↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/264

File110 惑星ダナークズへの貨客輸送② 冷静な第3者視点は本当にありがたいものである

無事に超空間(ハイパースペース)に入り、船を自動航行(オートドライブ)にしてから、ラウンジに出ると、客達は実に思い思いの方法で寛いでいた。

チャーリーは、ダイニングのテーブルで小型端末(ノートPC)でなにかの仕事。

ティラナはキッチンから、早々に紅茶のセットを探り当てて取りだし、お茶の用意をしていた。

シャーロ・レツィナ嬢は小型端末(ノートPC)にヘッドホンを繋いで、仮想鍵盤(ホロ・キーボード)を展開し、曲作りをしていた。

ザウズ・ダルカ氏はソファーに寝転がり、テレビを見ていた。

この光景だけをみると、宇宙船(ふね)の船内(なか)というよりは住宅のようだ

とりあえず俺もゆっくりしよう。

そう思ってダイニングのテーブルに座ると、ちょうどティラナが紅茶を出してきた。

「悪いな。お客さんなのに」

「やりたくてやってることですから」

彼女は俺の船に乗ると、たいてい細々(こまごま)と雑用をしてくれる。

客なのだからゆっくりしてくれと言っても、「やりたいからやっている」と、返してくるので、いまはもう諦めて、彼女の好きにさせている。

「しかし、よく茶葉の場所が解ったな?」

キッチンが新しくなったのだから、分かりにくいはずだ。

「レイアウトは大きく変わっていませんでしたから、簡単でしたよ?」

そう答えたティラナの、のっぺらぼう状態の顔が、ちょっと自慢気に笑ったように見えた。

そうして、チャーリーやダルカ氏にも紅茶をだし、同じくダイニングテーブルで作曲をしているレツィナ嬢にも紅茶を出した。

「紅茶です。どうぞ」

「ありがと~」

彼女を最後にしたのは、気がねなく彼女と話すためなのだろう。

「作曲ですか?」

「思い付いたフレーズや言葉をメモしてるだけー」

それ以降、2人は楽しそうにおしゃべりを始めた。

なので俺も、ティラナの入れた紅茶をいただきながら、読みかけの本を読むことにした。


しばらくして昼食も近くなったので、昼食を作るべくキッチンに移動して準備を始めると、

「お手伝いします」

と、ティラナがキッチンにやってきた。

「悪いな、助かるよ。じゃあレタスを出して洗ってくれ」

「はい!」

そうしてティラナに手伝ってもらい、卵焼き・照り焼きチキン・B(ベーコン)L(レタス)T(トマト)C(チーズ)のサンドイッチとコーンスープ・皮付きフライドポテトを製作し、皮付きフライドポテトのディップには、ケチャップ・マスタード・チーズソースの3つを用意し、ダイニングテーブルに並べた。

「飲み物はコーヒーと紅茶とソフトドリンクがあるから好きなのを選んでくれ」

「お前、相変わらず無駄に器用だよな」

チャーリーのやつは、呆れながらもB(ベーコン)L(レタス)T(トマト)C(チーズ)のサンドイッチにかじりついていた。

「この卵焼きの好きー。後、このチーズソースって何処のメーカー?」

レツィナ嬢は、卵焼きのサンドイッチをしっかり確保しつつ、チーズソースの出どころを尋ねてきた。

「それは自家製なんですよ」

「あーそうなんだー。もって帰りたいなー」

レツィナ嬢は、チーズソースをたっぷり付けた皮付きフライドポテトを食べながら、チーズソースの入ったボウルを凝視していた。

するとそこに、

「なあ…ビールくれビール!チーズソースのかかった揚げ芋でビールがねえのは拷問だ!」

「それには俺も同意だ!」

ダルカ氏とチャーリーの2人が、必死の形相で訴えかけてきた。

はっきり言って目がヤバイ。

「わかったよ…ただし、まだ昼間だから1人2本だけな」

暴れられても困るので、500ml缶の奴(ビール)を出してやった。

「お!トライバードの『ゴールドブルー』とノーススターの『ラックアングラー』とはなかなか気が効いてるぜ!」

ダルカ氏は早速缶を開けて、一気に飲み干していく。

「お前、自分はあんまり飲まないのに、酒のチョイスだけはセンスあるよな」

「客に出す方が多いからな、ハズレがなさそうなのを選んでるだけだ」

チャーリーは、『ゴールドブルー』を開けて一口喉に流し込む。

「そういやあ、また果実酒を仕込んでるのか?」

「まあな。無事だったやつを含めて、梅・苺・杏・桃・葡萄・蜜柑・檸檬・林檎。あとはマスカットを仕込んだ程度だな」

「程度ってレベルじゃねえだろそれ…」

「姉ちゃん対策だよ」

「ああ…」

俺が果実酒を仕込むのは、もちろん客にもだすが、基本的にはドラッケン姉妹(ねえちゃんたち)対策だ。

いつ接触するかはわからないが、接触したら確実に色々もっていかれる。

なら最初にもっていかせる分を用意すればいい。

しかしここに、意外な伏兵がいた。

「果実酒があるなら飲みた~い。苺と蜜柑とマスカットのやつー」

レツィナ嬢は意外にも呑兵衛(のんべえ)だったらしい。

しかし曲がりなりにも、ビステルト人レパド種、いわゆる豹獣人の彼女が、柑橘の酒を飲んで大丈夫なんだろうか?

