File105 首都惑星ヴォルダルでのアルバイト⑤ 意外な結果
お待たせいたしました
暑さのせいか、キャラクターの名前を間違えていました。
何故気がつかなかったのだろう…
申し訳ありませんでした。
サブタイトル修正しました
「賠償金と保険金の受け取りが完了したら船を買う予定なんですが、中古だと希望する船がなかなか。まあ、新品ならなくはないんですが、値段がなかなか厳しくて…」
実際問題、新品の船は高い。
もちろん新品の方がいいのは間違いないが、買った後に発生する出費を考えると、安い方がいいのは間違いなかった。
その俺の悩みを聞いた准将閣下は、しばらく考え込んだあと、
「たしか、今月の半ばに一部艦船の入れ替えがあったはずです。もしかしたらその中の型落ち品に、お望みのものがあるかもしれませんよ。軍の総務部に問い合わせてみてください」
と、教えていいのかどうか微妙な感じの情報を教えてくれた。
「本当ですか?ありがとうございます!」
だが、軍の型落ちの情報はなかなか更新されないからありがたい情報なのは間違いない。
その情報に感激しているうちに、准将閣下と評議員殿の2人は、対等に話ができるらしい人達に声をかけられて、その場を離れていった。
「君、すごい人と知り合いだったんだね」
2人ともが離れていくと、社長に声をかけられた。
社長の顔は、感心したような驚いたような表情をしていた。
「俺は本職はトランスポーターですからね、ルナーシュ評議員はたまたま俺の貨客船をチャーターしただけです。准将閣下には海賊に襲われたところを助けてもらっただけですよ」
「なるほどね。そういうことにしておくよ」
俺は間違いない真実を話したのだが、社長は何か違う事を考えたようだ。
ともかく仕事を再開させると、また誰かやって来た。
「クレープをくれ」
「はい。少々お待ちください」
やって来たのは、ビステルト人ドルク種のグラビティフットボールのスター選手、ラルド・セイシルだった。
身長190cmという、ドルク種の中でもかなりデカく、その上イケメンという女性人気ナンバー1のアスリートだ。
もちろん男性からの人気もあり、子供達からもあこがれの的。
そのスター選手がクレープとは意外な感じがするが、彼が甘いもの好きなのは有名だ。
「クリームやソース。フルーツなどは、そちらの作り方のポップをみて、ご自分でどうぞ」
俺はクレープ生地を焼きながら、システムを説明する。
「自分でつくれるのか…」
彼はそう呟くと、生クリームのしぼり袋やチョコやフルーツのソースの入った容器やカットされたフルーツ類をじっと眺め始めた。
そうして生地が焼き上がると、皿に乗せて彼に差し出し、
「使う量は常識の範囲でお願いしますね」
と、釘を刺してみたところ、
「!…わかった…」
一瞬この世の終わりみたいな表情になり、血涙を流さんばかりの悔しそうな表情をした。
しばらくすると、たとえこういう席ではベロベロになるまで飲むものではないのがマナーとはいえ、弱い人はいるし、マナーを無視してベロベロになる奴もでてくる。
場合によっては、2人で何処かに消えていく連中もいるらしい。
そうなると、だんだんとお開きの空気が漂ってくる。
料理も空になりつつあり、俺が担当するクレープも5~6枚分の生地だけが残っている状態だ。
しかしそこに、甘味を求める男がまたもやってきた。
ラルド・セイシル選手だった。
「クレープを…」
「すみません。もう生地しか残っていなくて」
その事実に、セイシル選手はがっくりと肩を落とした。
まあその理由は、この人がクリームやソースやフルーツを何度も何度も山盛りにしていったせいでもある。
とはいえ客の要望には答えるべきだろう。
「ちょっとだけお待ちいただけますか?」
そういってその場を離れると、会場や臨時厨房の小ホールを周り、デザートの材料をかき集めてきた。
「少々お待ちください」
その間待たされたセイシル選手の表情が、お預けをくらった犬そのものの表情をしていたので、急いでつくることにした。
①オレンジの皮・薄皮を剥いて身だけにする。
②クレープを焼き、四つ折りにする。
③フライパンにたっぷりのバターを溶かして、クレープを温める。
④温まったらオレンジジュースを一気に流し込む。同時にオレンジも入れる。
⑤ジュースが沸騰したら、ジュースを器にとる。
⑥オレンジキュラソーを入れ、フランベする。
⑦クレープを深めの皿に並べ、器に取ったジュースを注ぐ。
これで、クレープシュゼットの完成だ。
