嫌がらせよね?嫌がらせ以外の何ものでもないわよね?
でもあのアンドロイドちゃん、アディルだっけ。悪い子じゃないのよねー。
むしろめっちゃいい子なのよねー。
あー嫌な子だったら嫌味の一つも言ってやるのにー!
視点返還 ◇ショウン・ライアット◇
なぜか全身が震えているキャシーと、頭を抱えてのたうち回っているアルニーを怪訝な顔で見つめていると、アディルが俺の服を引っ張ってきて、
「マスター。あの人はどうしてマスターに敵対的な発言ばかりしているのですか?」
ジャンの俺に対する暴言の数々に、不快そうな表情を浮かべていた。
「あいつはジャン・インフェッド。古い知り合いで相当に口は悪い。でもまあ悪党じゃないからそこまで警戒しなくていい。仕事の事に関してや、根本的な部分は信用できるしな」
遠慮なく喧嘩のできる相手であり、それを恨んで仕事の邪魔なんかをしてくるやつではないので、その点は覚えて欲しいし安心して欲しいんだけど…
「わかりました。でもマスターに害を与えるようなら容赦しません!」
アディルはふんすと気合いをいれてしまった。
対照的に解放されたジャンはかなり憔悴していた。
実はバルスィン・チェンシーはああ見えてかなり強いので、こめかみグリグリとはいえかなり強力だ。
「くそっ…ヒデェ目にあったぜ」
こめかみを押さえながら、改めて俺とアディルに視線を向けてくる。
「で、そいつはパートナーでいいのか?」
「まあな。縁があって迎え入れた」
俺とは軽く会話をし、
「俺はジャン・インフェッドだ。こいつのところが嫌になったら俺のところにきな。歓迎するぜ」
アディルに向かっては、手を差し出しながら冗談まじりで挨拶をする。
「よろしくおねがいします。でも私がマスターを嫌うはずがないのでそんなことは絶対にありませんので」
しかしアディルは、握手に応じながらもジャンの奴を警戒した表情で凝視していた。
「なんで俺睨まれてんの?」
どうやらアディルからの印象がよくなかったのが不思議だったらしい。
「そりゃあ彼女のマスターのショウンを悪く言えば印象も悪くなるさ」
「自業自得です」
そして、なんで自分がアディルに嫌われているのかを、ライティスさんとアルセリアに教えられていた。
「うおっ!オオキタ・ソーナとマリミナカタだ!マジかよ!」
そこに、非常に不愉快な台詞が聞こえてきた。
これにはキャシーも眉を吊り上げていた。
そしてその声の主は、以前俺にスピード勝負をしかけてきたジャック・ファルコン・ケイデイルとかいう新人だった。
どうやらコイツは、ソーシャルゲーム『ソードプリンセス 剣姫招来!』のプレイヤーらしい。
「いや、マジでスゲエ!マジ本物だぜ!」
そういってジャックは、俺とキャシーに汎用端末のカメラをむけてきた。
すると次の瞬間、ジャックの首元にキャシーのビームサーベルが突き付けられていた。
「許可を得ずに写真撮影するとはどういうつもり?」
「しっ…写真撮るのに許可が要るのかよ?!」
「勝手に撮ったら肖像権の侵害になるのよ。知らなかった?」
多分キャシーは、コミックマルシェの会場のルールでものを言っているらしい。
そこに、バルスィン・チェンシーが割って入ってきた。
「まあまあ。そのあたりで勘弁してあげなさいよ。貴方も今後は気を付けなさい。そうしないと次は本当に斬られちゃうわよ」
「まあ、チェンシーさんがそういうなら…」
「わ…わかりました気を付けます…」
今いるなかでは歳上でそれなりに威厳もあるので、2人とも素直に従った。
そうして賑やかな昼食が終わると、そのまま生鮮食品売場に向かった。
消費分の食料の補充と、ササラに渡すプリンの材料の購入のためだ。
アディルはこういった買い物も楽しいのか、キョロキョロと店内を見回しているので、気分は子供をつれた母親だ。
そうして買い物を終え、船に戻ってからはプリンづくりに励むことになった。
翌朝。
フレンチトーストにカフェオレにフルーツヨーグルトの朝食をすませてから、仕事をうけるために貨物配達受付に向かった。
ササラを始めとした受付嬢たちは、朝早くから夜遅くまで、いつきてもぴしりとしているのは本当に感心する。
その中からササラを見つけて声をかける。
「ようササラ。依頼を見せてくれ」
「相変わらず早いね。5時から開いてても午前8時ぐらいまでは早朝に到着した人達の終了証明ばっかりなのに。仕事熱心なのは感心だね。ちょっとまっててね」
そうしてササラが出してきた依頼には、首都惑星のヴォルダルを中心とした場合の西北方向のものが多めだった。
ちなみにその方向には、旧・晋蓬皇国の一部であった晋蓬地方がある。
どれを受けようかと悩んでいると、
「お仕事はこうやって受けるんですね」
アディルが依頼のリストを興味深そうに横から眺めてきた。
そうして最終的に、そのリストの中の惑星リーシオ経由惑星ヤルマド行きの依頼をいくつか受け、さらに積載量ギリギリまでリーシオ行きの依頼を受けた。
「じゃあ積み込みはリーシオ経由ヤルマド行きの荷物はこの後10時から、リーシオ止まりは明日の朝7時に、積み込み開始でOK?」
「ああ、問題ない」
腕輪型端末にチェックをいれ、これで依頼の受注は完了だ。
となれば、渡しておかないといけない物がある。
約束のアディルが世話になるお礼だ。
「それからこれな」
俺がカウンターに置いたのは4つの紙箱だ。
「これって…カスタードプディングね?」
「通常のカスタードにチョコレート・いちご・晋蓬地方発祥の抹茶だ。全部固めで切り分けできる奴だ」
「ありがと~休憩のときにいただくよ」
ササラは嬉しそうに受けとる。
もちろんその後ろで受付嬢達が狩人の眼をしているのは理解しているのだろう。
なんとなく殺気が滲み出ている気がした。
次回からは出発の予定です
ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします
ちょっとしたことなのですが、
建設現場で地面にコンクリートを塗っていて、
そろそろ終了という時に、猫に斜め横断され、
左官屋さんたちが膝から崩れ落ちた現場をみました
文章を一部修正しました