まあ、本人が欲しがってるんだから大丈夫だろう。


こうして昼食が終わると、退屈な時間になる。

今回少し広くなったので、左舷の搭乗口の近くにランニングマシーンを、下の貨物室に降りるためのハッチの近くにパンチングボールを設置してみた。

すると、チャーリーの奴がランニングマシーンを。

レツィナ嬢がパンチングボールをやっていた。

こうして見ると、ランニングマシンやパンチングボールなんかの、身体を動かせる物を設置したのはよかったようだ。


そうして昼間は、それ以上は何があることもなく、夕食の時間になった。

最近ちょっと晋蓬(しんほう)料理に傾倒気味なので、

メニューは、御飯・味噌汁(豆腐とワカメ)・漬物・小松菜の胡麻和え・若鶏の唐揚げになった。

そして唐揚げには、フライドポテトじゃないが、色々なディップを用意してみた。

基本の檸檬に、甘酢あん・タルタルソース・チーズソース・カレーソースの4つに加え、希望者だけになるが、おろしニンニクなんてのも用意してる。

レツィナ嬢は猫舌だから大丈夫かなと思ったが、平気な様子で口に運んでいた。

そして昼間にいった通り、夜なのでたっぷりとビールをだしてやった。

「船の中だと飲んでても文句を言われないのがいいぜ!」

「俺なんかは船長(こいつ)と友人だからな。リラックスの度合いが違うぞ!」

ダルカ氏とチャーリーは、唐揚げを食べてはビール。唐揚げを食べてはビールを繰り返しながらとりとめのない話をし、

「苺もよかったけど桃も美味しー」

レツィナ嬢は、果実酒を全部並べ、きゃふきゃふいいながら飲み比べをしていた。

まったく呑兵衛(のんべえ)共め。

俺が呆れてため息を付いている横で、ティラナはその光景をじっと見つめていた。

「皆様美味しそうに飲むのですね…」

「興味あるのか?」

「いえ。私は食事の必要はありませんから…」

そう答えたティラナの表情は、なんとなく寂しそうに見えた。

勝手な想像だが、ティラナはチャーリーや俺たち知り合いなんかと、食事がしてみたいのかもしれない。

なので俺は、いままで思っていた。いや、周りの連中全員が思っていた事を、改めてチャーリーにぶつけた。

「チャーリー。いい加減ティラナの頭部を、いや、頭部だけじゃなくて、全身バイオロイド仕様に変えてやったらどうだ?」

するとチャーリーは、

「誘拐とかされたらどうするつもりだ?!」

と、いつもの反論をしてきた。

ティラナが大事なのはわかるが、今回は引かない。

「ティラナの希望を叶えてやる方が彼女が喜ぶんじゃないか?」

「しかしな!これだけ性格のいい子で、その上美人となったら余計ヤバイだろう!」

「まあ、確かにな…」

気持ちは解らなくはない。

こいつにとっては、大事な秘書であり、家族になっているからだ。

実際、高性能な電子頭脳を搭載したアンドロイド・バイオロイドは窃盗(ゆうかい)の被害に遭いやすい。

大抵は、反応が人間に近いからという理由からの、各種変態的加虐行為(ゆがんだもくてき)での需要だ。

電子頭脳の成長はどうしても時間がかかるため、窃盗(ゆうかい)が手っ取り早い。

さらに外見が美人なら、換装の必要もない。

以上の事から、彼女の安全を考えると、どうしても二の足を踏んでしまうのは間違いない。

しかし、彼女の望みも叶えてあげたい。

話はまた平行線か。

そう思っていた時、レツィナ嬢が事も無げに、

「だったら、普段はお面とかヘルメットを被って、信用出来る人達の前だけで外せばいいじゃん。ご飯は口のとこだけ出せるようにすればいいしさ」

といった。

その瞬間、俺とチャーリーは、特大サイズのウロコが眼から落ちた気分になった。

「「それだ!」」

どうしてそんな単純な事に気がつかなかったんだろうか?

多分、色々視野が狭くなっていたんだろう。

「ありがとう!ありがとうお嬢さん!」

チャーリーは、感激しながらレツィナ嬢の手を握り、感謝の言葉を告げていた。

こいつも、ティラナの望みを理解していたのだろう。

そしてティラナに向き直り、彼女の肩を掴むと、

「よしティラナ!この仕事が終わったら、早速注文するぞ!肌の色は今のままでいいとして、髪の色…あ!髪型が一番大事じゃないか!」

興奮するチャーリーの様子を見て、ティラナは嬉しそうな顔をしていた。

ビールの名称は適当です


ショウンの外見イメージが、最初は160cmぐらいだったのですが、書いているうちに175cmぐらいに変わってしまいました。

たしか身長は書いてなかった気がするので大丈夫なはず…


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] コロナ注射二回目無事で良かった。 私は過去最高クラスの熱とフラツキで3日ほどマトモに動けなかったw [気になる点] 髪型だけでも注意を引くかも知れない~、 髪型次第ではヘルメット被れなそう…
[良い点] 今回は平穏無事な旅客輸送、でもにぎやかな展開でしたね。 しかしショウンは自分で食べたくて料理が上手くなった訳ではなくて、何だかんだ言って人に食べさせるのが好きで料理が上手くなっているようで…
[良い点] 漬け込み過ぎw そしてそれを飲みきるであろう某姉妹w 運動はしないよりしたほうがいいよね~ [一言] やっぱ中に人がいる のか?w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。