File107 首都惑星ヴォルダルでの手続き色々② 大きな買い物における高揚感と達成感はハンパない
お待たせいたしました。
1回目は副作用もほとんどなく、無事に終了しました
内容を一部修正しました
警察本部を後にしてからは、まずは銀行に向かった。
保険会社・スターフライト社・地元警察の合計の2億クレジットに、先に入金した宇宙港管理局からの1億クレジットを加えた、合計3億クレジット全てを銀行口座に入金した。
そしてそのまま、高速航行許可証を発行しているヴォルダル公安局に向かってもらった。
高速航行許可証は、申請してからかなり時間がかかると聞いたので、早いとこ申し込んでおこうと思ったからだ。
「そういえば、手続きのときにはラツィム巡査が居ませんでしたね」
「用件自体はラツィムが進めてたんだ。さすがに公安局には用事はないがな」
それぞれのところに用があると聞いていたので、気になったので尋ねてみたが、用件の内容には触れずに流されてしまった。
そんなことを話しているうちに公安局に到着した。
金銭を盗まれる心配はなくなったし、これ以上は申し訳ないので、ここで別れる事にした。
建物のなかに入り、受付で許可証の申請について訪ねると、担当部署に向かうように言われた。
担当部署の航行管理部に到着すると、人当たりの良さそうな眼鏡の職員が応対してくれた。
「今回、高速航行許可証を発行したいということで、申請をして行かれますか?説明を聞くだけでもかまいませんよ」
「申請をお願いします」
「わかりました。では必要なものですが、
まずは身分証明になるもの。これは小型貨物船航行免許で結構ですよ。
次は、貴方の船の船体登録証明です。現在は船を所有していないようですが、船体登録証明の変更や、船体サイズの変更がないなら現在のもので結構です。
そしてなんらかの組織に登録しているなら登録ナンバーも必要です。
それを提示・記録させて頂いたあと、書類への記帳・写真撮影・面談と続き、後は審査を待つだけになります」
「全部用意してあります」
必要なものは、前日に調べて持ってきているので問題ない。
「では、それぞれをチェックさせていただいてよろしいですか?」
「はい」
その要請にしたがい、腕輪型端末を外して職員にさしだす。
「ではこちらの書類に記帳を」
職員は書類を差し出し、俺の腕輪型端末にある小型貨物船航行免許・船体登録証明・登録ナンバーのチェックを開始する。
書類を書き終わると、腕輪型端末を返却してくれた。
「書類への記入が終了したら写真の撮影になります。審査に落選した場合は、こちらで機密保持の上、きちんと廃棄させていただきますのでご安心を」
そう説明しながら書類を確認し、
「シュメール人なのですね。では、両方の性別での写真が必要になりますね」
そうして書類のチェックが終了すると、撮影室に案内され、男女両方の写真を撮られた。
そのあとは小さな個室に案内され、面談が開始された。
「では、ショウン・ライアットさん。貴方は宇宙船航行時に何かしらの違反をしたことがありますか?」
「ない…と、おもいます」
自慢じゃないが、スピード違反はもちろん、迷惑行為だってした覚えはない。
「いままで速いスピードを出したことはありますか?」
「海賊に追いかけられた時なら」
命がかかっているのだから、そこは勘弁してほしい。
「スピード勝負をいどまれたらどうしますか?」
「興味はないですね」
実際仕掛けられたことがあるが、マジで1㎜も興味はない。
「そうですか。では審査が終了したらご連絡差し上げ、合格なら、お手数ですがこちらにご足労いただきますがよろしいですか?」
「えっ?あっはい」
もう少し長い時間面談があるものと思っていたのだが、急に終了したので驚いてしまった。
たしか、かなり厳しいと聞いていたんだが…。
まあ、落ちた時は落ちた時だ。
色々な用件を済ました日から、あっという間に17日経った12月24日。
ついに待ちに待った軍の払い下げ品販売の日がやってきた。
もちろん俺だけではなく、色々な連中が払い下げ販売に参加していた。
ちなみにその17日間は、なんとか破壊をまぬがれたものをチェックし、大物以外の必要なものをコツコツあつめ、レンタル倉庫に運ぶということを繰り返していた。
会場は、惑星ヴォルダルの衛星軌道にある軍用コロニーで、軌道エレベーターから、軍が用意した専用シャトルでむかう。
当然だが、コロニー内での勝手な行動は許されず、ガイド役の兵士についていく。
案内されたのは巨大な格納庫で、武器・兵器以外の様々なものが払い下げ販売されていた。
俺は早速自分が内見予約した船の元へ急いだ。
「ショウン・ライアットさんですね。今回の払い下げ販売、引き渡しの担当のニア・ヌオット伍長です」
俺が購入する貨物船の担当は、お下げで眼鏡の、失礼な話ではあるが、ちょっとダサい感じの女性兵士だった。
しかし案外こういう人は、眼鏡とお下げをやめると、凄い美人だったりする。
「ショウン・ライアットです。よろしくお願いします」
「ご希望していたのは、この下部貨物室型高速貨客船MAF―02で間違いありませんね?」
「はい」
そうたずねながら、スペックや機体の状態、価格などが書かれた立体映像書類を渡してきた。
「これ、将校専用の移動船だったのもあって、かなり居住性がいいんですよ。
もちろん、搭載兵器は岩石破壊用のビームだけ、オーバーホール済みで燃料も満タンにしてあります。
代金のほうは、内装はそのまま、さらにはご自身が、運転してお帰りになるということなので、お値段は色々割引して6000万クレジットになります」
その価格を聞いて驚いた。
どういうことだろう?