セイシル選手は、うきうきしながら深皿を受けとると、美味しそうに口に運んでいった。
その最中に、運営の防衛から会のお開きの通達があり、何事もなくお開きになった。
まあ、主催者もすでに帰ってしまったし、頃合いだろう。
さあ。こっちはまだ一仕事残っているからな。
もうひと頑張りだ。
視点変換 ◇第三者視点◇
星域連邦・惑星ヨルゴー星都スリズノ。
その街中の一角に、地元警察の車がひしめいていた。
市民からの通報で、路地裏で死体が発見されたからだ。
境界テープが張られ、警官達が発見者や周辺住民に聞き込みをしていた。
その現場に、古めかしい車がやってきた。
すると警官が、
「ここは駐停車禁止です。ちゃんと駐車場に停めてください」
と、その車のドライバーに声をかけた。
その車のドライバーは、年期の入ったスーツによれよれのトレンチコートを身に付けた、冴えない感じの中年男だった。
「私ここに用があるんだけどね」
「だとしてもすみませんが、現場検証がある程度終了してからになります」
すると中年男は、自分のポケットや車のダッシュボードを漁り始め、
「えーっと、たしかここに…あったあった」
警察のバッジを取り出し、警官に見せた。
そのバッジには、スリズノ星都警察捜査一課:ボルモグ・フラクスとあり、階級は警部だった。
「警部殿でしたか!失礼しました!」
それを見た警官の態度が変わった。
「それでこの車なんだけど」
「申し訳ありません。どのみちここには救急車がくる予定ですので、場所が必要なんです。鑑識の車が近くのコンビニの駐車場に置いてありますのでそちらに」
「わかったわかった。で、そのコンビニってどっち?」
フラクスは、どのみちここには置けないのを理解すると、仕方ないという表情で車を発進させた。
そしてコンビニの駐車場に車を置くと、コンビニでコーヒーを買ってから、現場へとむかった。
現場にもどると、先に到着していた捜査員が、フラクスを出迎えた。
「すみません警部。非番だったのに」
「いいよいいよ。うちのカミさんにつきあってクラシックのコンサートに行くよりはマシさ。聞いてると眠くなっちまう」
「そうですか?私は好きですが」
「そうなの?そりゃすごいね」
そんな話をしているうちに現場に到着する。
そこには、鑑識の人間や捜査員がおり、その中心にはスーツ姿の男性の死体があった。
フラクスは軽く死者への祈りを捧げる。
「で、仏さんの死因は?って酷いねこりゃなんとも」
「死因は背後からの、レーザーでの頭部の貫通です。年齢は30から40代で男性。身元は不明です」
「身分証が盗まれてたわけ?」
男の身なりからして、身分のわかるものぐらい持っているだろうと判断したが、
「現金は失くなっていましたが、これは残っていました」
捜査員が渡して来たものをみて、たしかに身元不明だと理解した。
「どうみても、もらった名刺じゃないね」
「どうやら、名前をいくつも使い分けていたみたいですね」
配るための名刺ケースが、中身入りで大量にあったからだ。
フラクスはコーヒーを捜査員に渡すと、名刺をチェックしはじめる。
「アンドリュー・カーマル。スティーブ・ダンドラス。ミッキー・カトウ。ヘンリー・タダヤマ…。本名が混じってる感じはしないね」
「詐欺師ってところでしょうか?」
フラクスは名刺を返すと、写真を撮っていた鑑識アンドロイドに声をかける。
「仏さん。触っても大丈夫?」
「はい。終わってるから大丈夫です」
鑑識アンドロイドから許可を貰うと、フラクスは被害者の服やバッグをチェックし始めた。
そうしてスーツの襟を見た時、表情が変わった。
「この人共和国の人らしいね。ほら、これたしか共和国のブランド品だ」
「共和国のブランドなら私も持ってますが?」
「でもこれたしかけっこう高いブランドで、こっちにはなかなかないやつだよ。カミさんが読んでたファッション雑誌に載ってた」
「一応共和国の出国管理局の方に問い合わせてみます」
「そうして貰える。司法解剖の方もね」
フラクスは被害者から離れ、コーヒーを受け取り、封鎖区域からも出ると、頭をかきながら、この事件の全容を考えていた。
物取りか怨恨か。
詐欺師なら怨恨の線は強い。
が、それ以外の何かがあるのか。
そんなことを考えながらコーヒーを飲み干してから葉巻を取り出すと、ポケットを探った後、近くの警官に話しかけた。
「火、もってない?」
視点終了
いかつい男の人でも甘いものが好きな人はいますよね。
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