たしか表示価格は7000万クレジットだったはずだ。
それに、軍用品なのだから、軽いチェックくらいあるはずだ。
「あの?販売に際して審査みたいなものはないんですか?あと、価格が表示価格よりかなり安いんですが?」
色々気になったので、尋ねてみたところ、
「販売に関しての審査は既に終了していますよ。怪しい人物はシャトルに乗る前に拘束されますから。
価格が安くなってる理由ですが、この船、型が古いからなかなか買い手がつかないんですよ。ですから、ぶっちゃけ早いとこ売り飛ばして現金化したほうがいいんです。
それに、早いとこ売り飛ばさないと、この船に乗ってふんぞり返って贅沢してた人達が、『売れないなら儂が引き取ってやろう。その代わりきちんと綺麗にしてもらうぞ』とかなんとかいって、軍の予算でオーバーホールはまだしも、内装まで豪華に改装して、無料で自分のものにしかねませんからね。
あ、ラインハルト・シュタインベルガー准将を始めとしたマトモな方々はそんなことをはしませんけどね」
軍の内部はなかなか大変な状態らしい。
にしても、准将閣下は軍内部では当然のように人気があるようだ。
「中を見せていただいてよろしいですか?」
「ええ。もちろんですよ」
ヌオット伍長に許可をもらい、船内にはいる。
画像でみているとはいえ、実際に自分の目で見るのとでは、かなりの違いがあるからだ。
このサイズだと、まだ左舷だけに入り口があり、今までの船と同じなのはありがたい。
ラウンジはかなり広く、ソファーのあるところだけではなく、10人は座れる食事や会議が出来そうなテーブルとチェアーがあった。
多分、作戦会議なんかにも使ってたんだろう。
客室は4つ。一部屋に2人寝泊まりできる感じで、備え付けのテレビや小型の冷蔵庫なんかはそのままで。
ベッドはスプリングマットだけの状態だったので、シーツや毛布を用意すればそのまま使えそうだ。
バスルームはかなり広いが、ここは晋蓬皇国風にリフォームするつもりだ。
キッチンは冷蔵庫・冷凍庫・大型オーブンが備え付けてあったのはありがたい。
キッチンとバスルームの奥は倉庫が2つあり、その後ろにはエンジンルームがあった。
そしてこの船にも2階があるのだが、船首側に階段があり、ソファーのあるところ=ラウンジと、10人は座れる食事や会議が出来そうなテーブルがあるところ=レストエリアの上は吹き抜けになって、中央に渡り廊下がはしっている。
階段を上がった2階の船首側にはトイレがあり、渡り廊下を船尾側に向かうと、船長室に使えそうな部屋が2部屋あった。
偉いさんが使っていたわりには趣味の悪い感じはなく、そのまま使えそうだった。
貨物室には、船首にあるハッチからエアロックに降りてから入ることになる、下部貨物室型貨物船特有の構造は変わっていなかった。
積載量は前の船の240tの倍の480tにもなり、小型貨物船のなかでも、中型に近いかなりの積載量になる。
なにより、カラーリングが今まで同様に白だったこともあり、購入を決定した。
「これをお願いします。支払いは情報で一括払いで、よろしいですか?」
用語説明:宇宙船の色々
宇宙船の規格:戦闘艇
小型戦闘艇…戦闘機・無人機
台数・撃墜時…○機
中型戦闘艇…駆逐艦
大型戦闘艇…巡洋艦
超大型戦闘艇…戦艦
極大型戦闘艇…超弩級戦艦
台数・撃墜時…○隻
宇宙船の規格:民間船・輸送船・作業船
超小型船
台数…○艘
小型船以降
台数…○隻
民間船・輸送船・作業船の積載量による区別
超小型船:50t以下
小型船 :50t~ 500t
中型船 :500t~5000t
大型船 :5000t~5万t
超大型船:5万t以上
※・現在の貨物船の積載量は半端なくとんでもないので、車や航空機のを参考にし、積載量には幅を持たせました
>ショウンは中古船を手に入れた!
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